ドン・ロックの昔話-3 難局
「本当にどうやってそんな状況を切り抜けて来たんですか?」
そうドンの話の続きが気になって、ミライは好奇心が勝りまくって前のめりになってドンの席の方に身体を向けていたが....
放送から指令音が聞こえて来たので、その部屋にいた第二小隊の面々は放送の方に耳を傾けた。
『4管区 救急救助 入電中 以上』
それを聞いたドンはすっと立ち上がってこう言ったーー
「話は途中だが....うちら出るな!行くぞ」
ドンがそう言うのと同時にミライを含めた他の面々も席を立ち上がり、車両へと走って行ったーーー
救急救助指令というのは、
要救助者が怪我をしており、救助隊と救急隊が同時出場になる出場指令の一つだ。
情報はまだわからないが、救急救助指令で1番多いのは、交通事故での自力脱出不能事案や工場での重機の挟まれたなど多岐にわたる。
本鈴が署内に鳴り響いた頃にはミライたちは準備を終えて車両に乗り込もうとしていたーー
機関員のレオンと隊長のドンは通信係が座る受付付近で地図を広げてルートの確認を行っていた。
そして本鈴が流れた。
『4管区 救急救助 17番街 マリンタワー
災害番号19 第一出場 P20 L19 R8 A1 機動2 指揮4 出場 以上ーー』
それを聞いた、ドンとリザとレオンは車両に乗り込み、ミライとクロエもそれに続いたーー
「じゃあ、国道抜けていきますね!」
レオンはそういうとサイレンをオンにして車両を進ませて行ったーーー
ミライは流れてくる無線に耳を傾ける事にしたーー
『大隊本部から出場各隊。災害番号19 現場にあっては17番街 マリンタワー東にある8F建高層マンション建設現場。
警察よりの入電。6F付近で作業中の27歳男性作業員が誤って足場より転落。
現在、4F付近の梁に腰紐が引っ掛かり救助困難。
なお、落下の際に頭部を打って気絶しているとの情報あり』
『指揮4から、大隊本部。これより災害19にあっては指揮4が統括ーー
なお、高エネルギー外傷の疑いあり、指定救急病院への受け入れ要請を願う』
『大隊本部、了解』
一通りの情報を聞いて、ドンが指示を第二小隊の面々にこう言ったーーー
「現場到着後は、救助ロープ資機材を持って降りてくれ....
5階からアプローチで行こうともう....
あの場所は梯子車が入り込めない狭さだったはずだ。救助隊と共に現場入りして49の救助を行う」
「「「よし」」」
「そろそろ着きますよ!!」
そうレオンが言ったのを聞いてグネグネとした道の中を縫っていくようにスピードを落として進んでいたーーー
車が停車して、レオンはサイレンを消してドンが周りを見て扉を開けて降りたのを確認してーーー
ミライもそれに続いたーー
現場について、鉄骨剥き出しのまだ建設途上の鉄骨に紐一本で宙吊りになっておる要救助をミライは見た。
周りには心配そうにして待っている工事現場の人達がいたーー
先着していた若い制服警官はどうしたらいいのかわからないのかどこか右往左往としていた。
「おーい。消防隊です!大丈夫ですか!?」
ドンはそう大声で宙吊りになっている男性に声をかけるが彼から返事はなかったーーー
ビリビリと何か嫌な音がミライの耳に入って来て緊張感が高まった。
ドンもそれには気がついていたようで、すぐに指示を送った。
「あまり時間はないなーー上階からアプローチをかける。上から降下して、まずは49の安全確保!俺が降りるーーー
リザ!来てくれ、クロエとミライは降下地点の安全管理!」
了解という暇もなく、ドンが建物の中に入っていってそれに続く形でリザは続いて行った。
ミライとクロエは要救助者の真下に向かうことのした。
クロエは周りを見渡してこうミライに言った。
「簡易でいいからマットか何か用意するわよ」
「了解」
ミライはそう答えて周りを見渡した....すると、運がいい事に近くに大きく分厚いマットがあるのをミライは見つけてクロエと共に運ぶ事にした。
その頃上ではすでに降下の準備は整っているようで、ドンは壁面に出て降下を始めていたーーー
ミライはそのドンの軽やかで素早い動きがすごくて見惚れていたが....
