『インスタントコーヒーとわたし』のちょっとしたお話
まずはインスタントコーヒーをスプーンに一杯
そして、もう一杯
頭に白い粒がよぎる
お湯を注いで、ゆっくりとかき混ぜる
頭に白い液体がよぎる
アタシはゆっくりとマグカップを持ち上げて口へ
大人の階段に足を踏み出す
「にがっ!」
階段を踏み外す
アタシには、まだこの階段は高すぎるかな?
砂糖とミルクをドバドバ投入
「うっまー!」
ママに「まだまだ、おこちゃまねぇ」って言われたっていい
やっぱり、こうやって飲むのが
「最高にうまい!」
彼が朝、起きてきたら
コーヒーカップとインスタントコーヒーを用意して
「おはよう」の声とともにスプーンで一杯
そして、彼の様子を見て
寝不足? お疲れモードかな?
今日の二杯目はスプーン大盛りだね
毎朝、二杯目は微調整
いつも、ありがとう
お仕事、頑張ってね
いつものマグカップにはインスタントコーヒー
ふたつのマグカップを手に移動
ひとつはテーブルに置いて
もうひとつは写真の前に
マグカップから香りが広がり、たちのぼる白い気体
まるでお線香のよう
ふと、あの人の言葉が
「俺、線香の匂いってあんまり好きじゃないんだよな」
この香りなら大好きでしょ
写真のアナタが、嬉しそうに微笑んでいる
向かい合って、毎朝コーヒーを飲んでいたあの頃のように