クエスト16:セイヴ・ザ・プリンセス! 前編
“商業都市”ドラドーム。或いは、“廃墟の町”ドラドーム。
このドラドームは立地的には草原地帯と砂漠地帯の境目、美しく澄んだオアシスのほとりに築かれた町で、シナリオの進み具合によって二通りの顔を持つんだ。
実は本来のシナリオでは、最初にこの町に入るのは東大陸に飛んだ直後、つまりレオンハットのイベントでガルティオ氏が亡くなる際の最後の力でこちらに飛ばされて、この町の側にある砂漠で倒れていたところを通りすがりの商人に助けられる、といった流れなんだ。
そして主人公を追ってきたゲドの策略により、『勇者を助け、匿った』ただそれだけの理由で、やがてこの町は砂漠に棲む凶悪なモンスターである砂漠ザリガニの大軍に攻められ、壊滅してしまう……
……うん。言いたいことは分かる。砂漠ザリガニって愉快な名前だけどちゃんと強いモンスターなんだ。その硬い装甲は<氷>属性以外の攻撃を殆ど弾き、攻撃力もかなり強力、しかも戦闘中に仲間を呼ぶから長引きやすい。ゲームでも何人もの勇者が引き際を間違えて散っていった。
それに、ドラドーム自体は序盤に立ち寄る町だけど、この砂漠はローザ姫が捕らえられているだけあってゲーム終盤の難易度だから、砂漠に一歩踏み込んだ途端敵が強くなるという古典RPGではよくある罠があって、正直なところ東大陸に来たばかりの新米勇者では全く歯が立たないのが現実である。
そんなドラドームであるが、町の中は活気に満ち溢れていて、どうやら攻め込まれる前の“商業都市”モードのようであった。まずは一安心。
早速、僕の恩人(本来のストーリーだと)の商人トルネさんに会いに行く。
「いや~、最近は何故か魔王軍に動きがあまり無く、仕入れとかでも安全に移動ができて嬉しいですよ」
ストライプ模様の質素なワンピース姿のトルネさんは、そう言って人懐っこい笑みを浮かべた。
ややぽっちゃり系で人妻で一児の母な彼女であるが、その安易な萌えに走らず媚びない姿勢と人当たりの良い性格とあと商売に対する真摯で誠実な態度から意外とファンも多く、ネット上にも「もう疲れた。今日はトルネさんの腹に埋もれて眠りたい」というような書き込みが後を絶たない。
ちなみにこう見えてトルネさん、仕入れや行商の途中に現れるモンスターを算盤でしばき倒すぐらいに強いらしいが、大事な商売道具で何やってんのさと思わず突っ込みたくなる。
「魔王軍の動きが少ない、か……やっぱりゲドを倒したのが大きいのかな?」
「んー、ただそれにしては再編とか時間かかり過ぎな気もするのよねー」
シンディと二人で呻る。船で東大陸に渡った頃ぐらいから実はモンスターの沈静化についてちらほらと話を聞いていた。迷宮に入るといつも通りだがフィールドの移動中は明らかにモンスターに襲われる回数が減っているし、魔王軍幹部のゲドを倒したこと以外にも何か原因があるんだろうか。
「……末端のモンスターは、組織的な作戦行動を取ることがあまりないなの。特に動物型は本能で動くことが多いから、モンスターの数自体が減ってると考えるのが自然、なの……」
ルナが眼鏡をくいっと直しつつ、賢者らしき見解を口にした。確かにフィールドを歩いていて出会うモンスターの種類は迷宮に比べて動物型が多かったかな。
「そういうことで、最近仕入れた凄い品物があるんですよ。この宝珠、光のオーブと言いまして何でも七個集めると願いが叶うとかなんとか……」
手の平に乗るぐらいの眩しい白色に輝く球体を取り出し、トルネさんが説明する。だけどその内容、何か別の物と混ざってるよ。
「ええと、オーブに火、水、土、風、光、闇の六属性があるのは僕達も掴んでる情報だけど、最後の一属性って何なんだろうね?」
「……それは……愛、とか……?」
「…………愛、かあ……愛は大事だね……」
なんともいえず微妙な空気で遠い目をするトルネさんと僕。愛属性、もし何かの間違いで存在するとしたらやっぱり回復呪文だろうか。
「と、とにかく、魔王を倒すのに必要なアイテムだし買わせて貰うよ。幾らかな?」
RPGのお約束ではあるが、世界を救うためのアイテムだとしてもお店では適正な値段で購入しなければならない。人は皆自分の生活を抱えているのだ。一年後に滅ぶかも知れない世界より今日の生活が大事なことだってある。
「そうですね~、仕入れ値がこんなもので移動の経費がこれくらいで、でも世界が平和になると私達も嬉しいですからちょっとオマケして……こんなところで如何でしょう?」
