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高校生、押しも押されもしない立派なヤリチンになる。

 そんなこんなで俺も高校生になって、初めてちゃんとした彼女ができました。

 ちゃんとしたっていうのは……まあ、あれこれするようなってことやな。


 このサイトではあんまりそのものずばり書いたらあかんのやろ?

 そこはやんわり察してついてきてや。


 前の彼女とはどうやったかって?


 エルとは、そういえばキスもしとらん。

 なんや、付き合ってるだけで満足だったというか……なんかしたろ、っていう気持ちが俺にもなかってん。

 そうこうしとるうちに別れてしまったし……。


 まあまあそんで、今の彼女や。俺から好きになって仲良くなってんねんけど、この子もちょっぴりいろいろある子でね。


 男にさわられるのがとにかく怖いんやて。


 理由は、従兄弟の兄ちゃんとその友達に中学生時代まわされたことがあって、それからずっと男にさわられるのが怖いらしいんよ。


 そら、そんなことあったら無理ないわ。


 そんでも、俺のことは好きやて言ってくれたし、「ハルヒとできるようになりたい」とも言ってくれたからな、その気持ちには応えんと。


 最初は俺がそばにおっても平気になるところからスタートや。

 一緒に宿題したりゲームしたりして、指一本さわらへんで、時間になったら「ほななー、また明日やで」って帰る。


 それが平気になったら、


「手つないでみよか」


 ゆうて。最初のうちはさわるとびくっとしとったから、


「怖かったら言えよ」


 って確認しながらやな。

 次は肩抱いて。それが平気なようならハグして。


 えっ、俺、落ち着きすぎ? 初めてとは思えへん?


 ……いや、あの。「そういうことする彼女は初めて」なだけであってやね、俺がその時に初めてやったとは言うてへん……。


 はい、言い忘れてましたごめんなさい。

 俺の初体験は、中学二年生。


 エルと別れてちょっとしたくらいの時やな。

 おねえの友達がうちに遊びに来てて、俺も男友達と二人でおって、その女の人らは当時二十歳くらいやったのかなあ。


 女の人らはお酒を飲んどって、乳もバーンと半分くらい見えとって、ほろ酔いで、にこにこして、「なにかしてみたいことある?」って言ってくれて。


 俺も興味津々やから素直に言うたら、笑っていろいろやらせてくれてん。


 確か最初のリクエストは「おっぱいの間に指入れてみたい」やったんかな。

 そしたら、別にええよって。


 人間、やってみたいこと素直に言うって大切みたいやで。


 それからは、相手も笑っとるし、指動かしてみていい? とか、手のひらでさわってもええ? とか、いろいろ言うて。結局最後まで。

 隣の友達も似たようなことやっとった。


 そんで、お互いに目の前の相手と終わったら、横のおねーさんが呼んどんねん。「こっちにもおいでー」って。

 そんなん、呼ばれたら行くやん。


 おっと、言いすぎたわ。これ、あれやろう? 俺は当時中学生やし、色々と法に触れるのやろ?

 青少年育成条例ほにゃらら、ってやつやな。


 けど、それ言うたらこの章まるっとやばいねん。

 せやし、フィクションってことにしとくわな。この物語はフィクションですよー。


 でまあ、その子とつきあった時、俺はひと通り済ませてあったわけよ。

 だから、どこをどうさわったらだいたい女の子が気持ちええかとか、女の子の体ってひとりひとり違うんやなとか、わかっとった。


 俺の彼女には俺の彼女なりのペースってもんがあって、彼女を急かすんやのうて、俺がそれに合わせたらんと、うまくいくもんもいかへん、ってわかっとったんやね。


 それに好きな女相手やもん、自分の性欲より、相手の気持ちを一番に考えるのは当たり前のことや。


 で、抱きしめても体が緊張しなくなって、キスしてもガチガチ震えたりせえへんようになって。

 だんだん俺を信用してくれたんやろかって思うと、嬉しかったわ。


 最終的に、俺とできるようになった時、その子も泣いとった。


 ……確かに泣いとったのに、なんでやろう。

 そのあと少しして、その子が浮気しとるのがわかったんよ。


 てか、狭い街やもん、ばれるやろ! なんでばれるってわかっとることするかな!


