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準備1

翌日からイジメの内容がエスカレートしていった。

俺は昨日と同じ時間に学校に来る。何人かは、いつも通りのメンバーだったが、見ないような顔もいた。藤村と他数名である。

気にしないようにはしているが、意識はこちらに向けているのがバレバレである。

そして俺は椅子に座り机の中を探ってみる。


「……?……」


手を入れると何かが刺さったような気がした。画鋲だった。俺の手からは少しだけ血が滲んでいる。周りの様子伺うとニヤけたり静かに笑うような声が聞こえた。

俺はそれを無視しながら、怪我をしないように集めて教室の棚の画鋲が入っている箱に入れる。

その時普通の人なら、騒ぎ立てたり、先生や警察に相談するなり、報復を考えるのだろう。しかし俺はその事が全くと言っていいほど頭には浮かばなかった。その時俺は、


「(画鋲って刺さっても痛くないんだな)」


などと考えていた。その後、あの異常性に俺は気づいたが、特に気には留めなかった。


それからはさらにイジメもレパートリーが増えて対処が大変だった。しかし目立つ怪我は無かったので大事になる事も無かった。


そしてその週の木曜日に、ある事が新しく始まった。


「みんなー、もうすぐ文化祭だから準備しっかりやるよー。展示だからって、手抜きだったら張り倒すからねー」


担任の成瀬が、そう言うが教室反応はだらけ気味だ。


「えぇー面倒くさいっすよ先生〜。」


他の人はため息もついてる。

ただその中に1人すごいやる気のある奴がいた。


「先生!ここは俺に任せてください!普段の労力を全てこの文化祭に費やしてみせましょう!」


桐島 尚だった。あいつは中立グループで少し考えている様子を見せていた。恐らく、みんなをまとめて、この文化祭を成功させて教室の空気を元に戻したいと思っているのだろう。様々な事が出来るあいつには確かにぴったりかもしれない。


「普段の授業を寝ないことから始めような〜、桐島は。まぁ置いといて、展示の内容は1学期に決めてあるから大丈夫だよな。じゃあ準備しろー」


展示の内容は「世界の文化」だった。みんなで紙に書いて、当日は教室に置いておくという典型的なものだ。

すると、ここで桐島が手を挙げていた。


「みんなー、ちょっといいかな?そのー、俺だけ少し別で作ったんだけど展示してもいいかな…?」


「まぁいいんじゃない?」


「別に大丈夫かな」


などと声が聞こえてくる。やる気があまりないからか反論する声は無い。


「本当に!?みんなありがとう!スゴイの作るから」


と言ってパソコンを取り出した。

興味を持った数人はそれによっていく。

どうやら映像作品を作っている途中のようだ。

しかも夏休み中に仕上げていたのか7割くらいは終わっている。


「うぉ!なんだこれ、すげぇ!」


藤村が声を上げる。

その声に釣られて殆どの人はそれを見ていた。そこで桐島が切り出す。


「どうかなみんな?どうせやるなら、みんなでもっと良いもの作らない?俺は1人で作っちゃったけど…これが終わったらみんなのも手伝うから」


桐島のその声に賛同する藤村。


「仕方ねーな、いっちょやりますか!」


そしてそれに続くみんなの声。

ただし一部の反対もあった。反対というか楽をしたい奴らの声だ。


「桐島が1人でそれ作って見せれば良くね?」


「そうだよ、どうせ展示なんて誰もこねぇし


「だけど…みんなでやった方が楽しいって。」


桐島が反論する。


「とは言ってもなぁ。そんなにスゲェの俺は作れねぇし」


少し桐島が押されていた。しかしそこで口を開いた奴がいた。



「でも、そんなこと言わないでやらない?」



なんと元カノである。



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