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働かざるもの。

作者: 星満 望

 ワタシの旦那ったら、仕事もしないで1日中ぐうたらしてるのよ。病弱だし、子育て手伝うこともしないしありえないでしょ。出会った頃はワタシも男慣れしてなかったからかもしれないけど、旦那のことが素敵に見えてしまったの。ワタシの人生の汚点だわ。それに、同じ無職の男仲間と遊びに行くとなると急に元気になって羽ばたいていくのよ。ほんと、男って自分勝手よね。でも、アナタは魅力的ね。この辺で見かけない顔だけれども、まぁ、そんな些細なことどうでもいいわ。

 アナタには旦那の愚痴ばかり言ってしまったけど、質問に答えてあげるわ。ワタシの経歴が知りたいんでしょ。どうして分かったかって、ふふふ、アナタの顔に書いてあるわ。一応ワタシは部下をたくさん持っている組織のボスなのよ。だから、分かっちゃうのかな。いきなり愚痴いってごめんなさいね。ストレスが溜まってしまうの。もちろん、肉体労働しているわけではないからどちらかというと精神的な疲れのほうが多いかしら。

 えっ?ワタシの組織が何してるか気になるのね。そうねぇ、生きていくために必要な事かしら。抽象的ですって。まぁ、要するに生きるためには何でもしてるわ。これでアナタは満足かしら?殺しの指示も当然だしてるわよ。えぇ、死体の処理ももちろん。怖くなったかしら?ずいぶん平気そうな顔してるわね。ふふふ、強がってるアナタの表情とっても素敵ね。食べちゃいたくなるわ。

 まだまだ、アナタとは話をしていたいのだけれでも、ちょっとトラブルが起こってるみたいなのよ。今日はこのへんで帰ってもらってもいいかしら。仕事が落ち着いたときならいつでもアナタとはお話するわね。




 郊外にある一軒家。最近、中古物件として販売されていたこの家を購入し、引っ越してきた家の主人が庭の手入れをしている。主人は手にスコップを持って庭の土を掘り返している。彼の家族達は働かずもの食うべからずと、休日であっても庭の手入れをさせている。休日ぐうたらするところを見られたら彼の家族達から何を言われるか分かったもんじゃない。

「まったく、どうなっているんだ。管理会社は部屋のクリーニングだけじゃなく、庭の手入れもするって言ってたのによ。金払ってんだから、あいつら働きやがれ」

 彼は悪態をつきながらひたすら庭の土を掘り起こす。

「いたいた。こいつだな。お前がコドモ産んで拡張するから、俺の庭が穴だらけになってんだ」

 彼の手のひらには上には、彼の庭を荒らした犯人がのっていた。周りのアリと大きさが明らかに違う。大きすぎるので一目瞭然であった。

「女王アリさんよ。俺の庭荒らした罰だぜ」

 ぷちっ……。


 

女王アリは、アナタと再び会話することはなかった。巣に残ったのは働かないオスアリ達だけであった。

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