愛用の算盤(物理、<斬>属性)を弾いて提示してきた値段は四五○○G。まあ妥当なところだろう。僕らは頷き合うと現金と足りない分は魔石を取り出してトルネさんに手渡す。強い敵が落とす魔石は相応に高く買い取って貰えるから高額貨幣代わりにもなるんだ。
「はい。確かに。毎度ありがとうございます~」
「こちらこそ。あ、それと、もしかするとこの町に“虫繰りの笛”ってアイテムが入ってくるかも知れないけど、仮に見かけても絶対に使わないように、あと誰かが鑑定に持ち込んでも絶対に使わせないように気を配ってて貰っても良いかな? 迂闊に使うと砂漠ザリガニを呼び寄せて町が襲われるから」
「ひえぇ~、そ、それは恐いですね。分かりました、気をつけておきます」
砂漠ザリガニの恐さはこの町でも知れ渡ってるようだ。ちなみにお気づきとは思うが虫操りの笛とはゲーム本編のシナリオでこの町が壊滅する原因だ。ゲドが居なくなったことでストーリーにあちこち綻びが生じてこの町の危機もどうやら過ぎ去ったぽいけど、気をつけるに越したことは無いし。
そして、ここでの用事を済ませた僕らは宿屋で一泊し、翌朝に砂漠地帯へ向けて進むことになる。“砂の幸”をふんだんに用いた異国情緒溢れる料理は、ちょっと辛かったけどなかなか美味だったよ。
「こんな殺風景な場所に閉じ込められてるなんて……おいたわしい限りね」
薄汚れた石造りの塔――『牢獄の塔』――の中を、僕らは進む。危険な砂漠地帯のど真ん中にある高難度の迷宮で、ここの最上階にラーダトゥム国王の娘、ローザ姫が捕らえられているのだ。
明かりも装飾も少なく、あるのは石の床、石の壁、石の天井、石の階段、あとは行く手を阻む扉代わりの鉄格子のみという、塔なのに地下に地下に潜っているかのような陰惨な場所。
敵も強く、特に砂漠地帯から何度か遭遇した砂漠ザリガニは僕一人だと結構苦戦しただろうと思う。単体なら僕が棍棒で甲殻を叩き割って終了だが、相手が複数居ると次々に仲間を呼ばれて敵の数が減らないことになる。
なので砂漠ザリガニの群れ相手の場合、主役はパーティで唯一<氷>属性の攻撃を行えるルナに任せることにした。シンディの≪硬盾≫で敵の攻撃を軽減して凌ぎ、その間に効果範囲の広い<氷>属性呪文≪氷河≫か≪氷雪嵐≫を叩き込み、撃ち漏らしがあれば僕とアヤメで順次処理する、という流れだ。
はたしてその作戦は綺麗にハマり、僕らの進む道には砂漠ザリガニの氷漬けの死体が量産されることになる。
「……にゅふふ。者共進め~蹴散らせ敵を~、なの……」
自分の時代の到来を感じたか、ルナの自信がいつもより溢れ出して駄々漏れになってる。だけど増長すると負けフラグに繋がるので釘は刺しておくのが良いかな。
「ルナちゃん、調子に乗ってるとユウちゃんと最初に酒場で会った時のアヤメちゃんみたいになるわよ」
「……これからは謙虚堅実に生きる、なの……」
「しくしくしく……」
そう考えてたらシンディが先に戒めてくれていた。でもアヤメがえぐえぐと泣きだしたのであの件はそろそろみんな忘れてあげても良いと思うんだ。
「と、ともかく、次の階段を上れば最上階だから気を引き締めてね」
注意を促して、決戦の場へと続く階段を上り始める。僕の武器も、甲殻系に有利な棍棒は荷物袋に戻してボス戦仕様の鋼の剣に換装している。鋼の剣は突出した性能は無いけど安定感があって使い易い、良い武器だとしみじみ思う。
そういえばここの最上階で戦う予定だった邪神官ゲドは既に倒した後だけどここでの中ボス戦はどうなるんだろう……
そんな僕の疑問に応えるかのように、先の方から獰猛な獣の呻り声のような低い音が聞こえる。うん、どうやら代わりの中ボスがちゃんと手配されているらしい。
やがて階段を上った先、決戦の大広間で僕達を待っていたのは――
「――竜!?」
「どう見てもドラゴンね」
「……ドラゴン、なの……」
「まさか……なんでこいつがここに!?」
細長く鋭いフォルムの、黄金色のドラゴン。高さは10メートルほど、頭から尻尾までの長さは恐らく20メートル以上、鋭い鍵爪の生えた四肢に力強く広がる両翼、そして呻り声をあげる度に全身を覆う黄金色の鱗に電気が走り、バチバチと白い閃光を放つ。
風と雷を司る上級のドラゴン、<雷>属性が効かないため“勇者殺し”とも恐れられる強敵ストームドラゴンだ! 本来『大嵐の山脈』のボスとして配置されてるはずのコイツが、何故此処に――?
