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第十話「大怪獣・王都大決戦」(前)

「ネロであれば、こう容易くはいかなかっただろうな」


 八勇者オーレリィは冷徹に事実を述べた。四方を見えない仕切りに遮られ、完全に囚われたタカノを前にして。更に二人の周りを遠巻きに眺めるギャラリーとそれを押し出そうとする衛兵達とで二重の結界が出来ていた。

 奇しくも王都西区にあるクリスタリカ初の国立動物園――ネロの意向で作られた――の傍。新たに加えられた猛獣は顔面蒼白にして檻を叩く。

 必死に。何度も。焦燥感に迫られ、怒りに任せ、あるいは懇願するように。その度次元ごと身体を裂かれるが、決して死なず形を変えるだけ。嗚呼、不死身の化物の必死さよ。されどオーレリィの目には少しも映らない。


「出せ! 出して! もう時間が、アケミちゃんがぁ!!」

「おかげで交渉の余地もある。お前の正気が持てばの話だが」


 鉄壁の女傑はもがく獲物を冷徹に見下す。真っ白な視線はしっかりタカノを捉えて離さない。

 彼女は盲人といえどその実全く見えていないわけではない――真っ暗闇に生物、というかその魂のようなものだけ輪郭のハッキリしないもやとして視えている。このもやの大小で虫や鳥や獣、人間などとある程度分類できた。そしてもやの中には極端に濃度の高いものがあり――それが転士のクリスタルであった。

 四次元壁ディメンジョンシールドは強力だがクリスタルを分かつことはできないのをオーレリィ本人は知っている。閉じ込めるのが限界だ。だからこそ持ちかける。互いに選択の余地なき誘いを。


「四十四位タカノ、我々の下で働く気はないか?」

「だ、どういうこと!? いや……答えはノーですオーレリィ様。貴方を殺してでもアケミちゃんのところに行く!」

「強気だな。もっともお前とて従うしかない、あの御方には。早馬を送った、じきにおいでになる」

「どなたでしょう。たとえ王様であっても」

「陛下ですらあの方には……おっと、お喋りがすぎました。申し訳ありません」


 あの八勇者筆頭が虚空に向かって謝る異常さに、さしものタカノも頭が冷える。だが本当に異様なのはここからだった。


「邪気が来た……怪獣か!?」


 視覚以外の感覚が鋭くなったからか、それとも歴戦の勘からか――オーレリィはいち早く察知し、驚愕した。そうして実際に眼でも検知する、もやというより濃霧が王都に押し寄せてくる様を。それはタカノや周囲の人間達にもわかった。北東の方角、黒い霧として。

 ――混沌。オーレリィの視界を歪ませるもやの正体でもあった。しかしソレはあまりにも大きく――

 轟音がした。大地が震え上がった。



 遡ること数時間。ちょうど正午の刻。北方を定点観測していた兵士の一人が素っ頓狂な声を上げた。「山脈の合間から巨大な影が現れた」と。

 この男が大騒ぎするものだから北の大山脈麓の北方軍司令部は飛行船を飛ばして哨戒に当たり、王都の本部でも大望遠鏡を稼働させて周囲の状況を確認した。結果異常は見つけられず、概ね見間違い――彼の疲労による――という結論が出た。彼自身自信をなくして認めたが、慎重を期せよという王の指示でしばらくは緊張が保たれた。

 もっともその厳重警戒態勢も解かれ、空が赤く染まり始めた頃だった――そいつが現れたのは。

 大山脈の一角、キトラ鉱山。資源豊かな採掘場に付きっきりのヴァルヴァーネ奴隷達は頂を見上げ、恐れ戦いた。巨大な顔がこちらを見下ろしているではないか!

 山を乗り越え全身を表す。労働者の一人が「ダンゴムシ」と叫んだ。はたして全長50メートルに達する虫などいるだろうか? 否。虫でなくともありえない。「怪獣」以外に存在しえない。それでいて怪獣という括りで見ても、度を超えていた。

 記録に残っている限りでは、十年前の第二次西方防衛の時に現れた35メートル弱の怪獣――ラス・ボス級と認定される――が最大だ。それでさえ当時の全戦力全転士を投入してようやく駆除できたレベル。とどのつまり、姿を見せただけでもう過去最悪の事態。しかも何よりもおぞましいのは、たとえどのような対応をしたとしても手遅れになる造形に他ならない。

 ダンゴムシと形容される巨大怪獣は山頂で身体を丸め、斜面を転がり始めた。その凄まじいスピードとパワーたるや、如何なる大木も小枝の如くへし折って、一気に麓まで雪崩れ込む。瞬く間に北の炭鉱街を蹂躙し、なお勢いづいて止まらない。天然の大要塞を乗り越えたなら、最早止められようか!

