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「おかしいなぁ」
高嶺は少し上に視線を向け、きょろきょろと辺りを見回していた。
すると、先程まで白フード拘束を行っていた同じくS1班の副班長、神崎冬馬が煙草を片手に近付いてくる。
「どうかしたか」
「ああ、短崎!いやね、他にもあちら側のがいたような気がしたのだけど…気の所為だったかもしれない」
「短崎じゃねェよ!!このクソ高嶺が!」
「えぇ?だって冬馬が身長低いのだもの」
「うっせんだよ!テメェがでかいんだろが!俺は普通だっつの」
神崎は青筋を立てながら自分で吸っていた煙草を捨て、地面に踏みつける。
「あーあー、一応警察なんだよ?私たちは……しかもソレ、ポイ捨て駄目でしょ」
「うっせ……つか、いいのか?奴らの気配がしたんだろ?」
「なんとなく、だよ。それにさっきいたとしても、もう離脱していると思うよ」
高嶺は小さく溜息をついてから、もう一度桜の木を見上げた。
「さて、ね…」
一陣の風が吹き、花弁が宙を舞う。晴天の空に薄紅の花ーーーなんと美しいことか。
「来年は冬馬なんかとじゃなく、恋人と見たいものだね」
「こっちの台詞だ!この女泣かせが!!」
枢と冬馬のペアは面白くて好きです。
短めですがキリがいいので今回はここまでです。
近いうちに更新する予定です。