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水面下の戦い2

俺はスマホを操作して、以前話し合った時に貰っておいた音声を桐島、鹿又、藤村に送る。この音声を送る理由はただ一つ。元カノに対する疑念を持たせる為だ。

これが証拠として提示されていたり、『元カノの本音だ』などと言いふらしても、既に効果は無かっただろうが、疑念を抱かせるには十分だ。人は誰だって、最後に与えられる印象に偏ってしまう。そこを突くのだ。

そして何故この3人だけに送るかと言うと、多くの人間に送ってしまった場合は行為が露見してしまう可能性が高い。だから3人に絞った。

そして人選の理由だが、1人目の桐島は中立の男子という事だから情報が発信されやすいという点だ。ただ、人の良さから広まらない可能性もある。無いよりマシ程度の気持ちだ。

本命は2人目の鹿又だ。元カノが操ったように、俺も利用させてもらう事にした。こちらの効き目には期待している。是非、クラス内を引っ掻き回してほしい。

しかし、3人目の藤村は完全に別の目的だ。藤村にこの音声を聞かせる理由、それは俺が味方だと思わせる事。敵の敵は味方という訳では無いが、元カノを崩すにはそこしかない。俺個人の感情として、協力という手を取りたくは無いが、使い捨てると思えば十分だ。


桐島と鹿又には間違えたフリして送る。一緒に『あまり広めないでね』とでも送れば、効果が期待出来るだろう。『絶対』と『あまり』の境目は人によって違うが大多数は、少しなら話していいと解釈するだろう。

問題は藤村だ。


藤村はそこまでメンタルが強くない、むしろ弱い節が数多く見られる。事件後、学校に来なかったり、勝田をビビっていたりする。何も考えられず、放心状態になってしまうのもその一部だろう。そこを利用させてもらおう。


俺は桐島と鹿又とのライムを早々に切り上げて藤村の返答を待つ。すると急に藤村から電話がかかってきた。意を決して、俺はそれに出た。


「もしもし」


「木下……送られてきた物は本当のやつか?」


あまり声に勢いがない。そして囁くような声で喋る藤村


「あぁ、もちろん本当だ」


「何故こんなものを送ってきた?」


「俺はあいつに復讐したいんだよ。だからその手伝いをしてくれないか?」


「……」


何も喋らなくなる藤村。軽く入るノイズしか聞こえるものはない。


「そしたらお前も被害者って周りもわかってくれるだろう、どうだしないか?」


「……今までしてきた事全部謝るから……俺が何をすれば良いのか教えてくれ…」


懇願するようにそう藤村は言い出した。藁にも縋る思いで俺に飛びついたに違いない。


「ああ、ありがとう。じゃあ大筋だけ話すぞ」


そう言って俺は藤村とどのように元カノを陥れるか、概要だけ話した。


翌日も学校へ行く。既に11月に入っていてこの頃はもう陽が早く落ちる。同時に寒さも増してきていた。

藤村が来るかどうかは向こうに任せたから来たいと思えば来るだろう。今の状況では、俺もあまり来たいとは思わないな。

そんな事を考えながら学校へと向かった。


教室の空気が微妙に変化していた。教室に入って軽く辺りを見回すと相川と勝田と生田が一緒にいた。サポートといってもそこまで露骨にするとは思っていなかったが、何かあったのだろうか。そう思って俺は近づいてみる。


「何かあったのか?」


「木下…その…どうやらグループで無視され始めたみたい。まだ少しぐらいだけれど、これから色々と増えてくると思う」


相川が俺の質問にそう答えた。元カノは既に対策を打っているようだ。


「これで上手くいくのか?」


生田が不安そうに声を上げる。


「無理に干渉すれば付け込む隙を与える事になる。どうするんだ大将?」


「大丈夫、上手くいくようにするから。相川はこれからは俺とあいつが絡む時だけで良い。そのタイミングで邪魔してくれ。状況が良ければ、あいつにくっつく感じで」


「わかった木下。やってみるわ」


そう俺は指示した。俺が裏でやっている事への隠れ蓑になってくれれば嬉しいがどう転ぶだろうか。


少しだけ変更しました。

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