この町は名前を教える人なんて滅多にいないぜ?
4月2日
昨日はあんなことがあった(犬に追われて3000里)わけだが、うん
あれは不可抗力だ。
いわゆるあれだ、お風呂場に行ったときに裸の女性と遭遇するラッキースケベで、それが故意か故意でないかの違いだけだ
そう、あれは偶然の産物であって、僕がわざとあたりにいったとか、出会いを期待していたとか、そんな事実は存在しない
もしくは記憶にございません。
さて、現実を見つめようか
今、僕の前には、犬がいる
Q1 その犬はいったいなんでしょう?
A1 昨日追ってきた犬です
Q2 何故殺気の籠った目で見つめているのでしょうか?
A2 昨日の事根にもってますねー
よし、逃げるか
「ヴルルゥ」
やばい
逃げようとしたら背を向けた瞬間にヤラレル
くっ
まさか昨日と同じ時間に昨日と同じコースを違う服装で走ってたら昨日と同じ犬に遭遇するとは!
昨日とちがうの服だけじゃねーか
しかも相手は非常に殺る気だ!
どうする?たしか前回は飼い主を押し倒したせいのはずだ!
・・・なにか行動をおこさないと、
ここは
1、飼い主の美少女を人質に
2、飼い主の美少女と仲良くなってなあなあでごまかす
3、わんわんジャーキーをわたして見逃してもらう
4、美少女をお持ち帰り
5、押し倒す
さて、どうするか
とりあえず3はないな、わんわんジャーキーを持っていない
1は人質にする時に少しでも抵抗されたらアウトだ
2がなんだかんだ言ってよさげな感じだし、この僕の話術を持ってすれば可能だろうが、話をしてる間がやばい・・・却下だ
4は非常にしたいが1と同じ理由で無理だ
よし、それなら5しかないな
他のがダメだったんだからしかたない
タイミングを伺う、気をぬいたたらアウトだ!
美少女もこの異常な雰囲気に気がついたのか、話かけてきたが、今はとても集中している
雑音なんか気にしてられるか!!!
ちょっとしたきっかけでも崩れそうな緊張感がこの場を覆っている。
眼はお互いの隙をさぐりあい
足の筋肉はすぐにでも動けるように緊張状態だ
汗が頬をしたり落ちる
しかし、その程度では勝負の始まりにはならない
先に集中が切れた方が負ける
この程度で勝負をしかけたところで勝てない
ならば・・・絶好の機会を待つのみ!
唾をのみ、その時を待つ
春風が吹いた
制服のスカートの端が巻き上がる
地を蹴る音が響く
眼球が動きを捉える為に動体視力を最大限に発揮する
一瞬後
片方が崩れ落ちる
勝者は敗者の上に足をのせ、満足気な顔をする
敗者は絶望に打ちひしがれていた
・・・これほどの絶望があるのだろうか
・・・これほどの苦痛があるのだろうか
この世に神はいないのか・・・
僕はこの世に救いなんてないと悟った
まさか・・・こんな
「ちくしょう・・・こんなってねえよ・・・こんなのがあっていいのかよ」
こんな結末なんて
くそっ
こんな絶好の機会だったのに
全く見えなかった
「ふざけんなよ・・・こんな・・・こんな終わりだなんてっ・・・死にきれねぇよ」
抑えきれない感情が目から透明な滴となって零れ落ちる
流石にこのショックはでかい
ついでに上にのしかかっている犬が重い
垂れてくる犬の涎が汚い
「ハスちゃん!!」
美少女が犬を引っ張る、しかし犬は僕の上からどかない
そうだよ、この世には救いなんてないんだ
と、思ったら急に重さが消えた。
飼い主の命令には忠実なのかもしれない
もうしわけなさそうに美少女が話しかけてくる
「すいません、いつもはこんな事をしないんですが、」
・・・・・Whew, ナイスアングル!!
って、そうじゃなくて!
