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爆弾
伊月目線
「あー、あのさー」
番組の収録後、脩悟はいきなり爆弾を投下した。
「ライブ、もしかしたら無理かもしんない」
気心知れたマネージャーはあんぐり口を明け、驚愕の眼差しで脩悟を見つめる。
「どゆこと?」
最初に口を開いたのは匠だった。
「ん、そのまんまですよ。
ライブ、無理かもしんない、です」
「いや、だからさ、何で無理なんだよ?」
デビュー15周年。
アニバーサリーイヤーの今年は、大規模なライブを予定していた。
最終日には、解散が発表される予定だってことは、匠だけが知らない。
「なんとなく」
「なんとなく?」
「ってことだから、みんな、お疲れさまでした」
言いたいことだけ言って、脩悟はスタジオを出ていった。
「ちょっと待て、どういうことだよ?」
匠が脩悟を追いかけていく。
「なっちゃんも知らなかったんだ」
敏腕マネージャーで名を馳せる彼女にも脩悟は相談しなかった。
となれば、理由は明確。
「場所、変えよっか」
誰が聞いているかも分からない部屋でする話じゃなかった。