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10年前の少女が泣いた  作者: 冷凍みかん
episode1: あと、365日が5回だけ
2/19

1

銃器や殺人などの表現が含まれます。

 


『速報です。今日午後11時頃、新宿の高層ビル地下駐車場で、男性が死亡しました』



 深夜のニュース番組。液晶画面の中で女性アナウンサーがつい先程起こった事件について報道している。



『死亡した男性は、政治家の川端聡太さん43歳で、死因は頭部銃創と見られており、警察は事件性を視野に現在も犯人を捜索中です』



「眉間に一発か」


 重厚な肘掛け椅子に深く座る男は、事件概要を聞きながら私に殺人の手段を問う。


 対する私は男の座る椅子の背もたれに腕を乗せて、重心を預けていた。


「…ええ」


 私の答えを聞いて、男ーーー諏訪寛治は満足そうに鼻を鳴らした。


減音器(サプレッサー)は」

「地下駐車場だったし、一応」

「そうか」


 西暦2199年。現在の日本は、治安が悪い。一世紀ほど昔とは比べ物にならないほどだ。それにより、このような事件は多発していて珍しくない。


 今では一般人でも、銃声をソレだとすぐに聞き分けることができる。地下駐車場のような反響する場所で銃声を響かせれば、第三者(ヤジウマ)が駆けつけてくる可能性が考えられるのだ。


「それで?」

「それでとは、なんだ」


 私の問いに、諏訪は惚けた顔をした。



「報酬」



 私が片手を出して急かすと、諏訪は人の悪い笑みを浮かべて私の瞳を覗き込む。


「まだだ」


「…は?」


 諏訪は私が差し出した手を強く握った。ーーー何か硬いものが掌に触れる。


「追加依頼をする。ターゲットは警察特殊部隊S1班の()だ」


「特殊部隊って……()()()()専門家でしょ。リスキーね」


 私が顔を少し顰めると、諏訪は私の手を離してしっかり握らせた。


「報酬はその分積む…3倍だ」


「……データベース送って」

「ああ」


 諏訪は満足気に口角を上げ、ノートパソコンを軽やかに操作し始める。


 高層ビル最上階はよく月が見える。月下に照らされた私の髪がキラリと光った。


 小さくバイブレーションがして、仕事用のスマートフォンに諏訪からデータが送られてきた。


 それを軽く確認すると椅子から離れ、少し開いた、壁の用途を果たすほどの大きな窓に足を掛ける。


「期待してるよ。ガブリエル」

「…そう」


 窓から飛び降りて地上を目指す。風の抵抗を全身で目一杯受けた。




 私は、暗殺者。




 人は、私を「ガブリエル」と呼ぶ。




 髪色は白銀。両の瞳は深紅の色。




(つまりは)



 人気の無い道に静かに着地し、脚への負担を感じさせない俊足で裏路地へ駆ける。ーーー常人では有り得ない。



(バケモノだ)



手探り状態で投稿しています。

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