表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/55

8 エルド=リステリア

いいね、ブクマ、ありがとうございます。


そのフェリシティ=エルダイン嬢は、王妃教育をストップさせて領地へと引き篭もってしまったそうだ。


それじゃあ、候補から外れたのでは?と思ったが、何と、そのエルダイン嬢は逆に、王妃教育が進んでいたと言うより、ほぼ終わっていたと言う。この事実は、隠している訳ではないが、殆どの者は知らないそうだ。

公平さを保つ為に、滅多に褒める事が無い王妃陛下とマナーの先生が話しているのを、偶然に耳にしたのは、俺とディランだけだった。

それまで、ニコリとも笑わない冷たい印象しかなかったエルダイン嬢に、ディランは少しだけ興味を持ったようだった。

俺としては、大好きなグレイシーの幼馴染みでもあり親友と言うエルダイン嬢とは、会ってみたいとはずっと思っていた。グレイシーから聞くエルダイン嬢と、メルヴィルから聞くエルダイン嬢が同一人物だとも思えなかったから。




ーもし、エルダイン嬢が冷たい人間なら、グレイシーとの付き合いも…放ってはおけないしなー




何て思っていた俺…。


ーフェリシティ嬢、すみませんでしたー


と、心の中で何回謝っただろうか──


グレイシーとフェリシティ嬢が一緒に居る所を初めて見たのは、入園式の行われたホールだった。グレイシーは相変わらず可愛かったが、その横に凛とした姿で座っていたのが、その彼女だった。特別綺麗、可愛らしい容姿ではないが、その凛とした姿、雰囲気は目を惹かれるモノがあった。


ーいや、俺の一番はグレイシーだが…んんっー


兎に角、第一印象は“不思議な存在”だった。








「ご挨拶、ありがとうございます。私はフェリシティ=エルダインです。私の事もフェリシティとお呼び下さい。」


そう言って、俺に挨拶をしたフェリシティ嬢は、軽く微笑んでいた。


ーん?笑った?あれ?ニコリとも笑わないと言っていなかったか?ー


見間違いか?と思いながら、俺はそのまま人に囲まれているメルヴィルに視線を向けて─


「挨拶しようにも、メルヴィルの周りには人が居るから、大変だな。」


と、俺が言うと、フェリシティ嬢もメルヴィルに視線を向けて


「あの中を、態々挨拶をしに行くのも…必要ないでしょうね。」


と、一瞬にしてガラリと雰囲気が変わった。


そこに居たのは、冷たい表情をしたフェリシティ嬢だった。


「ホント、第一王子様も人に囲まれて大変ね。」


グレイシーが苦笑すると、フェリシティ嬢の雰囲気がまた柔らかくなった。

そう、フェリシティ嬢は、グレイシーに対しては優しくなる。いや─そんな彼女が、本来の彼女なんだろう。冷たくなるのは──()()()()()()()()かもしれない。


ー兎に角、暫くの間は様子を見みてみようかー









それから3ヶ月─



フェリシティ嬢とグレイシーは本当に仲が良い。それに、グレイシーの母であるペティ様も、フェリシティ嬢の事をとても可愛がっている。

それに、なんと言っても──



「普通に笑ってるんだよなぁ…」


「え?笑ってる?」


思わず口に出した俺の言葉に、グレイシーが反応する。

キョトンとして、目をクリッとさせたグレイシーは可愛い。


「あー…俺ね、フェリシティ嬢は、“笑わない”って聞いていたんだ。でも…普通に笑ってるなぁと思って…。」


そう言うと、グレイシーは眉間に皺を寄せて、一度口をギュッと結んだ後


「それは……王子の前だけよ…………」


それだけポツリと呟いた後、グレイシーはまた口を閉じた。どうやら、それ以上の事は教えてはくれないらしい。

メルヴィルとグレイシーとフェリシティ嬢は幼馴染みだ。過去に何かあったのかもしれない。


そこに、俺が無理をしてまで入ろうとは思わないけど、きっと、メルヴィルが言うような…フェリシティ嬢()と言う訳だけではない何かがあったんだろう。でなければ、グレイシーだって、ここまで怒る事はないだろうし、フェリシティ嬢がメルヴィルの言う通りの人には見えない。


ーひょっとしたら…何かが擦れ違っているだけなのかもしれないー


そう思うと、何となくストン─と腑に落ちた。


腑に落ちただけで、俺が2人を何とかしようとは思わない。と言うか、あくまでもフェリシティ嬢は婚約者候補の1人でしかない。そこで、俺がフェリシティ嬢とメルヴィルの間を取り持つと言うのは、公平さが失われるから、してはいけないのだ。


それに、どう見ても──


もう、フェリシティ嬢はメルヴィルを見てはいないからな。


フェリシティ嬢のメルヴィルに対する目は、“呆れ”でも“諦め”でもなく、“無”だ。もう、何の感情も宿していない目だ。王族の結婚なんて、所謂政略結婚だ。そこに愛が無かったとしても、信頼関係は必要だ。でも、その信頼関係すら、フェリシティ嬢には無理だろう。俺が気付くぐらいだから、メルヴィル本人も気付いていると思うけど……本当に、よく分からないなぁ。


まぁ、フェリシティ嬢は優秀な人材であり、性格も良い。何と言っても俺の愛しいグレイシーの幼馴染みで親友だ。きっと、これからも付き合いは続いていくのだから、俺は俺で仲良くしていこう。









❋グレイシーを中心に動いているエルドでした(笑)❋

ʷʷ((´艸`*))






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