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水面下の戦い

「ねぇ悟、久々に一緒に帰らない?」


そんな声が元カノから聞こえた。2学期になってからは、1度も2人で登校していないし、下校もしていない。その殆どの原因はイジメだ。俺は表情に出ないように取り繕う。


「今日は放課後に何かあったっけな?」


そう言って、状況を好転させる事を考えるが特には思いつかなかった。


「良いじゃん、2人で話したい事もあるし」


微笑みながら喋るが、きっと本心は違うのだろう。


「たぶん…無いな。じゃあ帰ろうか」


2人で話したい事と言うのが気になり、俺はそれに応じた。

2人で歩いて帰っている間は、基本、元カノから話しかけてきた。どれも普通の話だ。そして俺は普通に返す。はたから見れば、ただ仲良く喋りながら歩いてる様に見えるように。そして家まであと少しというところで会話は途切れた。そして家にたどり着く。


「急に態度を変えてどうしたの?」


「別に?どうもしないよ」


「隠したって無駄よ。私にはわかるんだから」


自慢気に言う元カノ。今まで俺の事を見てきた経験から言っているのだろう。しかしそれでも俺は何も無いと自分に強く言い聞かせる。


「何も知らない。お前の勘違いじゃ無いのか?」


「そうかしら?まぁいっか。そのうちわかる筈だし。楽しみにしてるわ」


そう言って家に入っていった。俺は録音状態のスマホをズボンのポケットから取り出す。特に何も収穫は無かった。しかし、元カノの喋り方を考えるに、おそらく向こうも録音してきている。2人きりとは言え、迂闊な発言が出来ないという事には向こうも気づいているのだろう。



夜になって俺は相川と連絡を取る。今後のための話をしたかった


「もしもし」


「どうしたの木下、なにか?」


「いや、確認だけしたくて」


「大丈夫よ。なんとか耐えてみせるわ」


一瞬、声のトーンが下がった様な気がしたが、気づけばいつも通りの声音に戻っていた。


「そうか…ありがとう」


「それだけ?それなら切るわね」


そうして、通話は途切れた。


これは、あの日の会議で話した事に関係していた。俺は相川に証拠を作って貰えないかと頼んだのだ。そしてその証拠を駆使して勝つという事を話した。今日みたいに相川が元カノと俺を引き離そうとすればいずれ、相川を排除しにかかるだろう。俺の時と似たような手をもって。そこを俺が突くという事だ。その間、勝田や生田には相川のサポートに回ってもらう。この話をした時、反対されるかと思ったが誰も反対はしなかった。もしかしたら生田と勝田も、相川に思う所があったのかもしれない。相川自身はどうなのかわからない。ただ、信じるしかない。

そして俺も今夜から1人で動き出す。

スマホを操作して、ライムに連絡を入れる。その相手は3人。その3人には文化祭の時の音声を送る。スマホを操作する画面に映し出される名前は、鹿又、桐島、そして藤村だ。

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