表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/38

始まりの日1

普段はこれくらいの長さだと思います。

ゆっくりとやっていきます。

ついに朝が来た。

自分を客観的に見れるようになると

すんなり寝れた。驚くほど気持ちの良い朝だった。

普段学校行くようにいつもの準備をする。

ただ、一緒に登校したくなかったから

いつもより50分も早く出た。


学校に着くと、部活をしていない生徒はまだあまり来ていないようだった。

この学校は8時25分から始業するので

朝練組とも会いにくい。

いつもギリギリに来ていたから時間の猶予があると思うと心がリラックスする。

教室に着くと1人だけしかいなかった。

普段はもう少しいるが、2学期の最初の日だからなのだろう。


「おはよう、久しぶり」


「おはよう鹿又さん。久しぶりだね」


彼女は鹿又 光

静かなタイプのロングの女の子だ。

ちなみに体形は細めである。


「今日は彼女さんと一緒に来てないの?」


早速それがきたか。学校でも揶揄われたから避けられないとはいえ、早い。


「えーと、その…」


あぁ、もうどうなってもいいや

寝取られた時点で高校生活なんてもう

辛いだけだし。覚悟を決めよう。


「誰その人?」


「えっ?」


鳩が豆鉄砲食らったみたいな反応している。

考えてたけどこれヤバイな


「…本気で…言ってるの?」


「本気ってなんだよ?可笑しい事言うね」


俺は笑いながら言葉を返す。

完璧に混乱してるみたいだ。もしかしたらいい役者になれるかもな俺は。


「えっ…でも…」


そんな時にドアをガタン!と思い切り開けて

入ってくる人がいた。


「よーっす大将、おはよう!」


「朝からうるさいなぁ、勝田は」


「これぐらいしか取り柄がないんだよ」


朝からうるさいのは勝田 実。

元気がありすぎる高身長の男だ。部活をしていて結構活躍している。

中学からの付き合いであるが、何故大将と呼ぶのかは分からない。

そして、何より、モテる。


「どうしたんだ、鹿又?固まってるけど」


勝田が問いかける。


「え!その…なんでも…ないよ」


声が尻すぼみになっている。

悪いね鹿又さん、許してくれ。

次に聞かれては面倒だと思い、さっさと俺は退散する事にした。


「ちょっと俺はトイレ行ってくるよ。」


「おう、大将、行ってこい!」


俺は苦笑いしながらトイレに逃げる。

取り敢えずはここで時間を潰す方が良いと感じた。


時計をみると8時だった。

そろそろ行かなければ誤魔化しにくいなと思い立ち上がる。

ふと、彼女の事を思い出す。

藤村との場面を。

その瞬間、吐き気がこみ上げる。


「(おぇっ…これはマズイ)」


吐く前に自分に暗示をかける。


「落ち着け、俺は実際に見たわけじゃない。勘違いかもしれない。落ち着け、落ち着くんだ。ダウンするのはまだ早いぞ」


なんとか吐かずに持ちこたえる。

聞こえてきた音や声は紛れもなく行為の音だ。そして頭でも理解している。しかし耐えるためには嘘だと言い聞かせるしかなかった。


「(なんでこんな矛盾してんだろうなぁ)」


胸焼けが異常に酷かった。


なんとか8時25分には間に合った。

教室に行くとほとんどが既にきているようだった。例のあの人も藤村も来ているようだ。

チャイムが鳴るとSHRが始まった。

このクラスでは学級委員が号令をする。いつの間にか始まりは俺、終わりは彼女になっていた。

「起立、礼」


「はーい、朝のホームルーム始めますよー。いやー、みんな久しぶりだね〜。桐島、元気にしてた?」


「ちょ、なんで俺なんですか。なんもしてないっすよ」


担任の成瀬 洋子がクラスの問題児、桐島 尚をいじる。

桐島は決して悪い奴ではない。ただ最強の遅刻男ってことと提出物が出ないってこと。

さらに非常に勉強ができない。

ダンスしたり機械いじれたり多芸ではあるんだけれど。


「まぁ元気そうでなによりだ。これからすぐに始業式だから体育館に集合。連絡は特に無い。以上だ、号令。」


「起立、礼」


先生の声に反応して、彼女が口を開く。

ただ声を聞いただけなのに、鳥肌がたった。


「(ちょっと重症すぎねぇか。もっと軽く考えるんだ。あいつとはここで初対面だ。自分に言い聞かせろ。)」


そして彼女がやってくる。笑顔で。

確かにいつもと変わらない笑顔なのに俺には見下しているようにしか見えなかった。


「朝どうしたの?お母さんから早く出たって聞いたけど用事でもあったの?それにLIMEも返してくれなかったし。」


演技できるか、不安だった。

もしかしたら見えない重圧に押しつぶされるのではないかと。

しかし彼女に話しかけられた瞬間不思議とスイッチが入った。



「初めまして。貴女、誰ですか?」


微笑みながら俺は答えた。


まずは2人の空間が凍りついた。


8/3

指摘がありましたので修正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