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戦う男(1)

尚美目線

好みのタイプの男性は、と聞かれたら?


戦う男、と答えるだろう。


それを考えれば脩悟は、どうしょうもない男だった。

初対面の時は。




「は?」


撮影が滞っている理由を知って驚愕した。


「スミマセン……」


腰の低いスタッフに罪はない。


「ウソでしょう?」


「ほんと、申し訳ないです」


「あなたは悪くないから。

むしろ、申し訳ないわ」


悪いのは「脩悟」なんだから。




「酒の抜けるの待ちってどういうことですか?」


いくら相手が落ち目のモデルだからって、そんなことやる相手と一緒に仕事したくない。


ソコまでプライド落ちていない。


「スミマセン。

でも、健が失恋したって聞いて、放ってはおけなかったんです」


「……そんなスキャンダル、アッサリ口にしていいんですか?

私が週刊誌に情報売ったらどうするんですか?」


「あなたは多分売りません。

じゃなきゃ、ここまで来ていない。

俺のことなんて放っておく。

いい加減、仕事します。

これ以上、お待たせできませんし」


「謙虚なのね、トップアイドルなのに」


脩悟は皮肉げに笑った。


「トップアイドルのバックダンサーですけどね」


匠の人気はずば抜けていた。


匠のバックダンサーと、「もしパラ」メンバーを呼ぶ人たちがいる事は知っていた。


でも、ちゃんと見ていればわかる。

歌もダンスも、キッチリ等分されている。

誰もが主役だ。


「尚美さん、ありがとうございます」


不意に声をかけられ振り替えると、「もしパラ」のマネージャーがいた。


「何が、ですか?」


脩悟の酒抜けをまってくれて?

脩悟を引っ張り出してくれて?


「まず、仕事を引き受けてくださって。

いっぱいお待ちいただいて。

そして、出るタイミングを逃した脩悟を迎えに来てくださって」


「私はしがない落ち目のモデルですから。

声をかけていただいたお仕事は、ありがたくお引き受けします」


「ありがとうございます。

脩悟は、あなたと一緒にお仕事ができるの、楽しみにしていたのよ」


「ありがとうございます」




このときの私は、言われた言葉の意味を知らなかった。




「あの、今度ご飯にいきませんか?」


「え?」


現役トップアイドルが何をいっているのでしょう?


「あなたがモデルをつとめた、服のリメイクの本、見ました。

普通の人じゃ着こなせない服も多かったですけど。

服のよさを最大限に活かした独特の世界観が写真を通じても伝わってきて。

今日お会いできるのを本当に楽しみにしていたんです。

一緒に真剣にお仕事がしたかったから、だいぶお待たせしてしまいましたけど」


「はぁ」


気の抜けた返事しか出てこなかった。


「お詫びもかねて、ご馳走させてください。

ついでに、色んなお話を聞かせていただけたらありがたいなー、なんて思ったりして」


トップアイドルは意外と甘えたキャラらしかった。

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