 進撃する超巨大肉団子。炭鉱街の南は牧場や共同墓地などが点在するのみですぐ工業特区へと至り、都心部も目と鼻の先。怪獣発見の報告よりも早くそいつは迫り来る。望遠鏡を使わずとも肉眼で見える距離まで、二分もかからなかった。

 北東区と郊外との区切りになっている古い城壁が一筋にぶつかって、ようやく止まる。壁が破られるのと引き換えに。日常が脆くも崩れ去る爆音に人々は思い出した――かつて国を滅ぼされた屈辱を、遺伝子に刻まれた恐怖を。

 超巨大怪獣は丸めていた身体を徐々に戻し、地に足を付ける。驚くべきことに怪我一つない。瓦礫を踏みしめ、多数の足全て一歩前に進める。ここからはもう都内だ。眠れる赤子も起こす。

 侵入地点から4キロ先、北区王宮に住まうテンキも飛び起き、下着姿のまま庭の日本風やぐらへと登った。そして見た。この世の終わりを体現する者を。


「ば、馬鹿な……予言の日には早すぎる……」

「テンキ様、ここにおいででしたか!」


 やぐらの下から若い女性が声を掛ける。伝令官のベルルだ。


「オーレリィ様より四十四位を捕獲したとの報告が入りまして、しかしこの事態は……」

「見ればわかるじゃろうが! ベルル、お前は直ちに軍司令部へ向かい、王の権限で全近衛兵に召集を掛けろ! 各地方にも応援を要請! まずは北東区を封鎖し、防衛プランデルタで砲撃隊を展開させよ! 以後の指揮はナナに任せ」

「了解しました、ですが住民の避難は」

「イ番からト番までレッドカーテンを起動し、その間に警察に誘導させるのじゃ! 外側から優先、今現場に近い者はもう助からん。急げ!」


 金色の眼に魅入られ、ベスは息切れしながらも来た道を引き返す。いつも余裕綽々なテンキもこの時ばかりはハァハァと息を荒くし、それを押さえつけんと親指の爪を噛んだ。

 ――足りない。戦力が足りない。

 オーレリィにはスナフ・タカノの討伐、セイラにはゲットー蜂起の後始末を命じたが為に出払っている。ラスカルはネロ戦での傷が癒えていない。そして他の転士は敵に回してしまったのだから。


《ギャハハハハ、裏目裏目だなァ! 言っとくが誰も協力なんかしてくれないぜ。オメーが直接『お願いです私の為に戦ってください』って必死こいて目を見せつけなきゃなぁ! こんなゲームなんか始めたばっかりにな!》

「うるさい黙れ畜生めが」

《もっと低姿勢でお願いされなきゃ聞いてやらねぇぜ神様は》

「何!?」


 ここぞとばかりに煽り始めるてんせーくんに絶対勅命(コントローラー)を仕掛けるテンキ、だが効いている節がない。これには驚く。何せ四十八転士の生き残りをかけたバトルロイヤルを神の使いに仕切らせているのも、他ならぬ彼女であったのだから。相手を強制的に従わせるチートに関しては絶大な自信があった。その優位性が今、崩れ去る。


《サイコーの気分だぜ。鏡見てみろよ。オメー今すげーアホ面してんじゃねーか》

「お主……我を弄んでいたな」

《たりめーよ。だがテメーの提案は大概面白いからな、神様は言うこと聞いてやってるんだよ。その結果オメーがしっぺ返し食らうのも含めてな。その辺バランス取るのが神様の性質とも言えるが、オレサマとしちゃたんなる娯楽だぜ》


 ピンク色のひよこはテンキの周りを飛び回る。まるであなたと違って悩みなんか一つもありません、というような邪悪な無表情をして。


「うぬぬ……我も本格的に耄碌してきたらしい」

《迂闊なのは元からだろ。オレサマは知ってるぜ、海外でも自国と同じように改革やろうとした途端失敗したよな。しかも転生しても同じことやらかしたしなーえぇ賢者ヰト! オメーが良かれと思ってやることがミステイクだっつーの毎回》

「わかっておる! 言われずともわかってるのじゃ!」


 乱れ舞う黒髪。第五王妃テンキこと三賢者が一人、ヰトはまるで見た目通り年相応の幼女みたいに地団太を踏む。悔しいがてんせーくんを相手に口論したところで糠に釘、感情を抑え込まんと押し黙る。

 今日のような日がいつか来ることは、わかっていた。それを避ける努力はせねばなるまい。知ってしまったからには――

 滅びの京ミストリスから遷都して現王国が始まった際、古代クリスタリカ文明から受け継いだのはクリスタルのみならず、そこに刻まれたある碑文もだ。通称ミステリ文書。非常に難解な古代クリスタリカ語で書かれている上暗号も複雑で、何百年もの間解読されていなかった。十五日前までは。四十七位にして暗号解読プログラムアナライザーのチート転生者を引き当てるまでは。

