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亀裂3

皆さんのブックマーク、評価のお陰で日間1位になる事が出来ました。この場を借りてお礼申し上げます。感想などもありがとうございます。

今日は少し家を早く出た。ある予想をしていたからだ。


教室の近くまで来ると言い争いが聞こえてきた。生田が相川や佐山、その他の女子と喧嘩しているようだった。


「お前らっ!こんなのおかしいだろ!やめろよ!」


「は?なにがおかしいわけ?されても文句は言えない事をしたのよあいつは。」


「そうだよねー、だってあいつは手酷く美香を振ったしー。もう少し言い方はあったのに…。美咲は、庇うわけ?」


「そうじゃないけど…それでも間違ってる!」


俺は気にせず教室に入る。途端に言い争いがなくなる。真っ直ぐ机まで行き、座って中を探る。すると手に何かあたる。

引っ張り出すとそれはゴミだった。それも大量の。


「(はぁ、予想通りかよ)」


元カノの事だ。あれだけの演技力と影響力があればこれくらいはできるのだろう。

ゴミを捨てようと席を立とうとした時に生田が俺に声をかける。


「なぁ、きのし——


「後でな」


俺はそれを遮って答えた。

それから昼まで誰とも一言も言葉を交わさなかった。その間クラスを観察してみると、どうやら3つのグループに分かれているようだった。


まずは元カノのグループ

藤村や相川、佐山はこの辺りだ。そして会話がたまに耳に入ってくると、俺の罵倒がほとんどだ。恐らく聞こえるように入ってるのだろう。

次に興味がない、もしくは中立を保つ人達のグループ。実はここが1番多い。

ここには宮島や鹿又、勝田が入る。イジメに関わりたくない人が8割、残りの2割はこの急展開を訝しむ人のようだ。

最後はイジメはやめようというグループ。

いやグループとは言えなかった。なぜなら生田しかいないからだ。残念ながら俺を擁護するグループはない。まぁ当然っちゃあ当然なんだが。


昼になって藤村が絡んでくる。


「なぁ、そこ使いたいからどいてくんねぇ?クズ」


「……」


また何かされては面倒だと思い、俺はその言葉に従う。


「(今日は外で食べるか)」


そう思い直し、校内を歩き回り誰もいないベンチを見つける。


「(意外と早く見つかるもんだな)」


そしてそこで座り、昼ご飯を食べる。少し食べ進めた所で生田が来るのが見えた。


「木下…、なんでこんな所で食ってんだよ…」


「別に俺がどこで食おうが勝手だろ。あまり気にすんなよ。」


願うような弱々しい声に俺は普段の調子で返そうとする。


「でも……違うだろ……」


生田も頭では理解していても心が許さないのだろう。優しいやつだ。


「そんなに俺の事を気にするなよ。」


「無理だよ………あぁもうクソっ!」


会話は途切れる。

そして今度は俺から切り出す。


「なぁ生田。俺とは喋らない方がいいぞ。」


「なんで…そんな別に、嫌われる事くらい——」


「ダメだ。とにかく俺とは喋るな」


そう言って俺は立ち去る。立ち尽くす生田がすれ違いざまに何か言った気がしたが俺は無視をした。


「(はぁ、本当に藤村の言う通りだな俺。まぁあいつと関わるよりはマシか)」


俺はそのまま教室へと戻った。


教室へ戻ると空気が悪化していた。

俺を睨む目が少し増えている。どうせ元カノが一芝居、打ったのだろう。


俺は既に、何をされようがどうでもいいと思っていた。もう『悔しい』や『辛い』を感じる心が擦り切れてしまったのだろう。その事を他人事のように見ている俺が何よりの証拠だ。


その日は俺は一言も喋らず、何をされる事もなかった。

しかし、元カノが本格的に仕掛けてきたのはここからだった。


9月5日の事だった。

8/1指摘された誤字の修正をしました。

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