プロローグ
……もてたい。
女の子といちゃいちゃしたい。
彼女欲しい。
ハーレム作りたい。
口には出来ないあんな事やこんな事をしたい。
「でも、無理なんだよなあ……」
もてるために運動を頑張った。
大体の部活には短期とはいえ取り合えず入部した。
スポーツ万能はよくもてるし、実際全部そこそこできる様になった。
体力テストもかなり上位に入る。
勉強もできるともてるからと頑張った。
毎日予習復習は欠かさずやった。
いつもテストではそこそこ上にいる。
顔も悪くない、と思いたい。
ここまで条件を整え、いろんな人に手当たり次第に告白した。
全て断られた。ひどい。
「そもそも断る理由が理不尽すぎる」
顔は悪くないけど言動がやばいから無理とか。
嫌いじゃないし友達としてはいいけど、付き合うなるとちょっとやばいから嫌とか。
普段の行動がやばいから無いとか。
変人度合いがやばいから難しいとか。
お前はちょっとやばいからとか。
やばいしかいわれてないよ。
やばい人間か俺。
「はあ……」
いやいやだめだ。こんな事でどうする。
今日もファミレスでアルバイト。元気を出していこう。
まあアルバイトを始めた理由も、バイト先の人とあわよくばという考えだけど。
「……ん?」
いつもバイト先へ向かう際に通る横断歩道。
歩行者信号は青に切り替わり、歩き始めようと思い左右を確認した時だ。
(おいおい赤信号だぞ。止まる気ないだろ、あの車)
そう思って脚を止めた。
しかし、歩道の向こう側にいる女性はスマートフォンに夢中で気づいてないみたいだ。
このままいけば確実に自動車に引かれる事になるだろう。
(……! 間に合え!)
助けたら吊り橋効果でいけそうな気がする!!
というかいけるだろ絶対!!
(間に合え間に合えいけるいけるイけるイける絶対イクイクイクイク)
なんか字が変わっている気がするが関係ない。
早く早くもっと早く。
絶対に助ける。絶対に付き合う。突き合う。
いけるいける絶対に。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
そして加速し
加速して
加速し続け
俺は
消えた。