下校
-キーンコーンカーンコーン-
ふぅ。終わった。なんか、疲れた…。あの後、読書してたらめっちゃ話しかけてくるし、暇になったらしくて本棚走ってたら本棚にぶつかり、本が落ちてきて、僕はその後片付け…。
あー、うん。早くベッドに横になりたい。
「じゃあ、僕先に帰るね。今日はお疲れ様。」本当は僕のが疲れてるけどと内心ツッコミながら、定型文を言う。
「あ、ちょっと待って。一緒に帰ろうよ。え、あの。」彼女が慌てている。多分、僕の顔がゴキブリを見る目のようなおぞましい顔になっていたからだろう。
「あ、あの嫌だったら」
「あーうん。いいよ。一緒に帰ろう。」ちょっと悪かったかもしれないと少し反省しながら僕は言う。
二人で階段を降りる。階段の近くにある窓は少し寂れていてそこから太陽が覗いていた。僕はこの景色は好きだが、電線が邪魔だと思う。建てたやつはセンスないなと思いながら、下駄箱に向かう。
「ねぇ。大丈夫なの?転校生なんだし、先生に挨拶とかしなくても。」そういうと彼女は笑っていた。
「え、君がボーッしてる間に挨拶してきたよ。」少しドヤ顔で言ってくる彼女に反撃しようと、
「ふーん。ねぇ。君こそ僕の名前覚えてる?」そう聞くと、急に眼が泳ぎ始めた。...焦ってるぞこいつ。
「え、うん、勿論。なんとか、、春樹?。」
「普通苗字で覚えるんじゃない?石川春樹。」そう言った瞬間、なぜ僕はこの人に名前を言ったんだろうかと不思議に思った。つい、口にでた。
「やっぱりね!知ってた、うん、知ってた。」目が合わない。
「はぁ。まぁ別にいいよ。」どうせ、君とは関わらないだろうし。
「家はどちの方にあるの?」話を変えるように彼女が聞く。
「こっち。」僕は右を指す。
「おお〜。なら同じだ。やったね!」嬉しそうに言う。マジかよと思いながら相槌をうつ。 しばらく二人で歩いて沈黙が続く。外は暗くなってきて、電灯が一斉につき始める。公園は人気がなくなり、月が存在感を放っていた。
すると、唐突に彼女が
「ねぇ。連絡先交換しない。」と言って、当たり前のように彼女はポケットから白色のスマホを取り出した。意外だな。ピンクとかそういう鮮やかな色だと思ってた。
「いいけど…。」僕もスマホを取り出した。QRコードを読み取ってもらうと、
ピロンっ。通知が来た。
『よろしくっ。春樹くん♡ 』ニヤニヤ顔で打ってるのを見る。
『よろしくお願いします。 』
「うわー。真面目。友達何人いる??」
「4人。」
「え、あの、家族含めて?」予想外のことに、彼女は聞いちゃいけなかったことを聞いてしまったと焦ってた。
「うん。強がるとかではなくて、必要性を感じないからね。」感情をできるだけ排して言う。
「楽しいけどなぁ。あ、なら、私の専用のスマホだね。」不気味なくらいに笑ってる。
「そうかもね。なら、僕はこっちだから。さよなら。」早く切り上げたくて、家に行く道の一つ前の道で別れる。
「おお〜。明日ね!ばいばーい。」快活そうにスキップしながら彼女は帰ってった。