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元気・・・というより うるさい雰囲気の人だ

すこしいつもより短めです、すみません


妹と手をつなぎながら町をまわる


だけど僕の心は、さっきの子の事でいっぱいだった。


「ゆーた」


妹の不安そうな声、不安そうな顔

いつもだったら何があったかこっちも慌てるような、妹の 様子(すがた)

それが気にならない位、僕はあの子の事が気にかかっている



僕は


いつだったか


あの子と


似た


だれかに


会った気がする



町並みも目に映らないほど、僕はあの子の事が気になっている

・・・いや、違うか

僕はただ、あの子に似たダレかを 思い出したい(・・・・・)だけなんだ


「ゆーた、大丈夫?もう帰ろう?」


意識が固定される

「大丈夫だよ」


「嘘だよ、すごい顔色悪いよ」

優香の泣きそうな顔

こんな優香を見たのはいつ以来か、ふと、一瞬意識が遠くなる


自分でも気づかない位だけど、疲れてるのかもしれない


「わかった、ちょっとどっかで休憩してから帰ろうか?」


「・・・うん」


優香はすこし迷ってから頷いた

家に早く帰ったほうがいいとは思うけど休んでからの方がいいか迷ったってところかな?


「とりあえず、どっかのお店にでも入ろっか?ちょっと早いけどお昼にしない?」

そういって優香を誘う


「うん・・・どこにする?」


周りを見渡す

近くにあるもので、おいそうなお店を探す


町並みに関係しているのか、この町はファーストフードの店が見当たらない。

これじゃあ・・・学生とか困るんじゃないだろうか。


高級懐石料理屋がたくさんあってもこれる人は裕福な人だけだろう

甘味処もたくさんみる事ができるが、甘味処で昼を済まそうとは思わない

近くにあって安そうなのは・・・蕎麦(そば)屋といったところか、

周りのお店と比べるとかなり見劣りするが、その分値段も手ごろだろう。



「いらっしゃい!テキトーに座ってくれ!」

のれんをくぐり、からからと扉をスライドさせて内に入った。時間が早いためか僕達以外のお客さんの姿は見えない

店主だと思う40歳くらいのおじさんが大きな声で挨拶をしてくれて、とりあえず、2人がけの席に座る


「なんにするかい!とりあえず水だ!」

ドンッと音を立てて水の入ったガラスのコップを置き、そのままニコニコしながらこっちを見ている

優香と一緒にメニューを見て、ちょっと慌てながら決めた


「カレー南蛮そばでお願いします。」

「私も」


「わかった!ちょっとまってな!」


なんだか大きい声というか怒鳴るような声のような気がする。呼び込みをする店員のように喋っている。

元気・・・というより 騒がしい(うるさい)雰囲気の人だ

そして常にニコニコしている。

なにが楽しいのかわからないけれど、物凄く嬉しそうだ。


楽しそうに料理をして、楽しそうに持ってくる

料理を作って、だれかに食べてもらうのが大好きなのかもしれない。

あるいみ、料理人の鏡かもしれない


「お待ちどー!」


汁が飛び出そうな勢いでそばが入ったドンブリを置くだが一滴も汁はこぼれていない。

絶妙な力加減だ・・・


「ありがとうがざいます」

「いいってことよ!」


「「いただきます」」

二人で一緒に食べ始める

すこし辛めのカレー南蛮は食欲をさそる


いい仕事してる



「それで、お二人はこっちきたばっかかい?」


「はい、先日引っ越してきた小川と申します。何分引っ越したばかりなのでお世話になることもあるかと思いますがその時はどうぞよろしくお願いします。」


「へぇ~、若いのにたいした坊ちゃんだ!古葉敦だ!よろしく頼むよ!」


最初が肝心だから印象が悪くならないようにきちんと挨拶をしておく


「しっかりしてるけど二人とも高校生かい?」


「え、いえ、僕は今年から高校生になります」


「私は今年が中学最後です」


「ほー、しっかりしてるな~、しかしそっちの嬢ちゃんは中三か、うちの出来損ないにあったらそっちもよろしくな!」


「・・・わかりました」


・・・ちょっと引っかかる言い方だな

多分優香は出来損ないってところに引っかかったんだろうな・・・

そうゆう才能のせいにするのとか嫌いだし・・・


「まあ、あれはあれで才能はあるとは思うんだが・・・」

「えっ?」

小さい声でぼそっと言っていた一言に驚いた

才能があるなら普通出来損ないとか言わないと思うんだけど


「まあ、この町に来てばっかでいろいろわかんねぇ事もあるだろ、その時にはここに聞きにきな!なんか飯食ってってくれたらできるだけ教えてやるよ!」


ガッハッハと豪快に笑うおじさん


「わかりました、ここのそばはおいしいのでなにもなくても食べに来ますね」


「おっ!坊ちゃん口がうまいねぇー!わかった!次来たときはサービスしてやるよ!」



ガララッ!

「はぁ・・・はぁ・・・・・・ただいま」


扉を勢いよくスライドさせて、女の子が入ってきた。

地味な服装のその子は目が前髪で隠れていて、物凄く息をあげていた

背は低くて、まだ少女と言った方がよさそうな子だ

そして息を整えて、ぼそぼそとただいまという


どことなく陰気な少女

彼女がおじさんの言う“出来損ない”なんだろう


「・・・お客さん・・・?」


「おう!この町に来たばっかの小川さんだそうだ!妹さんは今年で中学3年生になるそうだから学校で会うかもな!」


「・・・そう」


「昼はどうする?食ってきたか?」


「・・・・・・ここで食べる」


少し離れた席に座って


「・・・ざるそば」


普通に注文していた。


「あー・・・すまねえな!こんな娘で!見たとうり愛想わりぃんだ、おい、同じクラスになるかもしんねえんだから自己紹介しとけ!な!」


「・・・必要ない・・・どうせ同じクラスにならない」


「それはわからない」

優香が反論する、ちょっとムカついてるのが雰囲気で察せられる


「・・・そう・・かもね・・・」


「小川優香、あなたは?」


「・・・古葉・・・・・・桜」


「それじゃ、よろしく」


「・・・うん」


おじさんがざるそばを持ってきて、音を立てずにもそもそと食べ始める

・・・麺類をああゆうふうに食べる人って初めて見た


「・・・」


「・・・」


「・・・」


なんか喋ろうよ・・・


気まずい沈黙のまま僕と優香の食事は終わり、会計をすませた。


「また」


「・・・・・・うん」


「ごちそうさまでした」


「はいよ!お粗末さまでした!」


「・・・あの、小川さん」


「うん?」

なんとなく僕の方が呼ばれた気がして振り返ると、やっぱりうつむいて、もそもそとざるそばと食べながら

顔をあげて


「気をつけてください」


意外に真剣な顔で澄んだ黒曜石のような色の瞳で見つめながら、そう、口にした。


「・・・わかった」

とりあえず真剣だったからそう言ったけど、なにに?


「!!」

「??」

おじさんは驚いた顔で、優香は僕と同じよくわからないといった表情だ


「おいしかったです」一礼してのれんをくぐり、出ようとする

「はいよ!【気をつけて】帰んな!」

おじさんの、どこか慌てたような声が、やけに印象的だった

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