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第1話 チンといっても卑猥ではない

この町には、秘密がある。

その秘密を知りたい者は町のとある場所で待つことだ。

きっと親切なモノたちが、きっと教えてくれるだろう。

ただ、1つ忠告するならば、

知ろうとする者は覚悟せよ



                  1982年 5月28日  木暮 貴志 の日記より






4月、それはどんな季節だろうか

人によってそれは始まりの季節だったり、出会いの季節だったり、変化の季節だったりする。まあ、何が言いたいかというと、やっぱり僕にとってもそれは同じで、4月が物語の始まりで出会いと変化の季節だったということだ。







 2010年 3月 末日

僕は今、4月から一人暮らし(正確には妹と2人暮らしなんだけど…)をすることになっているアパートに来ている。

高校生で寮暮らしでもなく、一人暮らしというのはとても珍しいと思う。

なんでそんな事になったかを僕はふと、思いかえしてみた。



 僕こと小川裕太の家は経済的にそれなりに恵まれているといってもいいと思う。

この不景気の時に両親ともに働けているし平均よりイイ給料をもらっているらしい。

父親の趣味が競馬や競輪などの賭け事であり、それがなぜか給料より稼いでいることもあり、本当に裕福だ。

 ただ今年中学3年生になる妹によると経済的には豊かでもほかがいけないらしくて、妹は友達の家に泊まりにいく事が多く、家に帰ってくる事はあまりない。

だから、僕にとって妹は家族というより友達といった感覚が強いかもしれない。

妹があまり帰ってこないのも僕が一人暮らしをする事になった原因の一つだと思う。

なんで一人暮らしをする事になったか、それは僕たちの家の父親が海外で勤務することになった。

それだけだ。ただ僕も自分が入学する高校に受かったばかりだったのと、妹がその時も友達の家に泊まりに行っていたので僕と妹が日本に残る事になったというわけだ。



 ただ、妹が、僕の行く高校の近くのアパートに一緒に引っ越す事になったのが少しかわいそうだと思う。僕と違ってたくさん友達がいたから。


 引っ越しの段ボールを開けながら僕はそんな事を考えていた。


これから始まるいつもと同じで、少し違う高校生活、そのときの僕は不安と期待を感じていた。

「ゆーたー、ちょっと買い物たのみたいんだけど…」

 妹が話しかけてきた。

妹は、僕がいうのも何だけどかなり可愛い部類に入ると思う。

容姿も整ってるし

小動物のような雰囲気や、頑張りすぎて空回りしてしまうのも魅力のひとつだと思う

たまに会うと、すこしドキッとしてしまう。

「何を買ってくるの?」

「とりあえず、切手と葉書かな?向こうに手紙出しとかないといけないし、あと何か面白そうなものがあったらそれも欲しいかも」

 面白そうなもの、か

妹は普段滅多に頼みごとをしない。しかし珍しく何かモノを頼む時には無茶な要求がオマケされている。しかし兄である以上、妹のお願いには精一杯答えなければならないだろう。


「わかった」


 何があるかわからないけど、それも探してみよう。

アパートを出て、商店街の方へ向かう、商店街の入り口にはなぜか鳥居がある。しかもとても大きい。


 この町は商店街に入ってからが町のような気がする。昔の名残を残すまるで京都かのような木造の家や店、ほとんど現代風の建物がない…耐震とかどうなっているんだろう。

店も僕が小学生の時にしか見たことがない駄菓子屋とかが普通にあった。

まるで時間だけが取り残された町、そんな感じがして好感がもてる。

現代風の建物といったら商店街のそばにある僕の通う高校くらいだろうか


 とりあえず郵便局を探さないと、


ここで僕は大変なことに気が付いた


「郵便局の場所がわからない……」


・・・なんという失態だ・・・目的地もわからないまま出発するなんてここが戦場だったら死んでるぞ。まさかこれは滅多に頼みごとをしない妹が頼みごとをしたから浮かれていたとでもいうのか?しかし僕はシスコンではない。

断じて最近妹が女の子っぽくなってきたとか、俺の妹超かわいいとか禁断の一線を越えて一戦交えたいとか全く全然これっぽっちも思っていないのだ!


世の中は近親への恋愛には冷たい

いや、外国に行けばいいんじゃないか?今はニュウハーフとかいるし

いやいや・・・

しかし・・・


はっ!

・・・どうやら予想以上に混乱していたようだ。さてこれからはまじめに道を探・・・。



「郵便局ならそこの道に入って真っ直ぐポン太が見えたら右に行けばいけるよ」


凛と、鈴の音のような声が聞こえた。


「へ?」

ポン太?

