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第一話 非力

初作品です。

よろしくお願いします。

「また負けた‥」


負けた後のボロボロの体で必死に捻り出した言葉だ。 

たった今、俺はスライム(Lv3)に敗北してしまった。

情けない愚痴を原動力に俺は自宅へ向かっていた。


 俺の名前はダイスケ(17歳)。勇者(自称) 

 スキルは‥持ってない!他の奴らは全員スキルを持っていて羨ましいの一言だ。


この世界では誰もがスキルを一つ持っている。


この世界でスキルを持っていないというのはかなりの痛手なんだ。 

 多くの奴らは攻撃系スキル、サポートスキルを持っているが故に必然的に戦いに出る者が多い。

 

 少数だが、パッとしない名前のスキルを持っている者も居る。だが多くの者はそのスキルを巧みに利用し成功している奴らが多いのが事実だ。


そんな中、俺は‥

おっと、どんなに事実を恨んでも何も変わらない。今は俺にできる事を最大限頑張ろう。

「母さんが一人で待っている。早く帰ろう。」

俺は家へ早歩きで帰った。 



シャラズ王国・フレシア村


ガチャッ


「ただいま、母さん」


「あら、おかえりダイスケ‥って大丈夫!?そのケガ‥」


「ああ大丈夫だよ。調子乗ってレベル25の大ゴブリンに挑んだら返り討ちにあってね。これからは気をつけるよ。」


‥‥‥‥‥本当は嘘だ。レベル3のスライムに不意打ちに遭ったからって負けたんだ。絶対に言えない。


「とりあえずダイスケ、今日は早く夜ご飯を食べて寝なさい。夜ご飯はそこの机に置いてあるからね。」


「ありがとう。母さんも薬飲んで早く寝た方がいいよ。」


「おやすみダイスケ」


「母さんおやすみ。」


 俺は机に置いてあった少し冷めた焼き魚が乗っている皿を手に、自分の部屋に向かった。 


「いただきます。」

‥うん。うまい


 俺は焼き魚を口に入れながら、頭の中で渋滞している悩み事を一つ一つ思い出した。


‥‥一ヶ月前位に親父が亡くなった。

それは突然のことだった。

 近隣の結構大きい村が悪名高い盗賊団によって大規模な集団強盗に遭ったんだ。 

多くの村人が殺害され、金品が奪われたり、新聞に載るほどの被害だった。 


襲撃があった時、親父は

「近隣の村が盗賊団による強盗があったらしい。俺は村の人を助けに行ってくる。」

 

その時俺は

「‥!気をつけろよ親父!もう結構な年齢だろう!無理しないでくれよ!」


「俺はそんなところで死なん!少しの間待っててくれ!」


‥それが親父との最後の会話だった。

 

 遺体は見つかったらしいが、体には何十本と矢が刺さっていたらしい。


思い出しただけで胸が苦しくなり、呼吸が不安定になる。

 

‥親父はその辺じゃ名のある勇者だった。引退後も時々モンスター討伐に行っていた。

時々すごい量の金貨を稼いでくる時もあった。 

 

 俺は戦闘に向かないことは分かっていたので、近くの町の居酒屋で働いていた。

その時は我が家もそこまで生活には困っていなかった。


だが親父が死んだ今、我が家の稼ぎは居酒屋で働いている俺の給料と弱いスライム討伐での小銭だけになってしまった。 

母さんは病気がちで、薬が毎月いる。 


 もう居酒屋だけの稼ぎだけではかなり厳しいので、仕事の傍ら、スライム討伐へ行っているが、今日負けたようにあんまり価値が見合っていない。


そして‥

兄貴の事だ。 

実は兄貴がいたんだけど、4年程前に失踪した。

仕事という理由で家を飛び出してから消息を絶った。 

元気でいてほしい。


俺は届かないと分かっていながらも、兄貴の無事を願った。


 そうして悩み事を全部思い出すうちには、皿には魚の骨しか残っていなかった。 


「ごちそうさまでした。」


台所に行き俺は皿を洗った。 


‥スライムに噛みつかれた手の傷が染みる。


 そう思いながらも、自室に戻ってベットに飛び込むように横になった。


普段はあんまり喋らない俺もこの時だけは、こう呟いた。 

「強くなりたい‥。」


 なんかいろんな事を思い出したら、自然と一粒の涙が頬を伝った。


「でも金が無くても、スキルも無くても一歩一歩努力すれば多少はいい方向になることを信じて頑張るぞ!」


 その涙は自分の非力さを嘆く涙か、決意の涙か、どっちかは分からないが、

俺はベットの上で拳を挙げて誓った。 




チュン‥チュン

 

 小鳥の鳴き声が聞こえてきた。

それと同時に太陽の光を感じた。

どうやらいつの間にか寝ていたようだ。

 自室を出てリビングに行くと、既に母さんは起きていたようだ。

「おはよう」 


「あら、ダイスケおはよう」 

 