 それでミステリ文書に書かれていたのは「クリスタルを使用することで莫大なエネルギーを得られるも廃棄物として混沌を発生させる」ということだった。そして混沌に汚染された獣は恐るべき怪獣へと変異する。人間も然り。ヴァルヴァーネの祖先も混沌汚染の被害者であった。

 そのメカニズムを知りながらも古代人はクリスタルの力で高い文明を維持し続けようとした。所詮突然変異で生まれる怪獣は短命、一時的な災害に過ぎない、しかもクリスタルを利用する兵器「神器」を含む軍事力があれば撃退できる――そう高を括っていた。想定を超えた災厄に滅ぼされて初めて、警鐘を鳴らすに至った。二度と後悔することなきよう。

 けれども、それでもなお彼らも未練を抱いていたのだろう、クリスタルの残りを地中深くに埋めるでなく大聖堂に安置したのは。とはいえ封印は保たれた。碑文の読み方を誰もが忘れ去るほど長い間……が故に、後世の人間はクリスタルの使い道を「再発明」してしまった。

 ――すなわち、転士の召喚。

 全てを知った時、テンキは今までにないほど身の毛がよだつ思いをした。転士が息をするだけで混沌が広がり、怪獣を生む。それはやがて国を滅ぼす。時代が下るほど強力な怪獣が現れるのに対抗して、八勇者から十二志士、そして今日の四十八転士とどんどん数を増やしていったのがとんでもない失策だと気付いては――これまでの自分が、国を富まそうとやってきた行為が、全否定されたに等しい。

 だから始めた。全ての転士を消し去る儀式を。それが神を抱きこんでのバトルロイヤルになったのは政府の一方的な粛清という形では大義名分がなく国民感情に反する、制御できていないネロやスナフなどが結託すれば覆される可能性も高い、といった都合からだ。やるからには万全を期す。そんな戦略さえも裏目ではあまりに無様で取り乱す。


《あの怪獣は間違いなくラス・ボス級だぜ。しかもなんか見覚えあるな……ああ、ミストリスを滅ぼした四体の内の一体に似てるわ》

「……のう神よ、一旦お遊びをやめんか? この世界が滅茶苦茶になってはそちらも都合悪かろう?」

《知ったことか。今面白いところなんだからやめられるわきゃねーだろ。大体被造物如きが創造主を思い通りに操ろうなど傲慢が過ぎるぜ》

「ぐっその通りじゃが」


 テンキは拳を震わせ、開いたなら自分の頬を打った。何が賢者だ、と自戒を込めて。その時伝令官ベルルとは入れ違いになったクリスタリカ軍本部の使者が下から声を掛けた。


「王妃様! 緊急事態です! 最大規模の怪獣が北の山脈に」

「もうそこに来てるじゃろが! ちょうどいい、貴様はオーレリィを呼び戻しに行け!」

「それでしたらナナ元帥の指示ですでに……現場にはフレイ元帥が向かっております! それと未確認情報ですがトゥーラ様も」

「トゥーラじゃと!」


 トゥーラとは文化王十二志士のリーダー格、第九位の序列通り八勇者に次ぐ実力派転士である。テンキの支配下ではないが戦力としては申し分ない。

 報告を受けてテンキはやぐらから飛び降りる。薄着がはだけるものだから、非常時といえど青年将校は顔を赤らめる、妖艶な幼女の白い肌と対照的に。


「さっさと行かんか!」

「ハイ!」

「いや我も本部へ向かう。連れてゆ……がっ」


 金色の瞳を輝かせて命令を下そうとして――突如血を吐くテンキ。その色は赤ではなく、青い。重度の混沌汚染者、怪獣や先祖返りしたムゥムゥなどと同じく。彼女はお腹を押さえ痛みを訴える。


「痛ッ、こ、こんな時に……」

「テンキ様! どうなされました!?」

「ただの持病じゃ、放って行け!」


 絶対勅命を受けた若い兵士はもう目もくれず立ち去る。たとえ可憐な王妃が臥せって苦しんでいようと。

 テンキの持病とはまだ彼女が賢者ヰトと呼ばれた頃、クリスタリカの外の暗黒に追いやられた際に受けた、呪いのようなものだった。命からがら帰還しても身を隠している理由の一つでもある。


「こんな時、だからか……反応しておる……」


 彼女の下腹部がポッコリ膨らんでいるが、そこに怪獣が寄生している。そいつは宿主の生命エネルギーを吸って、極端に短い怪獣の寿命を克服していた。おかげでテンキは徐々に老化ならぬ幼化していくのだ。

