小さな勇気と憧れ-1 ミライの不得意分野
ミライのある勤務日の交替で取る仮眠中スヤスヤと寝ていた時だったーーー
仮眠時間スタートからどのくらいの時間を寝たかは分からなかったが、トントンと肩を叩かれて誰かに起こされたのは理解していたが.....
ベッドから起き上がると目の前にいた驚いた顔をするリザがこう声をかけてきた。
「ミライ。寝てるところ悪いが....現場出場だ」
ミライはそれを聞いて大きく伸びをして、素早く仮眠用のベッドから飛び起きて、第二小隊が乗るポンプ車が格納されている車庫へと向かったーー
仮眠室は庁舎の2階にあって、滑り棒を滑って降りて地上階の車庫にたどり着いた。
車庫では慌ただしく、他の車両の人員も忙しく動いていた。
今日の機動第二小隊のメンバーはドンが休みになっていて、
リザを隊長として機関員をレオン、1番員クロエ、2番員ミライという形になっていた。
車庫の奥にあるテーブルで防火衣を着たレオンとクロエが地図を確認していた。
リザは印刷機から指令書が吐き出されて、それを手に取った内容を確認して地図を確認するレオンに手渡した。
「船舶火災だ!レオン!場所は大丈夫?」
「はい!さっき無線でハーバー区の23番埠頭のコンビナート地区って言ってたので...旧道を爆速で行きます」
それを聞いたリザは手早く防火衣を着始めた。
ミライも防火衣を手に取って指令書と地図を見ながら防火衣を着装した。
「せっかくの何もない日だったのにぃぃ!」
そうクロエは叫びながら、ポンプ車へ走ってきて、
レオンは地図を手に取って運転席に座って、エンジンをかけて赤色灯のスイッチをオンにした。
「諦めだな。クロエ」
リザはそうクロエの言葉に返して、助手席に座り無線機のマイクを手にとって、後ろに座るミライとクロエの方をみてこう言った。
「第二出場で行くから、後方支援になると思うが...現場は現場で変わりない!気を引き締めて行くぞ」
「「「はい」」」
ミライ、ルーシー、クロエがそう返事をしたのを聞いてリズは無線機のマイクを手に取って無線を飛ばした。
「機動2から。大隊本部。これより、災害09へ出場 以上」
無線の返信が飛んできたのを確認した、レオンはクラクションを鳴らして車庫からポンプ車を出していったーーー
続々と同じ署に配属されている車両がけたたましいサイレンを鳴らして現場へと向かっていった。
『大隊本部から。災害09第二出場各隊ーーー現場指揮隊より延焼防止応援のための第二出場要請。
場所にあっては、ハーバー区23番埠頭。停泊しているタンカーの火災。
現在、第一出場隊で火勢は抑えられているものの、危険物への引火の可能性があるため広域での警戒必要との判断。
第二出場隊にあってはP12、P20は埠頭入り口にて現場指揮本部の指示に従い警戒部署。機動2あっては周辺区域での避難誘導と救助活動当たれ」
そう無線が車内に響き渡って、ミライの耳に入り込んだーー
同じく聞いていたリザが無線で返事を返して部下達に指示を送った。
「機動2。全文、了解ーー
レオンは無線中継で車両張り付き、クロエとミライは私についてきて各区画の避難確認を行う」
「「よし」」
ミライとクロエはそう声を揃えて返事を返した。
クロエはライトと無線機をミライに渡して、自分自身もライトと無線を手に取ってミライにこう言った。
「ミライ。じゃあ、よろしく」
「OKです」
そう返事を返すと、そのやり取りを聞いていたレオンがこう言ったーーー
「爆発の恐れは低いかもしれないけど...気をつけた方がいいぜ」
それを聞いたクロエがこう言ってミライの肩をポンポンと叩いた。
「確かにね」
それを聞いた、リザがすぐさまこう言ったーーー
「こう言うのは楽な可能性もあるけど、もしもの時ってのがあるのよ。みんな、気を引き締めてって教育隊で言われただろ」
それを聞いた、レオンが水を刺すようにこう返した。
「リザさん。それ多分陸軍の話じゃないですか?ま...水兵教育部でも...最悪に備えるべしって習いますけど」
「あ、それもそうねーーごめんごめん。とにかく、安全管理と警戒はきっちり」
リザはそう言った。
リザの経歴は元陸軍の空挺部隊にいた人物で、
色々なことがあって除隊してドン隊長に拾われる形で、マリンセイル消防大隊の一員になったらしいーーー
それもあって、ちょっと周りとは色が違うのが時折出てくると言う感じだ。
でも、どうであれ。
リザの優秀っぷりは変わらない。
マリンセイルで最年少で初女性の車両隊長をやってのけたり、訓練センターの助教をやっている、女子寮に住む消防女子たちの星である。
現場に近いて、海の方が夕焼けかと思うぐらいの明るさになっているのに驚きながら波止場の方からモクモクと黒煙が夜空を包んでいた。
