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その2
十文字の問題文が脳内を染めた
朝
一枚の楓が一種のマリファナ
夜出歩くと人が……いない。コンビニの店員があくびをするぐらいいない
時に憎んでしまいもする 当たり前の様に来る暗闇を夜と名付けた者を
AVを絶頂寸前で止めて ポケットに隠しながら 童貞という辛さをただ笑う
脳みそのタンス奥にオリオン座はしまい込んだ まだ死ぬなよと暗示をかけながら
高き天に消えた悲観論さよなら
歩け 夜は案外長いのだから
あかんぼの手みたいな 愛しさと我儘を望んだでも泣かないし泣けやしない
優等生の答案みたいに いつまでも〇が重なってくある水溜まり
気に入り出した 雨音を空席の目立つ一等車が
遮ってゆく 常識のように
そう実は 悪なんです
昼下がりの妄想にダイヤも無い僕は
脳を狂わせる雨音から逃げ出して
ボロ毛布にでも今夜は泣こう




