表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/9

3. 冒険者ギルド

 


 翌朝、さっそくギルドで冒険者登録を行う。ずいぶん美人な受付嬢が担当してくれた。

 登録はなんと名前と年齢だけ。ずいぶんずさんな管理だとは思うが、スキルなどを聞かれても困るので、俺的には助かった。


 俺はFランクスタート。ランクというのは冒険者ランクのことだ。F~SSまで、実績と強さをギルドに認められると変化していく。受けられる依頼もこれによって変わっていくらしい。――ここで昨日の魔物のことを思い出す。


「実績というのは、ギルドに所属する前のモノでも加算されるのだろうか。昨日、森で魔物を討伐したのだが…」


 すると受付嬢は言う。

「加算できますよ。ただ嘘見抜きの水晶を用いた手続きを行わなければなりません。…ちなみに何を討伐されたのですか?」


「名前は知らないが、熊の魔物だ。」


 彼女は一瞬驚くも、微笑みながらこう言った。

「熊型の魔物ですと、マッド・グリズリーだと思いますが…、マッド・グリズリーはBランクの魔物。成人したばかりの方が討伐できるものではありません。...おそらく、普通の熊を見間違えられたのかと…」


 ふむ。普通の熊には見えなかったがな。…確かにそこまで強くなかったし、見間違えかもしれん。


「わかりました。ありがとう」



 さっそく依頼を受けてみることにする。

 Fランクの俺は、Eランクまでの依頼しか受けられない。なかなかいい依頼は見つからなかったが、たまたま〈Eランク:ゴブリンの討伐〉の依頼を受けることができた。人型の魔物相手なら前世の暗殺術も役立つだろうし、俺にぴったりの依頼だろう。




 ――ゴブリン討伐はすんなりと達成できた。朝、出発して昼には終わったので、依頼達成にかかったのは3時間弱。たまたま群れでいたので全て討伐しておいた。


「まぁ帰るか。」


 その帰り道、女が虎の魔物の群れと戦闘している場面に出くわした。女は魔法使い。なかなか動きが良いのでおそらく高ランクだろう。だが…。


「きゃッ」


 魔物のレベルもそれなりに高い。魔法では相性が悪そうだ。これは厳しいな。観察もここまでか…。


「――助太刀する」


 まず、1匹。【影踏み】を利用して背後を取り、素早く首を切り落とす。クールダウン中に双剣で2匹目、3匹目も倒す。すると、


 ――きゃあっ!


 残った1匹が女に飛び掛かっているのが見えた。女は力が尽きているようだ。少なくとも避けられる様子ではない。


「ッ!?しまった。」

【影踏み】はクールダウン中である、普通に走っても届きそうにない。もうアレを使うしかないか…。


 ――【殺迅マーダー・インパルス】!!

 

 その瞬間、虎の魔物は血を吹いて倒れる。女は何とか無事だったようだ。


【殺迅】とは俺のもう一つのユニークスキル。込める殺意の分だけ、自身の身体能力を向上させることができるスキルだ。これも世界最強クラスのスキルの一種だろう。

 殺意を制御できる俺にとっては非常に便利だ。ただ、込める殺意の大きさによっては、ものすごく疲れるので使用場面には気を付ける必要がある。

 ちなみに、さっきはほとんど殺意を込めていない。疲れはほぼないぞ。


 女は静かに立ち上がり、こちらの様子を伺う。そして、


「…あ、あの、助けてくれて、ありがとう。」


 透き通るような声だ。…弱々しく、今にも折れてしまいそうな。


「あぁ、大丈夫か?」


「うん...。貴方強い。ブラッド・タイガーの群れを一瞬で…」


 ブラッド・タイガー。それがさっきの虎の魔物の名前らしい。


「…名前は?」


「シオンだ。」


「――シオン?おかしい、こんなに強い冒険者の名前、聞き覚えがないはずないのに…」


「あぁ、今日冒険者登録したところだからな。」


「――え?今なんて…?」


「だから、今日冒険者登録したところなんだ。」


「...???」

 

...。思考が停止してしまったらしい。

「もういいだろ。ほら帰るぞ」


 固まる彼女をつれて、町に戻ることにした。




 ――小一時間ほどで町についた。


 ちなみに、道中の会話で彼女のことが少しわかった。彼女の名はセリーナ、今年18の年であるようだ。少々引っ込み思案な彼女から引き出せたのは、せいぜいこれくらいである。


 ともにギルドに依頼達成の報告をしに行く。


「信じられない。本当にFランクなんて…」

 ゴブリン討伐の依頼達成を報告する俺を見てセリーナがまだ驚いている。


「だから言ったろう」

 なぜか自慢げな口調になってしまった。…まあいい。


 討伐証明のゴブリンの耳を提示すると、受付嬢はなぜか驚いた様子だったが、無事、報酬の2000ルージュも手に入れることができた。


 次はセリーナが報告する番だ。少し離れたところで待っていると、受付嬢が何やら戸惑っている。

「…ですが、彼は今日登録した分でして、とてもそのような力が…」


「...私は嘘をつかない。」


「…わかりました。報告してきます。少々お待ちください」


 そう言い残して、受付嬢は裏へ走っていった。


 何事かと観察していると、セリーナがこっちに近づいてきた。

「ちょっと待っててって…」


 ふむ。何があったかわからないが、セリーナの言う通りギルドの中で時間をつぶすとしよう。



 ――10分ほどたっただろうか。ベンチに腰かけていた俺たちに声がかかる。


「シオン様、セリーナ様、お待たせして申し訳ありません。ギルドマスターの準備ができましたので、ご同行願います。」


 …。え。ギルドマスターが俺に何の用だ?


「早く行こ…」

 セリーナがせかす。


 はぁ仕方ない、何だか知らないが、ついていくしかないようだ…。




お読み頂き本当にありがとうございます


ぜひブックマーク・ご評価のほうをお願いします!




初心者ゆえに至らぬところも多いかと思います。


読者様のご評価、ご感想は今後、しっかりと参考にさせていただきます。




叱咤激励、御賛辞、お待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