 発作の度に進行は早まる。いずれは知能も見た目通りになり、最後は生まれる前の無へと還るか、あるいは寄生怪獣に取って代わられるか――先がない故の焦燥感が彼女の判断を誤らせたのかもしれなかった。

 この時も、おそらく。


「……神の使いヘルメスよ」

《んだよ意趣返しに本名呼びかよ、命令なら聞かねーぜ》

「いや、提案じゃ。新たなゲームの、な」

《ほーお?》


 苦しそうに腹を押さえながらもテンキは、クリスタリカの真の支配者は立ちあがり、神の気を十分引いてみせる。そのちょうど背後に沈みゆく太陽を突如地面から生えてくる壁が遮った。土埃と蒸気に巻かれ、白く煙る。

 緊急都市区画遮断防壁――通称“レッドカーテン”。普段は街の通りに沈んでいるが有事の際地上に引き上げられて即席の城壁となる仕組みだ。今、王宮周辺は元より北東区の各通りからどんどん壁が生えてきて、超巨大怪獣を包囲し始める。その陰の暗がりに金色の瞳は妖しく光る。

 だが彼女が言葉を続けようとした矢先、激しい振動によって再び跪かされる。地震だ! 大地がうねって悲鳴を上げる。そして王都の全域が軋み、粗末な建物は崩れる。震源は勿論、北東区以外にない。


「怪獣め……やってくれる」


 ラス・ボス級ともなれば直接触れずとも街一つズタズタに出来よう。地震に続いて凄まじい音がした。起動したばかりのレッドカーテンの一つが破られた音。終末を告げるラッパの音色だった。



 怪獣だ、この世の終わりだ、と弱き人々は恐れ戦き逃げ惑う。住居より遥かに大きな化物に一体誰が戦えようか。離れ離れになろうと自分の身を優先する家族、見捨てられる老人、お構いなしに踏まれる子供、火事場で略奪を働くアウトロー……現場は混沌と狂気が渦巻いていた。

 そんな細々とした人間など区別つかず、分け隔てなく蹂躙する怪獣。近場で見ればダンゴムシよりグソクムシに形状が近い。計十四本の足が群れをグチャグチャに潰していく。王都の中心部を目指して――おそらく大聖堂に安置されたクリスタルに引き寄せられて。

 だが素通りさせる王都ではない。対怪獣戦闘を見越して築かれた防衛都市である。順次レッドカーテンは蒸気を噴き上げて起動する。その裏で先程の地震でひっくり返った戦列を立て直し、電気式牽引車「エレニカ」で大砲を運ぶ。それより早く最新鋭の飛行船「グラーフ・ヤマト」が壁を乗り越え、巨大怪獣の頭上を押さえた。


「グラーフ・ヤマト、ポイントに到着! 如何しますか元帥殿」

「各砲の配置は?」

「一番と三番はじきに到着、他はもう少しかかりそうです」

「この区域の避難は?」

「ほぼ完了しています」

「ほぼ、ね」


 王宮と同じく北区の軍司令部本部、大展望台にて将軍達が指揮を執っていた。その中の紅一点にして最高司令官、ナナ元帥は額に手を当てる。


「市街地とはいえやるしかありませんね。攻撃を開始してください」


 本部から上がる白い狼煙を合図に、グラーフ・ヤマトは爆弾を投下した。合わせて一番隊三番隊の砲も火を噴く。巨大な的に外しようなく全弾命中。直撃を受けた怪獣は足を止め、凄まじく煙に巻かれた。


「やったか!? ……な、馬鹿な」


 現地の砲兵は驚嘆の声を上げる。それはすぐに断末魔の叫びへと変わった。

 超大型グソクムシの殻の一部がパラパラ剥がれた、と思いきやその菱形の欠片は高速回転し、空中の風船を穿つように飛散した。偶然ではない。明確な反撃。怪獣が産み落とした弾幕は砲撃隊に襲いかかり、ことごとく兵士を殺傷する。たまたま逃れた者も墜落するグラーフ・ヤマトの下敷きになって潰された。

 炎上する船の残骸を踏みしめて、涼しげな顔で侵攻を再開する怪獣。一瞬で第一陣が全滅したことに軍本部はどよめく。さしものナナとて動揺を隠せない。


「……二番四番五番の動きは?」

「ハッ! 今すぐ確認いたします」

「フレイならレッドカーテンを軸に結集させてくれると思うけど……」

「しかしナナ様、恐れながら砲がいくらあってもあれでは」

「ええ、ミスリウムかそれ以上、クリスタルと同程度の堅牢さと考えるべきでしょうね。かなり熱にも耐える。時間稼ぎが出来るかどうかも怪しい……がオーレリィの到着までもたせるしかありません」


