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その6
伸ばした手をじっと見つめてごらんよ
前を向くだけならそれでいいの
ある夏の空は(若さと老いを全てぶちまけた様な)青だった
八月が三十一日しかない事を思い出した
アスファルトを蹴った子を見てたら
何万色あっても足りないの
夏をぜーーーんぶ描くには
ふと消えていく日常がある
白熱の灯り 空のペットボトル
朝を待つ 透明な君と共に
きれいだった 寂しそうな僕と一緒に
まっさらな学生は 教科書に桜を描いた
レーニンが笑った写真の横で
愚かだからあなたってひとは
せいぜい自分の手だけは握っててね
正論を流し込まれてしばらく
やはり美味いってさ ラーメン
枯れたシルビアに 指をちょんと当てて
スキップ大失敗 怪我は撫でちゃえ
ふいに僕の視線を奪った
妊活の四文字も おそらくセンシティブ




