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令和3年10月その1
見下ろした街がもう夕方だった
ああ 僕は泣けもしない
偽りの一人称に褒められて
血の垂れた唇を噛む一日のおしまい
"I"をもっと頂戴な
自分がバラバラになるその前までに
昼下がり 宇宙への壁と睨み合いながら
齧るパイは重き甘さを持ち
(人)幸せと不幸は平等じゃない癖に
死ぬ時の痛みは一緒の生物
転んだ姿を誰もみない道をいこう
リズムの題は 野に咲けない花で
踏み出した一歩50センチ
世界からみれば何も意味は無い いみはない
アンニュイと気分なれば
今頃恋をした ルイ・アームストロング
そうだ音を立てて痛んでくれ心よ
我慢なんか嫌いに僕はなりたい
ぴんと張る水溜まりの地球まで
目指してしまえ秋雨よ




