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21 3人の密談

いいね、ブクマ、ありがとうございます。


「俺が留学生としてここに来た理由の一つは…フェリをカルディーナに連れて行く為なんだ。」


「はい?」

「…………」


グレイシーはキョトンとして、エルドの表情は変わらなかった。


「えっと…ちょっと待って。いや…うん。エスタリオンがフェリを好きだって事は…知ってたけどね?残念な事だけど、フェリは…一応、この国の王子の婚約者候補なのよ。知らずに来たの?」


「いや、知ってたよ。あくまで、候補でしかないだろう?だから、フェリとメルヴィルの様子を見て、もし、2人が思い合ってるなら、俺も諦めようと思ってたんだ。幼い頃の2人は…本当に仲が良かったからな。でも、違うと分かった。フェリ本人も婚約者になる事を拒否しているなら、問題無いだろう?メルヴィルが()()なら、俺も遠慮はしない。勿論、候補者であるうちは、フェリが不利になるような行動はしない。」


「あぁ…“外堀を埋める”事から始めると…言う事か?」


「エルドは理解が早いな。」


俺がニヤリと笑えば、エルドもニヤリと笑う。


「俺は、メルヴィルの側近候補の1人だから、表立ってエスタリオンの味方はできないけど、俺はエスタリオンとフェリシティ嬢の仲を応援するよ。」


「応援はありがたいけど、エルドの立場もあるから、何もしなくて良いよ。ただ、俺の気持ちをグレイシーとエルドには言っておこうと思っただけだからな。それで、一応の確認なんだが…メルヴィルが婚約者を決定するのは、学園を卒業した後なのか?」


「後─と言うか、卒業式が行われた日の夜に、卒業を祝うと共に立太子の儀が執り行われるんだ。そこで、初めて第一王子であるメルヴィルが王太子として認められる予定だ。その時に、婚約者候補5人の中から1人だけが、その候補者の瞳の色と同じ色の宝石を付けたティアラを身に着けるんだ。ソレで、婚約者の決定となる。そのティアラは、メルヴィル自身が準備をして、その当日迄極秘扱いにされるから、候補者の本人達も、当日迄誰が婚約者になるのか分からないようになっている。」


ーこっちで調べた通りだな…なら…ー


「瞳の色か。」


「今の5人の候補者って、皆瞳の色が違うのよね。だから、きっと分かりやすいわね。」


ティアリーナは青、ミンディは茶色、ノーラは緑、テレッサは黒。


フェリは薄藤色だけど──


きっと、メルヴィルは気付いてない。フェリも、ソレを分かっている筈だ。もしもの時の為にも、隠しているだろう。


ーフェリは、面白い事を考えるよなぁー


「あ、ひょっとして…エスタリオンも思ってたりする?」

「グレイシーもか?」


と、2人で笑っていると、「何がだ!?俺にも分かるように説明してくれ!」と、エルドに言われて、グレイシーと2人で笑いながら説明した。



ーきっと、あの馬鹿なら、やってくれるだろうー









******


「今日で、リオと一緒に登園するのも最後ね。」


今朝はエルダイン邸から登園するが、学園寮の手続きと準備が整った為、リオは今日からは、授業が終われば寮に帰る事になる。

なので、馬車に乗って一緒に登園するのも、これで最後だ。


「え?何?フェリは…寂しいの?」


ーニヤニヤと嗤って…悔しいけど!ー


「そうね。少し寂しいかもね。」

「──────えっ!?」


私が素直に言うとは思わなかったのか、リオが固まっている。


「何?私は、リオにとっても冷たい幼馴染みなの?久し振りに会えて素直に嬉しかったのよ?だから、また離れると思ったら…少し寂しいなって思ったんだけど…でも、リオにとっては嬉しい事なのよね。ようやく妹から解放されるんだものね。ふふっ。良かったわね。」


そうだ、すっかり忘れてたけど、リオもこれで穏やか?な日々を過ごせるようになるのよね。本当に申し訳無かったわ。

と、1人ホクホクとした気持ちで納得している私の横で、リオが「違う。そうじゃない!」と、呟いている事には気付かなかった。





新学期が始まってからは、グレイシー、エルド様、リオの4人で居る事が当たり前のようになっている。リオに関しては、所謂イケメンで、色んな令嬢達から秋波を送られていて、いつも側に居る私やグレイシーは睨まれたりするけど、グレイシーには常に婚約者であるエルド様が側に居るし、私は先生からリオのお世話役を頼まれた上に、一応第一王子の婚約者候補と言う事もあり、表立って絡んで来るような令嬢は居なかった。


なので、今日も平和に4人で中庭でランチをしていたのに──




「フェリ……シティ。明日は久し振りに、王城にお茶をしに来てくれ。待っているから。」




それだけ言って、第一王子は去って行った。




「明日?お茶?お茶って…何だったっけ?」


「フェリ、現実逃避は駄目よ。“明日は週末で学園が休みだから、城に来て俺とお茶をしろ”って事よ!」


「──グレイシー、ご丁寧な説明、ありがとう。」


「大丈夫か?」


「大丈夫──じゃないけど大丈夫よ。」


と、心配そうな顔をするリオに、私は引き攣った笑顔を向ける事しかできなかった。


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