「こいつは結構な強敵だけど……やれそうか?」
予想外の強敵出現に僕の声も硬くなるが、アヤメはえへへ、と花の咲くような笑顔で応えてきた。
「はい! わたくし、ドラゴンバスターで生竜を斬るのが小さい頃からの夢だったんです!」
「そんなお花屋さんとかお嫁さんのノリで物騒な夢語られても!」
軽くツッコミつつも剣を抜き、戦闘態勢に入る。
「まずルナは初手で≪耐電≫! ブレスを凌いだらシンディは≪硬盾≫を!」
「……なの」「分かったわ!」
僕が仲間に指示を飛ばすと同時に、ドラゴンが大きく息を吸い込む。口の中が嵐の空のように放電、発光し、剣呑な気配を感じる。
「……防ぎきる! ≪耐電≫なの!」
ルナの呪文により優しいカーテンのような光が僕らを包み込んだ。直後、ドラゴンのブレスが放たれて激しい稲妻の奔流が広間を満たす!
雷撃特有の、弾けて痺れるような痛みが僕達を襲う。だがルナの防御呪文のおかげで致命傷は避けたはずだ。次の攻撃に備えて、僕とルナは回復呪文を、シンディは物理攻撃に対する防御呪文を、それぞれ唱えだす。
「――はああっ!」
気合いと共に繰り出されたアヤメの≪二段斬り≫がドラゴンの喉元を襲う。彼女の武器ドラゴンバスターは名前の通りドラゴン系の敵にダメージ補正があるので、この戦いでも十分主戦力になってくれるだろう。
「護りは任せて! ≪硬盾≫! ――けど、これで良いの?」
シンディが訊いてくるのは、防御呪文の効果は重ならずに後からかけたものが有効になるから、先に張っていた≪耐電≫の効果が消えることを心配してのことだろう。僕は頷く。
「うん。奴のブレスは連続じゃあ使えない。次が来るまでは爪と牙が主体になるからそっちに気をつけて」
ゲーム的な言い方をすると、このストームドラゴンの行動パターンは所謂ローテーション型で、要は決まったターンに決まった攻撃を繰り出すタイプである。この竜の場合、5ターンを1セットとして、ブレス、物理、物理、物理、物理の順番になり、最初のブレスに戻る。
その物理攻撃もある程度の傾向はあるがランダム要素もあり、何の変哲もない通常攻撃や爪での二段攻撃、翼からの衝撃波で切り裂く遠距離技に尻尾での前列薙ぎ払い攻撃がある。
――グオオオオォォォォッ!
