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自己紹介

1/22に前の話を改稿いたしました。


読んでいない方はお手数ですが、前話から見てもらえると嬉しいです。

入学式の後、私たちは新しい自分のクラスへ移動した。

周りの女子が騎士団の話に花を咲かせているが、私はとてもそんな気にはなれない。

休みたいと訴える体に鞭を打って教室まで来た。


だから



「改めまして、ラス・アナブルです。クラス替えがないので、2年間よろしくお願いしますね」

「きゃーーっ!!」

「ラス様ぁっ」


自己紹介ごときでいちいち叫ばないで……。

本当に頭が痛いんだよぉぉお。


教室の前方、窓側の席。

陽の光を浴びながらキラキラとした笑顔で自己紹介したラスくんに女子たちは発狂した。

もし私が危険を察知して耳を塞いでなかったら、大変なことになってたと思う。


確かにこの学園は、一年生から二年生に上がるときにクラス替えを行い、それ以降は同じクラスのまま進級することになってるから、ラスくんの言う通り二年間この人たちと付き合っていかないといけないんだけど……。


うぅっ、早くも心が折れそう。

騒がしいのはあまり好きじゃないんだよ。


ところが当の本人は好意を向けられることに慣れているのか、この凄まじい歓声を聞いても相変わらず涼しげな顔のまま。

どさくさに紛れて「結婚してくださいっ!」って叫んでる人も居たのに、見事にスルーしてる。



でも、あれだね。

こういう光景を見てると、お嬢様方も恋する心は普通の女の子と変わらないんだな~と感じる。あまりうるさいのは勘弁だけどさ。

2度目の人生を送っている私にとってその若々しい反応は、どことなく微笑ましい。


あれ~?前世の私、けっこう若いときに死んだのに発想がおばちゃんだ。前世の年と今の年を足せば30代にはなるけど。


……おっと、次は私の番だ。

私は少しふらっとしながらも立ち上がった。


「ジーナ・リリークです。よろしくお願いします」


無難な挨拶をしておいた。

どこにも変なところはなかったはず。

現に私の自己紹介なんて聞いてもいない人たちは大勢いるのに。


ラスくんが勢いよくこちらを振り向いた。

最初に会ったときの様に目を見開いて私を見ている。


な、んで……?

私は慌てて視線を逸らす。

びっっくりした。心臓が跳ねた。

私、何かした!?



と不安に思ったものの、すぐに納得した。

私のすぐ後ろで男子生徒数人がジュリアの話をしていたからだ。


「騎士団といえばさ、ジュリアさん美人だよな」

「あぁ、俺も思ってた」


ジュリアが他の男にモテてるから心配したんだよね、ラスくんは。それにしてもまだプロローグイベントを起こしてないっていうのにもう攻略対象者の気を引くなんて、美人は凄い。


今の2年生と3年生の騎士団は去年も一緒だったらしいから、ラスくんがジュリアに既に好意を持っていてもおかしくはないけど。


今日家に帰ったらジュリアに騎士団の人達の印象でも聞いてみようか?

……いや、やっぱりやめよう。もし私がそんなこと聞いたら


『えっ!?何っ!?!?ジーナとうとう男に興味持ったの?ダメだよ!まだ早すぎるよ!!ジーナをそそのかした奴は誰!?騎士団の中にいるの?許すまじっ!』

『そんなっ……まだお姉様はお姉様のままでいてください!!』


なんてことになる気がする。ううん、絶対なる。

今にも殴り込みに行きそうなジュリアと足元に泣きついてくるジェシーの姿まではっきり想像できた。


面倒だね。余計な詮索はしないほうがいい。

とりあえず私は思い出した情報をノートに書き写しておくことだけしておこう。


そういえば、ジェシーのイベントは無事成功しただろうか?ゲーム通りにやったからきっと大丈夫だよね!

これも後で聞きたいところだけど、我慢しないといけない。 なんでお姉様がそのことを知っているのですか? と質問されたらアウトだし。私は信じるしかない。


ノートにメモするべきことを頭でまとめているうちに、いつのまにかHRは終わっていた。


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