要救助者の腰紐が目ではっきりわかるぐらいに切れ初めるのが見えてミライは思わずこう言った。
「き、切れる!!」
唯一の命綱が切れかかっていて、ドンはそれに気がついて冷静な顔をして一気に要救助者の位置まで降下した。
急がないと要救助者が地面に落ちるっ!急がないとーー
そうミライは思いながらクロエと気がついた周りの人一緒に落下予想地点で急いで運んだ。
ーーぷつりーー
そう音が聞こえて要救助者が落下し始めた。
周りから悲鳴が聞こえて来たが、それはすぐに歓声へと変わったーーー
間に合ったドンが片手で要救助者の腰紐を握って落ちないように支えていたからだ。
すげーという声に拍手と歓声と歓喜の声が聞こえ来た。
遅れて到着した救助隊の全員も驚いてドンの姿を見ていたーー
遅れて足にロープバックをつけたリザが飛び降りるように素早く降下して来て、宙吊りで作業するための作業姿勢をとって要救助者を支えてこう言った。
「確保よし!」
それを聞いたドンはホッと胸を撫でおろしてこう言った。
「ああ、助かったよーーー高所のこういう難局はいやなんだよ....とりあえず、急いで降りるか」
ーーーーーー
ドンはジャンを背負ったまま、目的地の集落へ向けて進んでいると一つ谷を下る必要があるのに気がついた。
迂回するのも一つ手ではあったが、追手がきている可能性も考慮して少しでも早く移動することをドンは選択する事にした。
荷物からロープバックを取り出して支点に使えそうな木にそれを括りつけて降下の準備を始めたーー
それを見ていたジャンはどこか楽しそうにこう言った。
「おお!ロープ降下でここを降りるんだな!初めてなんで少し楽しみだ」
そんな楽しそうな彼を見てドンはホッとしたが同時にこう注意をした。
「楽しいはありがたいですが...指示には従ってくださいーーー案外危ないので....」
「それもそうだな。高所は舐めてたら死ぬ。パイロット課程でも言われてるよ」
「背負ったままで降下していきますーー」
「了解。頼んだ」
ジャンはそういうとホッと息をついて、心を落ち着けていたようだったーーー
静かになったのを見てドンは降下地点を確認してほぼ垂直の崖から降りて行った。
自分以外に武器や装備そしてジャンの重さでブレーキはかかるが止まることができずゆっくりと降り始めた。
谷の中腹にかかった頃ーーー
上から人がのぞいているのに気がついた....
相手もあっという顔をしたので、その人物が明らかに敵であるのは分かったーーー
ドンはバランスをとっていた手を話して拳銃を思わず抜いて数発撃った.....
片手で自分の体重と装備とジャンの重さを感じていた。
ふらっと揺れる感覚が高所だからある強い恐怖を呼び覚ましたーー
ドンは急に上がった心拍を感じて落ち着けるようにした。
ラッキーな事に拳銃を撃ったおかげで覗き込んでいた人物は頭を隠してくれた。
落ち着いたのも束の間で次に何か大きな声が聞こえて来たーーー
それは「いたぞー!」という声であった。
バランスを崩したドンにおぶさっていたジャンは驚いていた。
「おいおい。なんだよ!?」
「チェド革命解放軍です!急ぎますよエルビス少佐!」
ドンはそういうと心を落ちつけて、敵は見えないが数発威嚇のために弾丸を放って急いで降りることにしたーーー
上で設定したロープを切られようものなら....
無事じゃ済まないと思ったからだったーーー
急いで地面に着地してドンは小走り距離を取って行った。
来てたロープが上から落ちて来て手榴弾が数個落ちて来て爆発する音を背にとにかく逃げる事に集中した。
「難局だな!ロック曹長!急いで行こう」
「ええ!少し、このまま走るので痛いかもですが我慢してくださいよ」
ドンはそういうとジャンの返事を待たずにペースをあげて走り続けた。
クロエ「成人男性を片手ですごいですね...」
ミライ「本当ですね...多分あの49、80kgぐらいありそうですし」
クロエ「さすが...ドン隊長ーーー」
ドン「いやそこまで褒めないでくれ....これは結果オーライだが、あまり良くない例だ。
誰かにしかできない方法でしか救えない状況になったのは不味かったーー
もう少し早く色々とこなせてたら、上で縛帯してもっと安全だった。もし、クロエとミライだったどうだろうか?」
ミライ「うーん...確かに」
ドン「すまないな。少し意地悪な感じなったーーとりあえず、降りるから安全を確保してくれ」
クロエ「了解です」
ミライ「ドン隊長のいうことも確かに....プロな考え方ですね....伝説と言われてる人でもそういうって事なんですねーーー
次回、伝説は目の前に。乞うご期待です!」




