仕事1
ふぅ。ようやく終わった。
どの部活にも興味がない僕は、やっぱり部活には入っていない。疲れるだけだ。
だから、本当だったら帰っていいんだけど、僕はいつも向かう場所がある。
「失礼します〜。」ドアを開け、控えめに声を出す。一歩足を踏み入れ息を深く吸う。あぁ、落ち着くな。
そう、ここは図書室だ。僕はクラスで唯一の図書委員だ。その方が楽で僕としてもラッキーだった。
カウンターに座って、本の貸し借りをする。
暇な時は本を読んでいてもいい。本が溜まったら本を本棚に仕舞う。なんて僕に向いた仕事だろう。僕が学校に来る理由はこれかもしれないと思いながら、いつもの席に座って、本を読む。
今日は全然集中して読めなかったからな。あいつら、もうちょっと静かにしてくれたらいいの…
「ねぇ。」突然、声をかけられ少し驚いた。
「はい。返却ですか?」そう言って目を見開いた。そこには、読書が出来なかった元凶─転入生─がいた。
「ねぇ。君、図書委員一人?」
「え、あぁうん。そうだけど。」戸惑いながらも答える。...なぜそんなこと聞くのだろうか。
「良かった!私も図書委員になってもいいかな。」
「先生がいいって言ったらいいんじゃ。」想像していなかった質問にどうにか、答える。
「あ、なら大丈夫だ。先生いいって言ったから。」彼女が笑顔で答えた。よく笑ってる。
「これからよろしくっ。あ、今日二回目だね。」手を出された。
「そう、だね。よろしく。」まさかよろしくが来るなんて、と思いながらその手に右手を重ねた。