 オーレリィの四次元壁ならば動きは封じることは可能で、彼女が貫通能力を得たという話を今朝方ナナは聞いていた。だけに「一体何をしているこの大事な時に」と内心毒づく。仏のように振る舞う余裕はナナすら今やない。

 慌ただしい足音が聞こえる。状況を確認した兵卒が戻ってきた。


「ナナ元帥殿! 報告いたします。各砲撃隊はハ番レッドカーテンに向かっています! フレイ元帥が先行している模様。目標の動きが止まっている間に!」

「止まった?」

「原因は不明です。ただ、次々と周囲の建物が倒壊して危険です」

「……止めたのね。すみません、恩に着ますトゥーラ」


 ナナは即座に理解した。転士トゥーラのチート、重力支配(グラビテイター)なら対抗できると。そしてまた、推し量った。十年前のラス・ボス級怪獣との戦いで相棒を失って以来身を潜めていた彼女の感情を。

 逃げる民衆は目撃した。人影が緊急都市区画遮断防壁を飛び越えるのを。

 白いタキシードをキッチリ着こなし、宙を舞う薄紫の髪に乱れなし。チートで重力を調節すればこれくらいの軽業、易々とこなせる。トゥーラは民家の上を月の兎みたいに飛び跳ね、一心不乱に向かう――怨敵めがけて。

 彼女の胸に去来するはただただ後悔に塗れた過去。かつての第二次西方防衛の折に愛する転士ティアを失ったのは自分が不甲斐無かったせいだ、どうしてあの時一緒にいてやれなかったか――この十年、ずっと自分を責めながら生きてきた。地下工房に籠りティアそっくりの人形を作っては魂のない不出来な代物を憎み、そんな行為を慰みとする己を罰するように壊した。悔いて悔いて、ひたすらに悔いた。転士同士の争いが始まっても戦う気がないどころか、転士の死が当たり前になったことでティアの死も軽くなったような気がして一層胸を締め付けられた。

 けれど怪獣が再び現れたとスナフから聞けば、自ずと自縄自縛から放たれて飛び出す。

 ――もう誰も失わせない。ラス・ボス級怪獣へのリベンジを果たし、今こそ過去を清算する!


「会えて嬉しいよ。そして跪け」


 50メートルの巨体の先に付いた顔を拝み、トゥーラは急速落下した。すると怪獣にも猛烈な重力が掛かり、沈む。彼女が華麗に降り立つと同時に、敵は地面に這いつくばる。

 いかに強固な装甲を持っていようと、通常の何十倍ものGなど一体誰が防げようか。高身長と言ってもたかだが170センチの少女に巨大な化物は見下される。その眼は極めて冷徹で、「氷の女帝」の異名に相応しい。遠巻きに見る兵士達は十年以上前と変わらぬ転士の力に平伏する。


「その巨体が仇となったな。自重で潰れて死ぬがいい」


 ベキベキと音を立てて、巨大グソクムシの足が潰れていく。トゥーラは容赦なく重力を増す。もう怪獣の体の半分くらいは地面に埋もれてしまっている。それでもしぶとい。殻が剥がれていくのはトゥーラの仕業ではなく、再び反撃が来る!

 四方八方に飛び散る巨獣の甲殻弾が広がり過ぎないよう、重力で引っ張るトゥーラ。しかし彼女のチートは射程が短い。自身のみ狙うのなら問題なく対処できるが無差別攻撃を始められると厳しい。


「くっ、煩わせるな!」


 被害が拡大する前に決着をつけんとさらに負荷を与える。怪獣付近の重力場が重すぎて空間さえ歪む。ようは極小のブラックホールを形成するようなもの。いくらトゥーラでもそんな出力を長時間維持できない。こうなると根競べだ。

 怪獣の体力か、トゥーラの執念か。真っ先に折れたのはそのどちらでもなかった。業を煮やした赤褐色の髪の乙女が重力場に飛び込んできた。蛮勇にも。


「フレイか!? 来るな!」

「それはこっちの台詞だトゥーラ! 貴様こそのこのこと、今更リーダー面して指図する資格があると思っているのか! もしこの状況でなければ倒させてもらったところだぞ!」


 トゥーラと同じく文化王十二志士の一人フレイは憤怒した。十年熟成された鬱憤を加味して。


「尊敬していたのに逃げ出した貴様に任せられるか! 元帥である私の指示で動け、いいな! わかったら決め手に欠ける重力支配を緩めろ、私の灼熱地獄(オーバーヒート)で奴を仕留める!」


 問答無用で言い切るなり、怪獣に向かっていくフレイ。この熱血漢の元仲間を無視するわけにもいかず、トゥーラは重力場を解いた。それでも三倍の重力で抑えつけているが、フレイも根性で怪獣に貼りつく。


