イルカの形をした雲
漂う雲をイルカだと言うように。
自らの知識の範疇で憶測を立ててしまう。
週刊誌にすっぱ抜かれた芸能人が自殺した。
SNS上に書かれた罵詈雑言。
その言の葉で紡がれたロープに彼は首を通したのだろう。
その日私は、子供と雲を眺めていた。
子が空に指をさして言う。
イルカみたい。
そうだろうか。私は魚雷に見える。
そういうと、子はそれ何と答えた。
ふと週刊誌の記事を思い出した。
憶測だ。
「なんだろう」に、対して人は憶測を立てて、
自分の知っている「何かの形」にはめたがる生き物なのだ。
どこの誰ともわからない人間が書いた文字を見て、
誰かの為人を決めつけるように。
漂う雲をイルカだと思うように。
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