続く攻撃、ドラゴンが恐るべき咆哮と共に振り下ろしてきた左右の爪を凌ぎきり、僕も反撃に転じた。≪雷神剣≫や≪雷光鎚≫が効果がない今、僕が出せる最高威力の攻撃スキル≪二段斬り≫を繰り出し、ドラゴンの指先の痛そうな箇所を高速で斬りつける。
怒り狂った様子で巨木のような尻尾を叩きつけてくる。僕は盾で受け止めるが、身体のサイズや重量に違いがありすぎるため風に舞う木の葉のように弾き飛ばされた。
「――っと、大丈夫!?」
このまま壁か床に叩きつけられるかと覚悟を決めていたらその前にシンディの胸に抱き止められる。ただ最近のシンディの防具は竜の鱗で作られた強固な鎧なので固い感触がちょっと不満だ。
「ありがと。ちょっと体格差ナメてたかも」
そう。身体の大きさと重さはただそれだけで強力な武器となる。ゲームでは単純にキャラグラフィックの面積が広いだけであったが、実際に対峙すると迫力はあるわ攻撃の有効範囲は広いわ当たると軽々と飛ばされるわこちらの攻撃は急所に届きにくいわで戦い辛いことこの上ない。
まあもっとも、一般人なら一瞬で全滅させられそうな高位竜相手に「戦い辛い」と愚痴りつつもまともに応戦する時点で、僕だけでなく仲間達の実力も伝説に片足突っ込んでる気はする。
ともあれ、僕とシンディがなるべく前面に出て攻撃を引きつけつつアヤメが遊撃、ルナが回復という分担で戦闘を続行する。
ドラゴンの攻撃パターンの二周目に差し掛かり、再び≪耐電≫でブレスを防ぎつつ一旦回復呪文を唱えようとした、その時――
「きゃあっ!?」
「アヤメっ!」
ドラゴンが翼を一振りすることで生じた衝撃波が、僕とシンディの防衛線の隙間を縫ってアヤメに襲い掛かった!
防御スキル枠を≪耐電≫から≪硬盾≫に張り替える直前の一瞬の隙を突いて、防御力に不安のある彼女への高威力技のピンポイント攻撃。最悪の偶然が重なった形だ。或いは竜が意図してこの瞬間を狙ったか――
とにかく今はアヤメの怪我が心配だ! 肩からお腹にかけてざっくりと切り裂かれたアヤメは鮮血を散らしつつ崩れ落ちそうになる!
急いで駆け寄り、アヤメの小柄な身体を抱き止めた。意識はあるようで、この状況で尚ドラゴンバスターを握り締めて不敵な笑みを浮かべる。
「ユウちゃんっ! 上っ!」
僕達の頭上に影がさす。見上げるとドラゴンの鋭い爪。いや、足全体で叩き潰すつもりか!?
「くっ!」
アヤメをその場に押し倒すようにして覆い被さり、庇う。これ以上のダメージはアヤメの命を奪いかねない! ダメージに備えて歯を食いしばった次の瞬間、僕の背中に岩のような重い衝撃!
「――ぐ……ああぁっ!」
床に突いた両手両膝を起点に、石畳が割れて陥没する。僕の身体中が痛みにきしんで悲鳴をあげるが、アヤメには爪一本触れさせないぞ!
なおも僕達を床に挟みこんで押しつぶそうと、ドラゴンの前足がぎりぎりと上から圧力を加えてくる。そんな中、ルナからの援護の呪文が届く。
「――戦王殿、≪鋭刃≫なの!」
「なっ!?」
予想外の呪文につい驚きの声が出た。ここで回復じゃなく攻撃を取るのは前のめりすぎじゃありませんかね!? だけどルナの判断の真意は次の瞬間のアヤメの行動で明らかになる。
「倍返し、ですっ!!」
床の上の不自由な体勢のまま、高熱を帯びた闘気を武器の先端一点に凝縮し、ドラゴンの前足に突き入れた!
そしてインパクトの箇所から凄まじい熱量の炎が渦を巻き、ドラゴンの巨体をも包み込むかのように噴き上がる!