「受けてみよ正義の炎、蒸発すべし悪鬼、この国は我々が守る!」


 ブラックホールの次は太陽が地上に発生した。局所的に温度が著しく上昇し、空気中の水分を全て蒸気へと変換する。白い煙が晴れたなら真っ赤に焼ける巨体が光放つ。チートでフレイのみは高熱の影響を受けないが、性格的に涼しげな顔などせず燃え上がっていた。

 グソクムシ怪獣の背甲以外が溶解していく。触角は真っ先に抜け落ち、崩れていく顔。追い討ちをかけるように砲火を浴びる。灼熱地獄が通ったら砲撃を始めるようにと事前にフレイ元帥は指示していた。汗だくになりながら遠ざかるトゥーラも勝ちを確信する。更に遠くの軍司令部でも安堵の声が巻き起こる。

 無理もない。彼らはこれまで多くの敵を倒し世界を守ってきた自負がある。とても想像できない――文明を軽く滅ぼせる存在なんて。

 巨大怪獣の顔が溶け落ちた途端、ぬるっと新しい首が生えてきた。長く蛇のようで、鋭い牙を覗かせる――フレイの頭上すぐに。


「フレイ!」


 トゥーラの叫びむなしく、転士フレイは食われた。耳を劈く咀嚼音が響き渡る。周りが唖然としている間に熱が冷め、真っ赤になっていた殻は揺り戻された水滴でキラキラ黒光りする。

 爬虫類じみた顔は縮みながらもトゥーラを見下ろした。立場逆転。


「お前も私を見下すか……頭が高い!」


 トゥーラは重力支配で再び怪獣を跪かせようとやっきになる。二度も仲間を死なせてしまった自分の愚かさを直視したくなくて。けれど距離があると効果が薄く、怪獣とてもう同じ手は食わないとばかりに甲殻弾幕を張って近づかせない。

 折れた節足の代わりに太く逞しい二本の足を生やし、怪獣はゆっくりと立ち上がる。更に腕も生えてきた。最早グソクムシの面影はなく、しいて形容するなら甲羅を背負う亀に近いが、この巨体で重力に負けず直立している時点最早あらゆる生物を超越していた。

 人々は口々に「ギメラ」とそいつの名を口にした。クリスタ教の聖典にも伝えられる伝説の四つの魔物、即ち古代クリスタリカを滅ぼした四大怪獣の内の一体の特徴はまさに二足歩行する亀なのだ。当時の怪獣がそのまま現れたのではなく、結局怪獣の進化の終着点は決まっていて、その誕生と共に他の生命が淘汰される歴史が繰り返されるというだけである。

 ギメラの腹部が真っ赤に染まれば、その口から熱風が漏れ始める。まるで取り込んだフレイの能力のように。現場指揮官を失って統率のとれていない砲撃隊を正面から睨む。


「くっ食われるのは嫌だぁ!」


 恐ろしさのあまり逃げ出す者もいる。けれど彼らが想定している以上に恐ろしい事態が待ち受けていた。ギメラはガバッと口を大きく開ける。もう逃げても逃げられない。

 火を噴いた。大砲ではなく、怪獣が口から。その巨体に見合ったとてつもない量の火炎が一瞬で砲撃隊を焼き尽くした。レッドカーテンの厚い壁も薙ぎ倒され、裏に隠れていた者も蒸発する。付近の地下に避難していた民間人も蒸し焼きだ。幸いかわせたのはギメラの背後から反重力で飛び退いたトゥーラくらいだった。

 地獄の業火は瞬く間に広がり、一面焦土と化す。ギメラの熱放射は次第に収束していくがこれで終わりではなかった。むしろ破壊力を高めた熱光線となってより射程が伸びる。少し首を動かすだけで薙ぎ払い、王都に死の線を刻んだ。一旦中央方面から離れ、狙いは北区、軍司令部本部!


「火が、火がこちらに!」

「なんてこと……」


 部隊全滅、フレイ戦死の恐るべき報告を受け屋外に出たナナと将軍達をちょうど熱線が出迎える。弾薬庫が爆発して吹っ飛び、大展望台もすぐ光と熱に飲み込まれた。王都の兵力の八割は、これにて消滅と相成った。

 流石に火炎の勢いも衰えると、最後の力を振り絞ってギメラは首は大きく左上に振った。熱線はまず北から王宮の屋根を掠めて南へ、大聖堂の真上を通り、南東区の十五重塔を切断してようやく消えた。この王都のシンボルはあえなく崩れ落ちていく。設計者のロカイユが生きていたら絶叫して悲しむか、あるいは建て直せると歓喜したか、今となってはもうわからない。

 数々のチートによって栄華を極めた都が今、炎上している。奇しくも昨日の第三ゲットーと似た地獄絵図。それを不条理な天災と捉えるか、あるいは転士やクリスタリカ人の因果応報と考えるかは人それぞれだろう。ただ誰もが恐怖した。滅びというものがすぐそこまで迫っていると実感してしまって――

