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2話 今年のさくら 今年のだんご 1

 唖然とした。

 掲示板にでかでかと張られている学校新聞を見て唖然とした。

「謎のコスプレ少女!放課後の学校で大活躍!」

 幸いピンが甘くて顔はよく見えないが写真もでかでかと載っている。

 A4の用紙をわざわざ九枚も張り合わせていったい誰がこんなものを!

 発行者の名前を探そうと新聞に顔を近づけたそのとき、

「ぽちっとな」

「ひゃうん!」

 襟足のほくろを突っつかれ、はからずも大勢の生徒のいる真ん中で声を上げてしまう。

 わたしは振り返ると千代ちんの肩をつかみ、掲示板の前から離れる。

「ちーよーちん!」

「おはよー、ぼたんちゃん」

「おはよーじゃないわよ! まったく!」

 精一杯して見せた怖い顔にも動じず、千代ちんはニコニコと笑っている。

「ねーねーなに見てたの?」

 千代ちんはそう言うと、後ろの掲示板を見ようとぴょこぴょこと飛び跳ねる。

「え、ええと」

 あまりその話題に触れたくないわたしは、言葉をにごして別の話題に持っていこうと考える。

 が、あの巨大掲示物の存在感は大きく、ラクシュミーの写真は否が応にも千代ちんの目に留まる。

「へー、こっちにもああいうの好きな人っているんだー」

「いや、あの、そんなに好きこのんでやってるわけじゃないよ……と思うんだけど……」

「詳しいね? 知り合い?」

「いや、えっと、そういうわけじゃ……」

 千代ちんの発言にしどろもどろになる「ご本人」。

 そのわたしに不思議そうな顔を向ける千代ちん。

 やばい何か感づかれたかしら?

 でも正体がばれたからってどうにかなるのかな? シンハは特に何にも言ってなかったけど……

 いやいや、魔法とかなんかの副作用よりも、この場に居合わせてる人たちの好奇の視線を考えたら……

 やばい!

 こんな田舎で正体がばれたら社会的にやばい!

 恥ずかしくて生きていけない!

 ばれちゃだめだ! 何とか話題を変えなきゃ!

「どうしたのぼたんちゃん? 具合でも悪い?」

「え、あぁ、うん、ほらあれよ! 具合はともかくわたしジャーナリスト志望じゃない! だからほら、こういう新聞部とかあったらいいなーと思ってて、うん。 放課後にでもここの部室行ってみようかなーなんて、あ、あはは……はは……」

「う、うん。がんばってね、ぼたんちゃん……」

 よーし、これでうまく話題が……あ、あれ?変わってたのかな?


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