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41 プレゼント


「王妃様には…全てバレバレだったのね…」


その一言に尽きる。


案内された部屋に入ると、既にココがお風呂の支度をしてくれていた為、遠慮なく湯浴みをし、今はフカフカのベッドに潜り込んでいる。


ー今日1日だけで、本当に色々あったよねー


本当に…第一王子は、全く私の事を見ていなかった。いや、確かに、私も敢えて視界に入らないようにはしてたけど。


「でも、これで…本当に私は…自由なのよね?」


右手をグッと天井の方へと伸ばす。


王妃様は、明日も話があると言っていた。何の話かは分からないけど早く寝て明日に備えよう─


余程疲れていたんだろう。私は次の日の朝、ココが起こしに来てくれるまで一度も目が覚める事なく、グッスリ眠る事ができた。








「フェリ、色々あったみたいだけど、大丈夫?」


泊まった部屋で昼食も食べ、王妃様から呼び出しが掛かる迄は自由にして良いと言われた為、その部屋で本を読んでいると、リオがやって来た。


「大丈夫よ─って、何しに来たの?私、これから王妃様との謁見が……」


「知ってる。それで…その謁見に、俺も呼ばれてるんだ。」


「え?リオが?」


何で?と、首を傾げる。


「取り敢えずは、留学生生活が終わるから、その挨拶と…まぁ…後は…今ここではまだ言えないけど、フェリにも聞いてもらいたい話もあるんだ。」


「そう言えば、前に聞いて欲しい話があるって言ってたけど、その事?」


「うん。」


ー王妃様も絡んでるの?え?そんなに大変な話なの!?ー


ギョッとしてリオを見ていても、「ここでは、言えないから」と言われて、それ以上は何も教えてはくれなかった。





「フェリ、これ、受け取ってくれる?」


そう言いながら、リオがまた、ラッピングされた箱を私に手渡して来た。


開けても良いか?と訊くと、勿論─と言われて、箱を開けると─ピアスと指輪が入っていた。


「私の…色?」


「そう。“バイオレットサファイア”。光の加減で──ほら、青にも見えるだろう?まるで、フェリの瞳みたいに。身に着けてくれる?」


「嬉しいし、勿論身に着けるけど…私、何だかリオには貰ってばっかりね?申し訳無いわ……。」


リオには、色々助けてもらって、綺麗な薔薇(はな)も貰って、今回はアクセサリー。しかも、コレ、絶対安くないヤツだよね!?そりゃあ、リオは既に辺境伯と言う、侯爵と同等クラスの爵位を受け継いでいるから、お金には困ってはいないんだろうけど。


「そんな事気にしなくて良いよ。俺がしたくてしてる事だから。んー…でも、もしフェリが気にするなら、俺のお願い事を聞いてもらおうかな?」


「願い事?私にできる事なら──」


と言いかけて口を噤む。何故か?って?それは、目の前に居るリオの笑顔が、企みを含んだ黒い笑顔だったから。


「リオ、分かってる?私ができる範囲でのお願いにしてね?無理だと判断したら、断るからね!?」


「それは…ちょっと残念──じゃあ、何のお願いをするか、考えとくよ。」


と、言いながら、頭をポンポンと優しく叩かれた。


そして、そのタイミングで王妃様からの呼び出しがあった。








「堅苦しくする必要はないから。」


と、予め言われていた為、私は水色のシンプルなワンピースを着ている。リオは……私の瞳よりも更に薄い紫色のシャツに黒のトラウザーにロングブーツを履いている。


そして、城付きの女官に案内されてやって来たのは、王妃様専用のサロンだった。そこに、リオと共に入る。


「チェスター辺境伯、フェリシティ嬢、待たせてしまって悪かったね。」


と、王妃様だけではなく、国王様と……何故か父も居た。

そう言えば、色々あってスッカリ忘れてたけど、父がパーティーには来れると言ってたっけ?


「国王陛下、王妃陛下、本日は──」


「ふふっ。堅苦しい挨拶はいいわ。チェスター辺境伯、フェリシティ嬢、どうぞ座ってちょうだい。」


そう言った王妃様は、昨日のピリッとした感じではなく、ふわりと優しい笑顔をしていた。

国王両陛下が3人掛けのソファーに横並びに座り、その両陛下に向かって右側の4人掛けのソファーに父が1人で座っている。私は、リオに促されて父の横に一人分程の間隔を空けて座り、リオは私達の対面にあるソファーに座った。


最初に口を開いたのは、王妃様だった。


「フェリシティ嬢、今回の事、色々とごめんなさいね。メルヴィルが……あそこまでポンコツだとは思わなかったのよ。」


ふふっ─と笑う王妃様。


ー“ポンコツ”……ハッキリ言ってしまうんですねー


「ある意味、メルヴィルは純粋過ぎたのね。今回の事がなくても、あの子は王太子、国王にはなれなかったと思うわ。それと……ティアリーナ嬢について。彼女が色々していたのは知っていたのだけれど、それぞれの対応を見たかったのと、王妃としては口を出す時ではないから黙っていたのよ。彼女にとっては、少し厳しい処遇をしたけれど…あの2人なら乗り越えられると思っているの。」


少し困った顔で笑う王妃様。

昨日はあんなにも厳しく対応していたけど、ポンコツはポンコツでも息子である事に変わりはない。

少し説明をしてもらうと、今回の事に関しては、ティアリーナ様の親であるグレイソン公爵にも全て話しているそうだ。

選ばれた理由が理由だったが、ティアリーナ()が行った事も原因がある─自業自得だと、第一王子を受け入れたそうだ。もとより、ティアリーナ様が第一王子が好きだと言う事を、知っていたからと言う事もあるだろう。


兎に角、後は、あの2人がもう一度信頼関係を築き直せるか─だ。




「──と、メルヴィルの事はこれで終わりにして……。」


と、王妃様が一度言葉を区切り、チラリと国王様に視線を向ける。


「あぁ、それでは、ここからは……フェリシティ嬢。其方の……母君の話をしよう。」


「───おかあ………さま?」


ーえ?何故この顔ぶれで母の話を?ー


思いもよらない国王陛下の言葉に驚いているのは、どうやら私だけのようだった。



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