第四話 条件
いつも見て頂き、ありがとうございます。
俺は目が覚めた。
いつもの天井
いつも寝ているベッド
自分の部屋。
今日はダンジョンへ行く日だ。
様々な思いが巡る中、俺は母さんに行って来ますを告げ、家を出た。
その時、医者のアラン先生の家から叫び声が聞こえた。
「誰かこのロープを解いてくれえええええっ!」
‥‥多分ジャクソンに刺された奴だろう。
取り敢えず行ってみよう。
俺はアラン先生の家の扉をノックした。
そして出て来た。
「ふぁぁ。ああなんだお前か。急にアイツが叫びだしたから俺も目が覚めちまったよ。取り敢えずアイツに会ってみろ。」
俺は入院室へと向かい、昨日刺された奴と対面した。
「‥!おい昨日の俺を桶で殴った奴!悪かったから解いてくれっ!」
「いいや、解くのは話が終わってからだ。ちょっと話をしよう。」
ベットの横の椅子に俺は座った。
「‥良かったな助かって。ジャクソンに刺されたところはまだ痛いか?」
「確かに痛い。そうか‥確かに昨日ジャクソンさんに刺されたわ。うろ覚えだけど。」
「‥もう一人いた取り巻きは悪いが、昨日俺と戦ってるうちに木に潰されて死んだよ‥悪かったな。いくらでも恨んでくれて構わない。」
「‥ああ、一緒にいた奴か。ふーん、死んだのか。まあいいや。知らない奴だし。」
意外と反応はそっけなかった。めちゃくちゃ俺の事を恨むと思っていた。
「なあ、なんでジャクソンなんかを慕ってるんだ?真面目に働こうぜ?」
「‥‥お前に俺の何が分かる?さっきから敵の俺を心配するような事をして内心バカにしてんだろ。確かに俺は昨日お前に負けたけど、お前が偉いって訳じゃないからな。分かったら出ていってくれ。」
仕方ない。ここは一旦離れよう。
俺は去り際に「‥また来る。」と言って部屋を出た。
取り敢えずダンジョンに行くため、アラン先生にアイツのその後を頼んだ。
「まだ怪我をしてるんで下手に動いたら倒れるかもしれないので、アイツを縛っているロープはそのままにしておいてください。」と先生に伝えた。
先生は「分かった。気をつけるんだぞ。」と俺を見送った。
俺は村を出て、初心者ダンジョンがある近くの草原へと向かった。
ーーー草原・初心者ダンジョン前ーーー
‥凄い賑わいだ。最近は不景気なので勇者で一発稼ぐ為、多くの人が集まっていた。
初心者向けなので簡単な分、報酬も安い。だから、仕事の傍ら、空き時間にバイト感覚で入っていく人が多い。ある意味危険だ。
そして、ダンジョン入口周りにいた勇者気取りのチンピラっぽい奴らの横を通った時、
「オイオイ、アイツ装備が貧弱すぎるって笑笑」
「ペラッペラな服と木の棒でダンジョンに挑むって‥スライムだけしか居ないと思ってんのかな笑」
「死ぬわ、アイツ」
クソっ!なんとでも言ってくれよ。俺は気にせずダンジョンへ入ろうとした。
その時、
「スキル発動条件を満たしていません。スキル発動条件、ダンジョンボスを一回討伐。」
‥‥‥え?
突如、俺の脳内に機械音声が語りかけて来た。
いやいや、それでもビックリするんだけど、スキル‥?
え?まさか俺はスキルを持っていたって事‥?
今まで発動できていなかっただけって事か?
「‥‥なら‥‥尚更やる気出て来たぜええええええっ!待ってろボスううっ!」
周りの勇者たちがいきなり叫んだ俺に注目した。
俺はそんな事全く気にしてなかった。
俺は今までスキルがないと思い込んでいたけど、まさか発動できてなかっただけだなんて‥
俺は自分自身にスキルがあるとわかった途端、力が湧いて来た。
ちなみに武器は拾ったちょっと太い木。
ダイスケ 17歳
鎧‥‥なし 盾‥‥なし 回復薬‥‥なし
勇気を超えたやる気‥‥‥あり。
俺は初心者ダンジョンへと入った。