いえ、これは自業自得です、しかも昨日は押し倒したし・・・もうしわけなさそうに言われると罪悪感が・・・
しかも敬語か・・・一昨日はタメ口だったよな・・・
「大丈夫ですよ、慣れてますし、あと敬語じゃなくていいですよ、たぶん同い年でしょう?」
「そうか、ごめんな、いつもはおとなしい奴なんだが・・・たまに暴走するんだ」
暴走じゃないな、飼い主を守ろうとしてただけだ。
「きっと貴方を思いすぎて暴走してるんですよ、ほら、うちの娘は嫁にださん!っていう親父みたいな感じですよ」
「・・・いや、そうじゃないと思うんだが、あとこっちも敬語じゃなくていいぞ、あといつまで転がってるんだ?趣味なのか?」
「いや、このまま寝てたら下着見えるかもしれないし」
趣味じゃないですよ、すこし疲れて起き上がれないだけです。
沈黙
美少女は固まっている
僕も固まっている
やばい・・・本音と言葉が逆だ!
「嘘だよ、ただ疲れて動けないだけ・・・まさか朝から犬と戦うなんて思わなかったからね」
よし、これで大丈夫のはず!
「目が本気だった気がするんだが「お前の目は節穴か!!」あ・・・ああ、すまん、勘違いだ」
とかいいつつゆっくりと後退する美少女
「誤解だ!君は間違ってる!僕がそんなことをするような奴にみえる!?」
「みえる」
即答
「なんだと」
なんて人だ!少しはオブラートに包もうよ!
「とりあえず変態だな」
「なんだと」
本当に・・・きつい
「まあ無害そうだが」
「そのとうりでございます」
昨日の事ばれたらヤバイよね、そう、僕は無害な人ですよーいきなり押し倒したりしませんよー
「なんか変わり身が早すぎる気がするが・・・ん?・・・どっかで会った事あるか?」
「逆ナン来た――――!!!!」
内心冷や汗だらだらです。
「さて、警察をよぶか」
「すいませんかんべんしてください」
内心脂汗だらだらです
「とりあえず妄想と現実の境目ははっきりさせておいたほうがいいぞ」
「そんな春先に現れる変な人みたいに言わないでよ・・・」
あきれられながら言われるとダメージも大きいです(泣)
いや、まて
美少女に罵られてると考えれば・・・ダメだ・・・僕にそっちの趣味はない
「たしかに今は春先だな」
呆れたように僕を見る。だめだ、完全に誤解してる
「やばいこの人早くなんとかしないと」
「襲う気か?」
「笑いながら言わないでよ」
実際に昨日押し倒しましたが
「まあ、そうだな」
「ところでなんで制服なの?制服で犬の散歩する人なんて初めて見たよ」
制服に毛がついたらどうするんだろう?
「ああ、これからお参りに行くんだ」
・・・よし、空耳だ
「ところでなんで制服なの?制服で犬の散歩する危ない人なんて初めてみたよ」
「あー・・・そっか、そっちか・・・ここらへんはけっこういろんな神社とかがあるんだが、古い神社行くときは基本的に正装って暗黙の了解みたいのがあってさ、制服の方がなかなか楽なんだよ、厳しい人とか注意してくるし」
たはは、と苦笑いをして言う女の子
なかなかに似合ってる、よく苦笑いしてるのだろうか
「変な習慣だね」
「まあね、これも歴史がある弊害ってやつかな、他にもあるけど」
困ったもんだ
と、小さな声でつぶやいて、女の子はこっちを見た
「とりあえず散歩の途中だし、私はもう行くよ」
「ああ・・・ちょっと待って、名前は?」
「ん?それは秘密だよ、それにこの町は名前を教える人なんて滅多にいないぜ?」
女の子は最後はにやりと笑って去っていった。
名前をお前なんかに教えたくねーよ
ってことなのか?
地味にショックだ・・・
口調が安定してない可能性大
ノルマ
ユニーク40達成




