12 人間の最低限の幸福
「次は7戦車にいくよ☆」
「了解でーす」
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7戦車の門をくぐった途端、周囲の景色が暗転する。
暗闇の中をヒューーーっと落ちていく。
ポトンと落とされる。
そこは草原、青い空。
どこかで見た景色。懐かしい。
「こういうのがいいんだよな」と思う。
青い空、緑の草原、眼下に海、崖、白い家。
以前雑誌で見たエーゲ海の風景というのにちょっと似ているかも。
ふと気づくと、女性?少女が見える。
「ここはどこ?これはなに?」と尋ねると
「簡単にいうとあなたの過去世みたいなもの」と彼女が答える。
「あなたは?」というと「ふふふ」と笑うだけ。
でもなんか懐かしいその声。
自分の姿が西欧系の白少年になっている。
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地球は美しい。自然は美しい。
自然との一体感、地球との一体感。
それだけで何もいらない。ずっとずっと充足、満足できる。
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「なんか過去生とかもでてきましたけど」
「そこはあんまりこだわらなくていいよ。
要は、自分の原初、自分の幸福の原風景とか目的みたいなものを見せてくれたの」
「そうなんだ」
「君は、厨二的な本や趣味ができれば、あとはボーーーーっと自然を見て、自然と戯れて生きていきたい。実はあまり物欲がない。それが幸せだということ」
「厨二は余計じゃw」
「でもそれでいいんだよ。その幸せを達成するためには『私の幸せはこれ』って把握しておくことが重要なの。実はこれができていない人間って多いんだよね。
だから大事。見えをはらずに世間に流されずに「これが私の幸福にん最低限度必要だ」という自覚が。
それがないと、幸福を実現させることってできないの。
それだけは、覚えておいてね。夢から覚めても」
珍しく、キリストぶっちゃけおじさんの表情がちょっと切なく、どことなく悲しげに思えたのは気のせいだろうか。




