表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

エピローグ

「一年ね」

「早いな」


 いつもの図書館の一室で、黒髪の青年アシュレイと、萌木色の髪をもつナーシャはのんびりと話していた。

 一年前のあの日、ナーシャが魔力を再び開花させたあの日から、二人の関係は少しずつだが変わった。

 ナーシャが努力を忌避しないようになったこともあるかもしれない。

 アシュレイはナーシャの前世の記憶に関しても魔力に関しても口をつぐんだ。キャロルもまたナーシャが口止めをしたため、魔力に関して黙ってくれている。

 そのためナーシャの周辺が騒がしくなることもなかった。

 ただ変わったのは、アシュレイが積極的に未解読言語の資料をナーシャに読ませてくれるようになったことだ。

 しかし彼はナーシャに読ませてはくれるが、翻訳作業を手伝わせることは決してしなかった。

 アシュレイは、自力でひとつの言語を解読したいらしい。

 その手助けになるようにと、ナーシャは部屋の文献をすべてきれいに並べかえた。そしてそれぞれの言語で書かれた本に、それが使われていた国名を書いた。

 アシュレイはどうやらエルアドルの文字を解読する気のようだ。

 そのエルアドルの本たちを一番手前に持ってきて、毎日のように解読作業にせいをだしている。


「これ、昨日入ってきたやつ」


 アシュレイはいつものようにしぜんに書類を渡して、ナーシャはそれを当たり前のように読んだ。

 そして、一ページ目をめくった瞬間に、ナーシャは目を大きく見開いた。


「ナーシャ?」

「これ」


 その先はナーシャはただ本を読むことに没頭していた。そのただならぬ様子に、アシュレイはそれがどうやらあたりなのだと察した。

 そして、一時間ほど、彼女が読み終えるのを待つ。

 本を閉じた彼女の手は震えていた。

 閉じた彼女の目からは暖かい涙があふれている。


「ばか……」

「……見つけて、よかったか?」


 答えはわかっていたが、アシュレイはあえてそうやって問いかける。

 ナーシャはふっと笑った。

 花がほころぶように笑う彼女はとても美しかった。


「君の選択が君から何かを奪っても、絶望しないでほしい。僕の心だけは、君が何をしても失われることはないから」


 震える声で、ナーシャはセリフの一部を読み上げた。

 そして、表紙の言葉を読み上げる。


「この脚本をアリア、君に、捧げる」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