突然聞こえた声の主よりも、その声から発せられた謎のフレーズの方が気になってしまった。


「だから郵便局ならそこの道に入って真っ直ぐ行ってポン太が見えたら右に行けば行けるって」


「ああ、ありが」


「ああ礼はいらないよ、これは独り言だから」

 お礼が遮られた


 振り返ると世界から音が消えた。

そこには美少女がいた。

歳はきっと僕と同じくらいだろう。まるで雪のような白い肌

人形のように整っている顔、夜空を思わせるような漆黒の髪が風でさらさらと揺れている。

しかし、なによりも印象的なのはその瞳だった。

全てを見透かすような、だけど優しさと意思の強さを持った瞳だった。


思わず息をのんだ。


なにかを言わないといけない、そんな焦燥感に襲われて


「おはよう?」

…なぜか朝の挨拶が出た


「今は昼だよ?しかももう1時半だ、朝の挨拶は適切じゃないと思うけど」

「いやいやいや、挨拶で一番丁寧なのは朝の挨拶なんだよ。挨拶の中で唯一ございますなんて丁寧語がついてるじゃないか」

「なるほど…まて、君はございますをつけてなかっただろう?」

「はあ………そんなのもわからないのかい?」


やれやれだぜ、とばかりに肩をすくめる。

「な、なにがだい?」

「略したに決まってるじゃないか!」

犯人はお前だ!のポーズで言い放つ。


女の子は少し呆けた後、木漏れ日のように笑って

「君は面白いな」


とか言って歩きさっていった。



女の子が角を曲がって見えなくなってようやく、町の喧騒が戻ってきた。

それと背中にじんわりと汗をかいていたのに気づく

それほど衝撃的だったのだろう。


ところでポン太ってなんだろう?名前から察するにおそらく・・・。




結論からいうと、猫だった。ゲージのなかにいてゲージには『ポン太の家』と書かれている。


「なんでネコ!?普通こうゆうのってタヌキだよねえ!?」


そんな心からの叫びを余所に、のん気に昼寝をしている猫。

・・・右を見てみるとすぐそこに郵便局があった。




予定通りに切手と葉書を買った訳だが、面白い物・・・

無ければ無いで良いのだろうが、なぜ熱が入る。

しかしどうしようか、自分でいうのもなんだが僕は面白い物を探すのは下手だ。

そもそも面白い物ってどうすればいいんだろう。

切手と葉書は決まっていたから別に問題はない、だけど面白い物となると難しい。

それは自分の感覚で決まる物だ、妹が面白いと思う物がなんだか想像がつかない。

まあ、商店街を歩いていればなにか見つかると思う


 商店街を回ってみる。

しかし、なんというか、面白そうな物はみあたらない、いやあるにはあったけど…

『スーパーゲル君Ⅹ』

カエルを模した容器で口にはえている赤いストローで飲むらしい

しかも容器がやたらとリアルだ…

飲み物には見えない…

ある意味で面白そうだがこんなのを持って帰った日には僕が怒られて飲まされるだろう


……妹が好きそうでもないし買わなくていいか



それにしてもどうしよう…オモシロイモノ

はぁ……まいったなぁ



だが戦利品なしというわけにはいかない。

めったにない妹からの頼みごとなのだ。「妹」からの頼みごとなのだ。

なんとしてでも結果をださないと


ふと、その店が目に映った。

古ぼけていてくすんでいるような感じがする緑色の屋根のだけどあたたかい雰囲気がする店

名前は『日記屋』だった。

いまさら日記を書くとも思わないけど、見てみるのもいいと思う、覘いてみることにしよう





『日記屋』の中は薄暗かった。電球もしっかりついているし入り口から日の光も入ってきている。

それでも、なぜか薄暗いと感じてしまう雰囲気があった。


 

「冷たくはない」

裕太の口から言葉がこぼれた。


???


意味がわからない

どうしてそんな言葉を?



「あたりまえのことを言う餓鬼だな、ここが冷たくなるはずはあるはずがなかろう」

奥から声が聞こえてくる。やけにしわがれた声だ。

「なぜここに?」

声が問いかける。

(絵本とかに出てくる魔法使いのおじいさんみたいなイメージの声だ)

声が聞こえてくるほうにはなにもない。


「なんで?」

(きっと隠れているんだろう)


「………」

声は答えない


「面白い物を探しに?」

たしかそうだったはずだ、そう、僕は妹に頼まれて面白い物を探しにきていたはずだ。


「面白い物?」

「まあね」

「面白い物か、わしにとっては餓鬼ほど面白い物はないのだがのう、まあ右を見よ」

「右?」


段ボールしかない。


「段ボールしかないけど?」

「段ボールしかないのぅ」

「???」

「開けてみい」


中には…日記?しかも新品みたいのからぼろっちいのまで


「日記は書かないんだけど」

「書く必要はないわい」


声はすこし嬉しそうだ。


「書く必要がない?」

「うむ、もう書かれておる」

「使用済みってこと?なんかHな風にきこえるぜ、だれか買う人いるの?」

使い終わった日記なんてだれが買うんだろう

「餓鬼がおる」

子供が買うって事?

「面白いぞ、日記は」

「なんで?」

日記のどこが面白いんだろう?

