覚悟2
放課後は俺に家に集まった。テスト1日前なのにこんな事をしていて大丈夫なのだろうか。ちょっとだけ、申し訳ないとも思っている。
「じゃあ大将話を聞かせてくれよ」
勝田は腰を下ろしてそう言った。
そして俺は話を始める。いつになく頭が冴えているような気がしていた。
「じゃあまずは、ゴールの設定からしよう。最終的に俺の今までの疑いと、イジメがなくなる事。これが目的でいい?」
俺は2人に問いかける。生田と勝田はしっかりと頷く。
「次に現状の確認だけど、今の俺だとあいつに何を言っても、絶対に効かない。だから証拠を出したいけど、証拠もない」
「聞けば聞くほど、最悪の状況だな」
勝田はそう応える。
「全くだ、何してんだか木下は」
生田も同調するように言う。
「それについては本当に悪いと思ってる」
俺は頭を下げて2人に謝る。
「まぁ、それはいい。大将、くどいかもしれないが1つ確認したい事がある」
勝田は
「なんだ?」
「今後、大将の行動次第では、藤村と大将の元カノは学校に入られなくなるかもしれない。もしかしたら人の運命を変えるような事だ。それでもいいのか?それをする覚悟はできてるのか?」
勝田は問いかけてきた。
覚悟も無しにやれば、想像以上の被害が出てしまった時に、俺が潰れてしまうと勝田は思ったのだろう。
例えば、藤村が追い込まれた末に最悪、自殺をしてしまったとか。
自殺は言い過ぎかもしれないが、そのくらい人生を狂わせる覚悟があるか、という事だろう。俺がやる事には、きっとそれだけの事が含まれている。
自分は悪くないと正当化するのは簡単だろうが、そんな事は関係無く、きっと一生付きまとう。
「大丈夫、覚悟は決まってる。もう逃げないって決めたんだ」
それでも逃げるわけにはいかない。そう決めたから。
「そうか、ならいいんだ。話の腰を折って悪かったな」
勝田はすぐにそう返す。
俺は「大丈夫」と一言。そして話す。
「まずは証拠を作らなくちゃならない。その為に藤村を利用しようと思う。理由は藤村が1番ボロを出しやすそうだからだな」
「確かに。藤村なら上手くいきそうだ。あいつは突発的な行動も多いしな」
生田はそう言う。同時に藤村に呼び出された事も思い出した。俺はそれを振り払うように言葉を発する。
「そこでなんだが、証拠を作る前にまずは宮島が必要だ。最初に宮島をこちら側に引き込みたい。だけど、どうしたら引き込めるか思いつかない。何か案はないか?」
「う〜〜〜〜ん」
生田は難しい顔で唸ってばかりいる
勝田は少し悩む様子を見せたが、声を発した。
「もしかしたら出来るかもしれない」
————————————
元々、勝田と宮島は仲が良かったものの、どのように引き込むのだろうか。俺はそれだけは思いつかなかった。仲がいいと言えども疑わしいのを、ひっくり返すのは難しい。
翌日、勝田と宮島は話しあっていた。テストの日なので、お互い都合は悪くないだろうから早い時間に集まったのだと思う。俺はいつもの時間に教室に入る。ある程度、静かな教室が誰も居なくなったかのような、静寂に包まれる。。宮島の表情は少し曇っていた。
テストの1日目が終わり俺は帰ろうとする。昨日は長話をしたから今日は家で休もうと思っていた。そこで宮島が話しかけてきた。
「テスト中で悪いが話があるんだ。空いてるか?」