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音を記す  作者: 水井時零
令和3年8月
26/35

その3

三つ目の永久歯虫歯ともなれば 歯科医も

ただ黙って治療するばかり


穴を空けた理由を問わないで ありがと

恋の為だったら 笑ってもいいよ


もう歯が生え変わる事もないし

私たちが愛し合う事も二度はない


せめて一人ぐらい

えらいねと褒めて欲しかった 小さなわがまま


鏡で治療の跡を確認してみた

だんだんあいつと昔の私に腹が立った


戻れないの きっと

私の永久歯も あなたと私の関係も


上手だねって一回だけ褒められて

それが歯に傷のつく理由


鏡にいーってしてみた

別れる時ぽろぽろ泣くお前にいーっだ!


今日からお菓子は控えめにする

最近なんか美味しくないし


あなたの口に住むバイキンが

あなたの涙を奪ってしまいますように




昔読んでいた絵本を何となく読み返してみた。女の子が甘いお菓子を食べて、はみがきサボって、歯がいたーいってなるやつだ。女の子の歯を槍を持った虫歯の菌は嬉しそうに

削る。すると女の子は腫れたほっぺを押さえながら思いっきり泣く。それを見てると昔の私を思い出した。治療ですらないフッ素を塗る事ですら泣いていた私だ。歯科医の先生も

歯科衛生士さんも苦労した事だろう。思えばなんで大人が泣いてはいけないと決められた

事は無いのに大人は泣かないんだろう。いっそ治療で思いっきり泣いてしまえばよかった。あの最後の日と同じく


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