表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/24

1枚目 はかない魔女のお願い

 筆先の絵具が、目の前にあるキャンバスを彩る。


 絵を描くこと。

 それが絵描きの青年、アグル・バレンダの生業だ。


 真っ白な紙はもちろん、木材や路地の壁など、この世に存在するありとあらゆる対象をキャンバスにして、己が見てきた世界を、あるいは思い描く幻想を描く。


 当然、その対象は物言わぬ物体に限ることなく――


「や、んん……ッ」


 アグルの目の前にある()()()()()がわずかに身じろぎした。


 キャンバスの色は肌色。

 それも白磁のような艶を備えた美しい少女だった。


 ドレスのスカートをたくし上げたその柔肌をアグルの筆が慎重に彩っていく。

 はたから見ればとんでもない光景だろう。その事実から目を逸らすように、アグルは視界に映るモノを()()()()()()()()と意識して黙々と筆を動かす。


 ……ありていに表現すれば。


 アグルは今、年下の少女に絵を描いているのだ。


「ん、ちょっと、くすぐったい……」

「……我慢してくれ。これはアンタの注文だ」


 煌びやかな調度品で飾られた豪奢な部屋。


 その中央でスカートをたくし上げる少女の前で膝を突き、アグルはパレットと筆を両手に備えて可能な限り己を律して依頼された絵を彼女の身体に描いてく。


 アグルは黙々と作業を続けながら内心で思う。


 ――どうして、こんなことになったんだ……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