憤怒砲――受けているダメージが大きい程威力も上がるスキル≪憤怒獄炎破≫か! しかも炎の勢いから見てどうやら良い角度でクリティカルヒットを叩き込んだように見える。
「……やったか? なの……」
ルナ、君絶対わざと言ってるよね。だがそんなフラグを嘲笑うかのように、炎が治まった後に残ったのは、巨体を完全に炭化させボロボロと崩れゆくドラゴンの亡骸と、灰の山の中にあって緑色に輝く一つの宝珠。
どうやら今の“憤怒砲”で片付いたらしい。勿論今までに僕ら全員で与えたダメージの蓄積があってこそだが、それを差し引いても凄まじい威力だな。だけど瀕死にならないと火力が確保できないのはリスクが高すぎてあまり使わせたくないのが本心だ……
「はあ。アヤメもルナも無茶しすぎだよ……」
ぎしぎしと痛む身体に活を入れて、僕が使える最高位の回復呪文≪全回復≫でまずアヤメの傷を癒す。
「……勇者殿に言われたくないと思う、なの……」
「そうですよ。あの時の古代神殿でユウさんが一人だけで全部背負おうとしたのを見て、わたくし達がどれだけ悔しかったか……今ではわたくし達もこれだけ戦えるんです。もっと信じて、頼って下さい」
微笑みつつ、アヤメは立ち上がり胸を張る。と、その瞬間、胸を覆う装甲と着物がはらりとはだけた。
「……え、きゃ、きゃああーっっ!?」
……さっきのストームドラゴンの衝撃波だろう。彼女の防具であった銀の胸当ては粉砕され、下の着物とサラシも切り裂かれていたのが、今になって分解してしまったんだろう。ほんのり膨らみかけのそれはそれで需要が見込める胸を抱くように隠してアヤメは可愛い悲鳴を上げる。
「……戦王殿、任せて、私に秘策――」
ルナがとてとてと背後に回るが、何をしでかすか予測がついたらしいシンディに首根っこ摘まれて引き離された。
「え、ええと、僕のエプロン使う?」
不本意ながら僕のデフォルト装備になってしまったエプロンドレスのエプロン部分を貸そうとしたが、上半身裸エプロンは難易度高めだということで駄目出しを喰らう。
「……思うに、戦王殿は脱げば脱ぐほど強くなる伝説の武術“裸身活殺剣”の使い手だから、そのままでも大丈――」
「全然大丈夫じゃないです! それにそんな武術も知りませんからあっ!」
賢者育成機関の『寺院』では一体どんな教育をしているんだろう。今度突撃訪問してみようか……ただ戦王が脱げば脱ぐほど強いというのは掲示板とかでもよく言われるしシステム的な裏付けも多少はあるので却って困るところだ。
そして結局、シンディが冒険者セットから雨具用のマントを取り出してアヤメに被せることでこの場は収束した。
「さて、これって……風のオーブ、だよね……」
燃え尽きたドラゴンの灰の中から、魔石と一緒に緑色に輝く宝珠を拾い上げる。
一応ルナにも≪鑑定≫の呪文で確認して貰ったが、確かに天空ふくらすずめを蘇らすためのキーアイテムの一つ、風のオーブで間違いないとのことだった。
風のオーブ。本来は『大嵐の山脈』まで出向いてそこの頂上でこのストームドラゴンを倒して手に入れるべきアイテムだが、少しフライングして手に入れてしまったようだ。これで残りのオーブは火と闇の二種類のみ、いよいよ空への道が見えてきた気がする。
もしかして、ゲドを倒してしまった影響で中ボスの出現位置が一つスライドしてしまったんだろうか? そんな疑問が頭をよぎる。今はまだ材料が少なすぎてただの仮説に過ぎないが、次に向かう『大嵐の山脈』のボスがどうなってるかを確かめれば少し真相に近づけるのかも……
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なぜなに『ラビドラ』!
第13回:今回登場のスキル解説
≪氷河≫
攻撃呪文スキル。魔法使い、魔剣士、賢者が修得。消費MP6
激しい冷気で包み込み、敵1列に<氷>属性ダメージを与える。
ダメージ目安は≪火弾≫の3倍、≪火線≫のようなグループ攻撃よりも攻撃範囲が広く、威力・効果範囲・コストのバランスが良い、ゲーム中盤の主力呪文の一つ。
≪全回復≫
回復呪文スキル。勇者、治癒術士、聖騎士、賢者が修得。消費MP7
味方単体のHPを最大値まで回復させる。
効果の割に消費MPも低く、ゲーム後半で最もよく使われる回復呪文。
また、回復量が【知力】に依存しない分、勇者や聖騎士での使い勝手が良い。
≪鑑定≫
移動呪文スキル。魔法使い、魔剣士、賢者が修得。消費MP3
手持ちのアイテム一つか宝箱一つを調べる。
アイテムを調べる場合は、アイテム名や効果、装備品であれば装備可能な職業を知ることができる。
宝箱を調べる場合は、宝箱がモンスターの化けた罠でないかどうか判明する。
移動中のみ使用可能な呪文。
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まさかのトルネコさんTSという誰得暴挙!