「最盛期って感じか....これで火勢抑えられてるって話なの」
そうクロエが呟くとレオンがこう言った。
「だから気をつけてやろって話だよ。ミライも見惚れてないでそろそろ着くからな」
ミライはその言葉を聞いてハッとして、周りに状況を見ることにした。
深夜だと言うのに騒ぎが気になった野次馬が沢山いて警官隊が整理で慌ただしい雰囲気になっていた。その横を第二小隊のポンプ車が抜けていったーーー
それを横目にリザが地図を出して指示を送ってきた。
「とりあえず、大外は警察でどうにかなってるみたいだな....その内側で逃げ遅れがいないかをまずは探そう。
とりあえず、この通りまではこの車で行けるから、そこまでは車両ないから火の粉で飛び火したりする可能性も考慮して警戒と非難の誘導に当たろう」
ミライとクロエはそれを聞いて窓を開けて、周りを見渡すようにしたーーー
リザは車載の拡声器のマイクを手に取ってこう言い始めた。
「こちらは、マリンセイル消防隊です。
現在、係留中の船舶の火災が発生しています。この地区にて火災の危険があるので直ちに避難をしてください。
繰り返しますーーー」
リザの避難を促す広報が聞こえる中で、ミライは周りを見渡していた。
そんなこんなで、タンカー火災の事案は無事に終息した。
ミライ達第二小隊はエリア内を隈なく確認をして逃げ遅れがやら要救助者がいないを確認している間に
タンカーの火災は鎮圧されて第二小隊の帰署命令が下された。
翌朝、ミライは活動報告書を書き終えて。
リザがそれのチェックをしていた。
クロエとレオンはそれをクロワッサンとコーヒーを摘みながら眺めていた。
ミライはあまりこう言う事務仕事は苦手で時間もかかるが.....
「うーん。もーちょっとーーー書けないか?ほら、もっと詳細に書いて欲しいんだ」
リザはそう言って、大きくため息をついた。
今回はミライは自分なりにいいと思ったにでそう言われて、ショックで肩を落としたーーー
「とりあえず....修正箇所だけ修正急いで」
リザはそう言うと、報告書をミライの前に置いて丁寧に修正する箇所を教えてくれたーーー
ドン隊長だと割と、圧があるがリザはそうではないのがミライはどこか安心できたが。
でも、それでも。
今回は行けると思ったのにダメ出しされたことが心に残っていたーーー
修正が終わり、リザが署名を済ませるとその頃に交代でやってくる第三小隊の面々が入ってきた。
「アカハノ軍曹が隊長だったのかー昨日はお疲れ様〜」
そう第三小隊の隊長はそう言って、リザが署名した報告書に目を通し始めた。
それを見たリザは立ち上がって、クロエとレオンに合図を送った。
「では。隊引き継ぎを行います」
リザがそう言うとテーブルに置いていた引き継ぎ簿を手に取って引き継ぎ事項を第三小隊のメンバーに行ったーー
ロッカールームでミライはため息をついていると、リザがポンと背中を叩いてこう言ってきた。
「よくできてた。訓練センターの時とは全然違うよーーただ、あのままで上に出すわけにはいかないと思ったんだ。
若干、誤字脱字があったからね。
次、今回の反省を生かしてくれ」
「はい。リザさん...」
「私も元々は体力だけが取り柄で、昔はダメダメだったんだよ。下士官への昇格試験の際は結構焦ったりしてドン隊長にバシバシされてたから」
リザはそうニコッと笑みを浮かべて、トレーニングウェアに着替え始めた。
「リザさん。非番でトレーニングするんですね...ストイック...」
「うん?ミライも来る?」
「は、はい!」
アリサ「ところで、リザさん。何か、秘訣とかってあったりするんですか?」
リザ「うーん...そうだな、数こなすしかないかな」
アリサ「うーん...リザさんらしい...はぁー」
リザ「どこかで、パターンみたいなのが見えてくるんだよ」
アリサ「やっぱり経験値...リザさんちなみに今からどんなメニューするんですか?」
リザ「近くの学校まで走って戻ってくるだけだな。無理して怪我するのおかしな話だからな。現場出場があったからたその分の疲労も考慮しないと」
アリサ「考え方...参考になりますっ」
リザ「いや...以前、現場があった翌朝にクロエと追い込みした際にクロエが脚を攣ってね。翌日までナーンか引きずってたからね」
アリサ「あ、だから....クロエさんパッと帰ったのか」
リザ「まー疲労回復のために走る...ってくらいだ」
アリサ「あれ、以前...リザさん『風邪気味だから走ってくる』って言ってなんだかんだですごい時間走ってた記憶が」
クロエ「うわぁ....脳筋」
リザ「ああれは...ちょっと途中で調子が良くなってーーーま、いいじゃないか。今日はコンディション整え日だ。
次回、メリッサの憧れ。乞うご期待」