「餓鬼、日記とはなんだと思う?ただの日々の記録?記録?そう記録だ、他人の記録などに何の価値がある?価値などどこにもありはしない、そこにある記録はすべてが終わってしまっているのだから、だがそこに価値はなくとも意味はある、日記とは無価値な記録に意味を与えたものなのだ。日記には起きた出来事だけではなくその時の感情、状態を写し出す。いってしまえばその人物の人生そのものだ、それならば記録ではなく記憶というべきだろう。人の人生ほどオモシロイものはない。『日記屋』とは人生の保管庫でありそれを扱っている。ここにはなにもありはしない、だが、オモシロイものならここにある、人の絶望、希望、歓喜、苦痛、真実、虚飾、すべてがここにある。なればこそ、ここの商品はどこよりも醜悪でなによりもオモシロイ、餓鬼がもとめているのはオモシロイものだろう?ならば日記をかえばよい、そこには全てがそろっている」


意味がわからない

わからないが、段ボールの日記で古臭く、ぼろっちいのを手に取ってみた。


「1230円だ。カウンターに出しておけ」


なんか買う事になってる…

だけど、これはいいかもしれない

これはきっと面白い物だと思う。


僕はお金をカウンターに置き、店を後にした。


最後まで声の主は出て来なかった。



家に向かう。

すれ違う人達、違う町

この違和感も日々を過ごすうちに消えていくのだろう。

引っ越しによる環境の変化なんてすぐになれる。

どうせ妹は友達の家にとまるのだろうし。



鳥居の下を通った時に

声が聞こえた気がした。




家に着く。

アパートの203号室

それが僕たちの家になる。


今日は妹もいる。



もうすぐ3時になる。まだ妹は段ボールを開けているのだろうか?



………鍵がかかっていた。





チャイムを押す。


「誰?」


妹がいつも道りに聞く、だから僕はいつも通りに答える


「小川裕太」


鍵が開き、妹の顔がひょっこりと出てくる。


妹がいつも通りに「おかえり」と言う。


僕もいつも通りに「ただいま」と返す。


妹は少し俯いて、部屋に戻っていった。


僕は買ってきた物を渡したかったけど、妹の部屋に入るわけにもいかないしそれにそんなに急がなくてもいいと思う。

とりあえずリビングに置いて僕も自分の部屋にむかう。


僕の部屋は荷物が少ない。あるのは机と、小さな本棚だけだ。

よく妹にもっと私物を増やせといわれるけど、別に欲しい物もないし私物が増えていく事もない。

妹の頼みだから聞きたいけど、こればかりはしょうがないと思う。


欲しくもないもので場所を使うのはもったいないしお金もかかってしまう

だから妹には悪いけど我慢してもらおう。

9時になった。


妹に呼ばれる。今日のご飯はチンご飯と冷凍食品だった。我が家ではレンジで温めるご飯をチンご飯という。つまりチンと言っても卑猥な意味合いではない、断じて・・・。

これが思春期真っ只中、高校生の思考なのだろうか。さっきの日記屋といい、こういう言葉が連想されてしまう・・・引っ越しで疲れているのだろうか、いやいや若いとはこうゆうことなのだ。


妹が「冷凍食品とかでごめん」

と、もうしわけなさそうに謝る。僕は

「おいしいよ」

と返す。当たり前だ!そこに妹がいるのだから!


僕たちは食事中に話はしないほうだ、そのあとはお互い無言で食事を続ける。


10分ほどたっただろうか、妹が沈黙を破った。


「そういえば、ゆーたがもってきたあれってなんなんの?」

妹の視線がリビングにおいてある日記を見ている

「日記だよ」

「日記?書くの?」

「ううん、もう書き終わってる日記だよ」


妹が首をちょこんと傾げている。

やはり小動物みたいだ。リスやハムスターに近い感じだ。ぜひお持ち帰りしたい

・・・もしかすると前世でそういった類の動物だったのだろうか。今度木の実でも与えてみよう、一心不乱に噛り付くかもしれない。



「…えっと、どこが面白いの?」

「日記っていうのはその人の人生そのものだから、人生に面白い物がないなんてないっておじさんが進めてくれたんだ」

「・・・・・・」

妹がガクッとした感じで机につっぷした。

「ひ、人の日記を読むのは悪趣味だと思う…プライバシーの問題もあるし…」


「だけど、テレビだってスキャンダルで盛り上がるし、昔から王様の耳はロバの耳って言うじゃないか」

妹はいらないようだ。


「ロバの耳は違うと思う」


僕は部屋に帰り日記を机の上に置き、ベッドに寝転がる。

引っ越しの疲れかいつもより早足で迫ってきた睡魔に身を任せ、目を閉じた。


・・・僕は夢を見ない、寝ている間に見るのはただの暗闇だけだ。

・・・そう、今日もまた同じ・・・・



初投稿になります

とりあえずですが批判、感想などをくれたらちゃんと読みます。

ただ、それが反映できるか、返信できるかは、わかりません(ぺこり)


文才ない駄文だとおもいますが、よんでいただけたらです


10日を目安に投稿したいです

また、これはノルマ性にします

10日毎にみて、ノルマ達成してたら次話を投稿するってことにします

ノルマ達成してなかったら、直しをいれてよりよいものをめざします


最初のノルマはアクセス回数20以上?(初投稿なのでよくわかってない)です

では

ぺこり


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