 一通り惨状を見たテンキは膝を付く。腹痛は先程より酷くなる一方。だが、諦めたらそこで終わる。無力感から深い絶望に飲まれそうでも、為政者として諦めることは許されない。そう自分に言い聞かせて後宮の屋敷を飛び出した。



「助けに来たわよ、ナナ」

「セイラ……」


 ナナが目を開けると、真っ先に同僚の顔が飛び込んできた。それから慌てて起き上がり周囲を見渡せば、一面赤く明るい。燃え盛るクリスタリカ軍本部から少し離れた場所に二人はいた。

 大怪獣ギメラの熱光線が襲い掛かった時、ちょうどセイラが戻ってきていた。南の端のゲットーから急ぎ跳躍道具(ワープアイテム)を駆使して。そして辛うじてナナ一人をあの場から引き剥がし、離脱した次第。タイミングがギリギリだったのはセイラの火傷跡を見れば明らか、綺麗な金髪も焦げてしまっている。


「ワタクシの何か気にかかる? 言っておくけど貴方も大差ないですわ」

「そう、なんですね……」

「マシな部類よ」


 セイラの言う通り、この場で息をしているだけでも上等な方だった。辺りに転がる焼死体でさえまだ人間と判別付く分救いがあると言えるかもしれない。蒸発して何も残せなかったりグチャグチャになって風景に埋没してしまった者も少なくないのだから。

 あまりに痛ましい光景にナナは言葉も出ない。涙も出ない。もう何度目だろうと彼女は思った――部下達を死なせ、自分だけおめおめ生き残るのは。それこそ前世で戦闘機乗りの教官をやっていた頃から。時は大戦末期、若く未来のあったはずの若者をいくら特攻機に載せてやったか、一人一人思い出せてしまう。

 ――自分が死ねばよかったのに。なのに、地獄を維持する為に生かされ続ける。一度死んでなお、転生者ナナの苦しみは続く。


「何貴方、死に損なってしまったって顔して。勝手に死ぬなんてワタクシは勿論人民が許しませんから。生きて責務を果たしなさいよ!」


 長い付き合いだけあって、セイラには同僚の考えていることくらいお見通し。その上で制するのが彼女のキツイ性格だ。


「生きて責務を果たせ、か……重い言葉……けどやらなきゃいけないのはわかっています。正論有難うセイラ」

「あらどういたしまして。けど当然ですわ」


 こんな時でもセイラは両手を腰に当てて高飛車な声を出す。つられてナナも普段通りクスリと笑ってみせた。


「さて、動ける者を集めて防衛線の再構築をしなければ。ここはもう使えない。王宮の損害も気になりますしテンキ様に報告して近衛兵を連れて中央区へ向かうとしましょう」

「そんな悠長なことを言ってられるの? まぁワタクシ単独で奴を足止めしておくからその間に……少し手間が省けたかしら?」


 セイラが指差した方から馬車が走ってきた。ワープで先回りする彼女に続いてナナも駆け寄る。王の持ち物だと一目で気づいたからだ。


「ナナ、無事じゃったか!」

「テンキ様!?」


 御者がやけに小さいと思えば、この幼女こそまさしく勇者達の主だった。


「セイラもよく戻ってきてくれた」

「普段踏ん反り返っている割にそういう芸も出来るんですのね」

「馬鹿にするでない。以降は我が指揮を執る。もしこの国が滅びるようなことがあれば我を恨め」

「そうさせてもらいますわ」

「いえ、責任は背負いますよ私達も。貴方の勅命がなくとも」

「なら早く乗り込め」


 テンキは目を閉じて言った。そのせいか、ナナは従わず立ち止まる。


「む、何じゃ無視しおって」

「……テンキ様、セイラ、向こうから聞こえませんか?」

「何がですの?」

「プロペラの音」


 経験上真っ先にナナは気づいた。彼女の言った通りすぐ、たなびく煙の合間から機影が飛び出す。紛れもなく航空機だ。石油の取れないこの異世界の空を飛ぶのは水素で浮かせる飛行船でなければ難しい。にもかかわらずスチームエンジンで足りない動力を足漕ぎで補って飛ばすような酔狂な飛行機が一機、パイロットが一人だけいた。それも彼女達のよく知る――


「カプローニ、マルコか!」


 テンキは頭上を見上げ、思わず叫んだ。三人の少女を影が覆い、すぐさま抜き去った。嗚呼、黄昏時の焼けた空を緑のカプローニ号が往く。八勇者、剛腕のマルコを乗せて。飛行機雲は一筋の希望か。