 てか、俺だから怖くないとか言うてくれたんは、あれ、全部嘘やったってこと? 俺は、トラウマ解消するためだけに使われたの?


 すぐに問い詰めて別れたわ。


「俺じゃダメだったってことやろ。もうええ。二度と俺の前に顔出すなよ」


 言うて。


 なんや泣いとったけど、なんで泣くん!?

 泣くぐらいならなんで浮気とかするん!?


 その直後にお迎えしたのがフトアゴヒゲトカゲの男の子や。


 俺は虫とか死ぬほどいややけど、頑張って冷凍コオロギとか買って、栄養剤の粉をまぶして食べさせてたら、なんとかそれだけは平気になったわ。他の虫は今でも無理無理無理。


 こいつめちゃくちゃかわいいで。

 ハンドリングさせても大人しいし、カメラ向けると自分が撮られとるのわかっとる顔するしな。


 たまに奇妙な寝方で寝とる時があって、お前それでよう寝れるな、言うて俺がいつもの寝床に戻してやるんやけど、寝っぱなしで起きもせえへん。安心してくれとるんやね。


 あんまりそいつがかわいいから、ついでにクランウェルツノガエルも飼った。色はライムグリーン。

 あんな、カエルも表情あるねんで。


 カエルの名前はキャサリン。顔が、エリザベス女王に似とったから。

 けどエリザベスって感じではないなあ、シャーロットでもないなあ、他に誰いたろ……って考えたらな、そうやキャサリン妃おるやんって思いついて。

 そんでキャサリン。もしオスだったらキャサや。


 呼ぶときはキャッさんて呼んどる。


「キャッさーん、ご飯やでー」


 って言うとこっち向いて嬉しそうな顔しとる。


 そんでな、フトアゴヒゲトカゲが三回くらい脱皮した頃、ツレが言ったんよ。


「なあハルヒ、賭けせえへん?」

「賭けってなに?」

「高校一年の終わりまでに、どっちがどれだけ多く女とやれるか賭けへんか?」


 もう、真面目に女と付き合うとか、その時の俺にはどうでもよかったし。

 それで暇が潰せるならと思って、ええよ、って答えた。


 多分そいつなりの気遣いだったと思うねん。俺が落ち込んでるから、なんとか気分変えさせたろっていう。


 はい、そこから始まりました。俺のヤリチンの一年が。


 まず、ツレとふたりで貯金箱を用意してな、ひとり、女とやるたびに百円そこに入れてくねん。

 そんで、高一の終わりに一緒にそれあけて、どっちが多く金貯まっとるかを競うゲームよ。


 控えめに言ってサイテーやろ?

 うん、ボクもそう思いますわ……。


 えっ、どこでそんな相手見つけるのかって?

 遠征してナンパやな。学校の中で相手を見つけとったら人間関係がえらいことになるし。


 あと、同じ相手と複数やるのはノーカンてルールを当時作っとったから、毎回相手は違う人。嫌がられたら引く、もふたりで作ったルールやった。相手になってくれたんは年上が多かったなあ。


 お互いにやった数ごまかして申請したりせんのかって?


 それはないわ。だって俺ら、だいたい一緒におったもん。隣から声聞こえてきたらなんとなくわかるやん?


 ──隣ってどこって?


