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2014年/短編まとめ

空飛ぶピエロ

作者: 文崎 美生

私の世界は退屈でした。


それでも変化を起こしたのは貴方でした。


貴方と出会って楽しかったんです。


だから思ってしまったのです。


この時を永遠にしたいと。


どうしたら永遠に出来るのかと。


そんなことを考えてしまったのです。


だから貴方は被害者なのです。


ガチャっと重たい扉を開いてゆく。


扉を全開にすると風が強く吹き抜ける。


バサバサとタイがなびく。


扉を閉めて屋上の真ん中から空を見上げた。


鬱陶しい位の青空。


透けて見えるくらいの綺麗な水色だ。


こんな世界が嫌いだったんだ。


でも、貴方が好きにしてくれたんだよ。


屋上に張ってあるフェンスによじ登る。


スカートだろうと関係なしに。


ガシャンガシャンと耳障りな音。


フェンスを超えると高さを実感する。


ドキドキする。


恐怖や不安じゃない。


期待や興奮などの高揚感。


黒いセーラー服は私の通う学校のもの。


そしてここも私の通う学校。


……そろそろかなぁ。


口が釣り上がる。


そして予想通り屋上の扉が開く。


そこには愛しい愛しい彼の姿。


肩を大きく上下させて息を整える彼。


私のためにここまで走ってきてくれたのだ。


あぁ…私はなんて愛されているのだろう。


だから、これを永遠に……。


彼が私を止めようとこちらへ近づく。


何かを言われる前に私が言葉を発する。


「愛してる。誰よりも何よりも」


髪がなびく。


邪魔くさい…こんなことなら切っとくべきだった。


「だから私はこの時を永遠にするの。貴方の中で永遠に生き続けるの」


彼が叫ぶ。


それでも私は笑う笑う。


「永遠に、愛してる」


そして彼の方を向いたまま、私は後ろ向きに飛んだ。


こうすれば、私は貴方の中で生き続ける。


私のことを永遠に覚えておいてくれる。


貴方の心に生きれる。


永遠に切れない鎖で貴方を縛るの。


私は壊れたピエロのように笑った。

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