密談
健目線
「気苦労をかけるね、なっちゃん」
健は意図的に朗らかに笑った。
「知って、いたのね」
「うん」
「どうして?」
「ライブは、できないんだよ。
もう、脩悟にはそんな時間は残されていない」
隣にいたなっちゃんが息をのむ。
「ね、なっちゃん。
脩悟の番組、全部打ちきりにできる?
変な時期に終わらせちゃって悟られちゃったら嫌だから、
できれば、夏クールまでで」
「そんなさ、悪いの?
だって脩悟元気じゃん?
オレなんかよりよっぽど元気だよ」
と、横から将生が口を挟む。
「分かったわ、健。
やってみる。
将生、あなたはちょっと黙ってて」
なっちゃんは電話をかけながら席をたった。
「はーい」
なっちゃんの背中に将生は返事をした。
「将生も分かってるくせに」
脩悟は、明かに痩せ始めた。
あんなにも大食間だったのに、今はもうアンマリ食べない。
カメラの回っているところではテンション高く振る舞っているが、常に疲れたような印象もある。
「なんかさー、実感わかないんだよね。
あいつさ、ムチャなダイエットするし、結構痩せたり太ったり激しいからさ、なんかもう、いつもの光景、みたいな」
いくら冗談めかしていっても、冗談とならずに沈黙が落ちる。
「早く気付いてくれれば俺らも楽なのにね」