 する場所、ホテルやないからな。

 するのは相手の部屋か、多目的トイ……あかん、これは言うなって言われとったんやった。そういうことに使う場所ちゃうからな、フィクションや、フィクション。


 一日三人とかしてたのかなあ。その時に人妻さんとも知り合って、週に何回かしてはそのたびにお小遣いとか貰うようになって……。


 そうなると、飽きてくるんよね。セックスにも、ナンパにも。

 だってナンパして声かけるやん、そんで目と目が合うやん。その瞬間に「あ、こいつやれるな」っていうのがわかってしまうもん。そしたらもう最後までやるの、なんや面倒くさい。


 最終的に、賭けに勝ったのはツレのほう。

 高校一年の最後、三学期の終業式の日に、せーので貯金箱開けたら、俺は二万円ちょい、ツレはもうちょっと貯まっとった。


 俺は最後のほう、飽きて、最後までやらない時あったしな。

 俺のぶんの貯まった金はツレにあげたよ。


 ……もったいない?

 まあそうかもしらんけど、その時俺、人妻さんからお小遣貰っとったしな……。


 いやいや、いやいや、おいしい話ちゃうで?

 やれてラッキーとか思うのは最初のうちだけやで?


 えっ、おとといやったばっかりなのにまた呼んどる、おととい何回やったと思うんや。って段々なってくるんやって。


 最終的には、これに付き合っとったら俺の体がもたへん、てなって自然消滅さしたんやったかな。


 ん? うん、そう。自然消滅は「する」もんやなくて「させる」もん。

 相手のことを傷つけんと別れる方法はいろいろあるから。


 たとえばやな、俺とばっかりするのも飽きるんちゃう、言うて別の友達紹介して、人妻さんがそいつに夢中になったら俺もすっと身を引けるわけやん。


 その人も、なにも言わんと友達のほうに行ったから、どうしても俺じゃないとあかんってこともなかったんやろう。


 俺かて女の人と毎日のように会ってられるわけちゃうしね。

 友達とも遊びたいし、なんや知らんけどケンカもちょいちょいせなあかんかったし……。


 いやいや、ちゃうて。俺が喧嘩売ってるわけやないって。

 向こうが売ってくるんやって。ほんま。


 だって下校しようとしたら校門の前でなんか人がたまっとんねん。

 別の高校の制服着た男連中が、カラカラおとさせながら校門の前をふさいどるんよ。


 ……えっ、カラカラってなにって?

 カラカラは、金属バットの音やな。そんで俺が帰ろうとしたら友達が言うねん。


「ハルヒ、お前今帰らんほうがええで」

「なんで?」

「なんや、よその学校のやつらがカラカラ言わせとる。あれ多分待ってんのお前やで」

「まじかい」


 俺、実はあんまり背が高くない。せやから、集団で喧嘩ってなったら、相手がだいたい俺を真っ先に潰しにかかるねん。チビやからいけるって思うんやろうね。そしたらこっちもむかつくやん。


「お前、俺ならいけると思ったんかい! 甘いわ!」


 言うてぼこぼこにするのが礼儀やんな。


 そんなんしてたらよその学校のやつらがそうやって遠征してくるようになるねん。


 そんなことが学校だけやなくて街の中でもあるし、喧嘩してたら見てた人に通報されて警察に追いかけられたり、まあ女とやる以外にもいろいろと忙しくしてたわけなんよ。


「ハルヒ、お前、目が合ったのが女やったら女が黙ってついてくるけど、目が合うのが男やったら喧嘩売られるの確定やな」


 って友達は笑っとったけど。

 いやそれ、笑いごとちゃうし……。


 なんで、隣町のイオンに行くつもりが、いつの間にかヤクザに追われて黒塗りの車の中で座らされなあかんねん、おかしいやろ……。


 そんなこんなで高校を卒業した後、俺はホストになりました。


 おかんの店に通ってくれてた人の紹介で、ホストクラブのオーナーさんと知り合って、よかったらうちに来いって言うてくれたから。


 そんで、今は週に六日、胃薬飲みながら、尋常でない量の酒を飲みまくる生活なんやけど……。


 それはまた、次の章でな。

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