 災厄の化身ギメラもまた動き始める。50メートルの巨体が二足歩行するだけで凄まじい威圧感を与える。

 けれども立ち向かう者がここにも一人いた。転士トゥーラだ。

 十年前のラス・ボス級を遥かに上回る真の怪獣、その脅威を間近で目の当たりにしてなお、彼女は立ち塞がろうとした。でなければ愛しのティアに会わせる顔がない、自分を許せないと。


「ととと止まれ! 止まってよ!」


 恰好がつくことを言おうとしても声は裏返る。再度怪獣に何倍もの重力を加えるが、四足歩行になっただけでなおも前進せんという気迫。トゥーラの足は自ずと下がっていく。けれども目線だけは逸らさない――屈してなるものか。


「ティア、お願い力を貸して」

「んじゃ、やってやるぜぇ~!」


 怪獣の方から目を逸らしたなら、巨大な翼を持つ航空機が割り込んできた。ギメラはトゥーラには目もくれず新参者を追う。計り知れない力に惹かれたか。

 マルコのカプローニ号は旋回し、大怪獣の頭部を機銃で狙い撃つ。すると殻の中に引っ込んだ。亀そのものの反応。ただしギメラの甲羅はただ身を守る盾でなく、広範囲に貫く矛にもなる。

 飛び散る甲殻弾をかわしきれず、あっさり墜落するカプローニ――と見せかけてどうせ被弾して落ちるのだからと最初から怪獣めがけて急降下していた。


「今までありがとカプローニ四世、先に地獄で待っててくれ……んーしかしやっぱ不吉の数字とかあるのかなぁ」


 コックピットから小さな体が飛び出す。パラシュートも持たず。流れに身を任せるまま落ちるマルコ。愛機は蜂の巣になった挙句軌道を逸らされて地面とキスするが、ちょうどいい隠れ蓑になってくれた。彼女本人はしっかり相手の真上を取り、体に回転を加えながらハンマーをしっかりと握り、振り下ろす!

 八勇者の伝説でも名高い、必殺のマルコハンマー。落下エネルギーだけでも凄まじいが、そこに百万馬力(マキシマムパワー)のチートが加算されて山一つ砕くほどの威力となる。もっとも反動をも相殺するチートとミストリスで発掘された神器ミョルニル――彼女はマルコハンマーと名付けた――の頑強さあってこそだが。

 その結果、ギメラの背部装甲に亀裂が走った。だが完全に叩き割るまでには至らない。マルコハンマーの方にもヒビが入ってしまっている。それでも攻撃を続けようとするマルコだが、暴れる怪獣に振り落とされた。


「流石に一筋縄ではいかないな。けど初めて全力を出せるねこりゃ」


 額が出るほどゴーグルを上げて少女は巨大な敵を見つめた。身長と同じ丈のハンマーを易々振り回すだけでもアンバランスだが、怪獣と並べば一層彼女の異常さは際立つ。

 華奢な体付きでも「剛腕のマルコ」に相違ない。十年越しにトゥーラは駆け寄って声を掛ける。


「マルコ様、御無事で!?」

「よっトゥーラ。お久~」


 小柄な大先輩はまるで緊張感のない挨拶をした。


「なんだ、しけた顔してまだ落ち込んでんの? ほら、酒でも呑んで元気だしなよ」


 とほとんど空の音がするボトルを差し出すポーズ。トゥーラは固まっている。


「はっはーん、敵の贈り物なんか受け取れないってわけだな」

「いえ、その、今はそれどころではないかと」

「だよね~正直転士同士争えとか言われましても全然全くやる気出ないんだよね。なにそれアホの極み。やっぱ勇者は化物倒してナンボっしょ!」


 あっけらかんに言いながらも、マルコの目付きは真剣そのものだった。髪の色と同じ青い空と酒と自由を愛する無頼者、けれど真摯な人だったとトゥーラは思い出す。だからこの勇者は皆に呆れられつつも慕われた。


《マルコ、テメーの言う通りになったぜ》

「なんだひよこ坊や、今いいところだから出てくんな」

《今からしばらく通常のバトルロイヤルは中断で怪獣討伐レイドバトルに変更だ。協力してアイツを倒すと良いぜ。ただ、最後に仕留めた一名様には豪華景品としてクリスタルの欠片をプレゼントだ。つーっと寿命と新しいチート能力やるってことだぜ。まー精々頑張れよ》


 神の使いにしてゲームマスターは唐突にルール変更を告げた。勿論同士討ちを避けたいテンキの策謀による。だからなんだとマルコは頭を掻くも、気を取り直してハンマーを構えた。


「別にもう何もいらんけど……まっオレはオレの出来ることをやるだけってね。んじゃーそゆことで、転士舐めるなよ怪獣!」

「大怪獣・王都大決戦」(中)につづく

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