「母さん、今日は仕事がないからちょっと出かけてくるよ」


「え?まさかモンスター討伐に行くんじゃないでしょうね?」


「‥そうだよ。バイトの稼ぎだけじゃ生活は苦しいじゃん」


「昨日怪我したのにまた行くの?あんまり怪我して欲しくないから無闇に討伐に行くのはやめてちょうだい!」


「仕方ないじゃないか!母さんの薬代とか色々金がかかるんだよ!だから少しでも生活が楽になるように頑張ろうとするのを止めないでくれ!」


つい強く言ってしまった。 


「‥!いつもごめんね‥ダイスケ私のために‥」


「あ‥いやそんなつもりじゃ無くて‥」


その時、外から騒がしい声が聞こえた。

また(ヤツら)が来てしまったようだ。


「村長を出せ!村人は全員外へ出ろ!」


「!?仕方ない‥母さん外へ行こう。ゆっくりでいいから。」


「そうね‥」


俺は足の悪い母さんの付き添いをしながら渋々外へ出た。


外には3人の男が待っていた。

ラウール盗賊団の下っ端のヤツらだ。


 最近から二週間おきにフレシア村に来ては

「近くの草原にいるモンスターから村を守っている」

として"みかじめ料"を求めてやって来る。


 奴らが定期的に来る前からこの村に猪が出た事はあるが、

モンスターが攻撃に来た事は無い。多分適当に考えたそれっぽい理由だろう。


 しかしそれよりも気になることがある。奴らがラウール盗賊団と言うことだ。 

何故知っているかと言うのは、奴らが初めて村に来た時、

「俺らはラウール盗賊団のメンバーなんだぞ」と名前を出して自分から言っていたんだ。

 


‥‥ラウール盗賊団‥近隣の村が襲撃に遭った時、支援に行った親父を殺した奴らだ。


 その時、3人の男のうち真ん中にいる血のついた棍棒を持ったボスっぽい男が

「さっさと村長を呼んでこい!村人全員やっちまうぞ!」


そしてフレシア村・村長のローガン爺さんが出てきた。

 「はいはい‥今回の分です‥」

と村人全員から集めた、いっぱいの銅貨・銀貨・金貨が入った袋を真ん中のボスっぽい男に渡した。


しかし渡したのにも関わらず、ボスっぽい男が

「オイィ少ネェなぁ?なんか謝罪のヒトコトぐらい常識だよなァ?」

と謝罪を要求してきた。

ローガン爺さんは必死に捻り出したような声で

「すいません‥私たちはこれが精一杯なんです‥いつも村を守って頂き、ありがとうございます‥」

と謝罪をした。


その言葉を聞いて、ボスっぽい男がニヤリと笑い、

「そうだよなあ?一言詫びを入れるのが常識だよなぁ?それが嫌ならもっと寄越せや!」


俺はコイツらがラウール盗賊団のメンバーなのかはどうでも良いとして、人を脅して金を要求するのは到底許せない。


ボスっぽい男が

「じゃ、また来るわ。二週間後な。」


そこで俺は自制心よりも先に

「おい、ちょっと待て」

‥声を出してしまった。


「アァ?」


ボスっぽい男と取り巻きの二人が反応した。


えーい、どうにでもなれ。


「弱い人を脅して金を搾取するのはどうかと思うぜ。"ラウール団"の人」


「なんだお前。雑魚が調子に乗るなよ。黙って"みかじめ料"を払えば良いんだよ。やっちまうぞ!」


「お前らうちの村にもう来るな。もちろん"条件"ありでだ」


「偉そうによォ?じゃあ俺の取り巻き二人を倒したら条件を聞いてやんよォ」


 よし。予想通り、奴らが簡単にこちらの条件を聞いてくれるとは思わない事は分かっていた。しかし、戦闘が上手くいくとは思わない。

 だけど、俺がここで抗わないとずっと搾取され続けるだけだ。ここで止めないと。

 その場のノリレベルで挑発したが結構怖い。

 なんか武器持ってるし。取り巻きは木刀でボスっぽい男は

棍棒(血付き)だろう。多分殺したら金が入る量が少なくなるからギリギリ殺さない程度の護身用の武器だろう。

こうなりゃヤケだ。死ぬ事以外かすり傷精神で戦ってやる!


「お前らかかえぇっ!」

ボスっぽい男が合図すると同時に取り巻きの男二人がこちらに向かってくる。


母さん、ローガン爺さん、その他村人が見守る中

俺は拳に力を込め、覚悟を決めた。

そして



戦いが始まった。





読んでいただきありがとうございました。

見て頂けるだけで力を貰えます!

スキルについてはもう少しお待ちください‥

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