神の手
「さて、皆さんは残すところあと3ヶ月でで卒業となりますね。それに伴い私達の學校では貴方達が一人前『神』になれるように試験としてこれからある物をお渡しいたします。」
教室に綺麗な西日が差し込む窓際の6列目……つまり最後尾、そこが私の席、頬杖を打ち先生の子守唄の様な例年の決まり文句であろう言葉と共に私の机の前にある物が置かれた。
……何だこれは? 全体の形は球体大きさはサッカーボールより少し小さめだろうか、球体には青が全体に彩られているだけその上を私が好きなメザシやら苺等、形に規則性がない白い物体がゆっくり動いている。
「先生、何ですかこれ?」
どうやら私だけの疑問ではないようだ。
前の席の子が手を上げながら立ち上がり先生に質問をした。
「ふふ、これは『地球』です」
先生は微笑みそれだけ言うと黙った、先生は聞いて欲しいことがあると話の途中でも授業が終わっても正解が出るまでそうやって黙って答えを待つ。本当に私達にとってはタチの悪い癖である。
改めてこの球体、いや『地球』を確かめる。
これが地球……それにしては大陸がない、『地球』をくまなく探したが新たに『手羽先』が見つかっただけだ。
「……先生、『地球』と言いますが之には大陸が無く、何故持ち運びできる程の大きさになっているのでしょうか?」
今度は左から2番目最前列の人が質問を投げかけた。
「古野花(このはな)さんはいつも良い質問してくれますね。そうですね、それは『地球』でありますが『地球』ではありません」
どうやら言って欲しかったことはこのことだったようで途端に饒舌に喋り出した。
「先程お渡ししたのは言わば地球の子供、今の『地球』という存在を成人とするならば皆さんの『地球』は赤ちゃんです。試験とはその赤ちゃんを見事に成人させることです」
先生の話から教室中がざわめいた。
「他に質問する人はいませんか?いなければ詳しい説明を、あれ?どうやらみなさんに配る説明が書いてあるプリントを忘れてきたみたいなので取りに行ってきますね」