プロローグ
数多の星々が輝く中、それらは戦っていた。
真空である空間に戦いの軌跡を撒き散らす二体の機械仕掛けの巨人。
それらは神を模したとも思われる二つの機械。
一つは白銀の女神。もう一つは漆黒の男神。
双方は幾度もぶつかり合い、すれ違い、交差する。
白銀の女神は自身の肩から伸びる機械の翼から青白い光を放出。その推進力を使って男神へと突進する。
漆黒の男神もまた、背から伸びる翼から赤い光を出して前進。
青と赤の軌跡がまた衝突し、弾けた。
その様子は天使と堕天使のラグナロクのよう。
男神が紅の剣を振るうと女神が蒼の双剣で防ぐ。女神が双剣を凪ぎ払うと男神が切り払う。
七色に彩られた星々を背に、幻想的に踊りあう二つの機械たち。青と赤、銀と黒の織り成す舞踏。はたしてこの戦いはお互いを滅ぼすためにあるのか、それともお互いを高め合うためにあるのか。
真空の戦場の眼下には一つの星があった。それは赤く染まってしまった星。
かつて生命が繁栄していたこの青く美しかった星も、今となっては炎と瓦礫の山へと成り果てていた。
死は誰にでも等しく訪れる。それはあらゆる世界の自然原理であり、絶対的な法則。それには人も星も、ましてや神ですらも抗えない。しかしそれとは分かっていながらも、この光景は余りにも残酷だった。
死んだ星の上でまたもや双方の剣がぶつかり合う。激しい火花を散らした後、巨人たちはお互い弾かれたように距離をとった。
この時両者が考えていたことは同じだった。
白銀の女神と漆黒の男神の両者が同時に一瞬静止する。
女神の両肩部装甲が展開。自らのエネルギーを膨大な光の塊へと変換していく。
対する男神も胸部装甲を展開。そこに幾千もの赤い電光が走った。
そして――放出!
ユスティティアが裁き、ウルカヌスが吼えた。
蒼い光は濁流となって男神へと押し寄せ、紅の電光は稲妻となって女神に迫る。
――爆発!
凄まじいまでの熱量が双方の中間点で激突し、深い闇で覆われた戦場を暫し光で満たした。
輝きが止んだ時、男神は既に新たな行動を起こしていた。女神もそれに気付いたのか、男神に急いで接近を試みる。
男神の頭上で輝きが起こった。徐々に形成されていく光の塊。女神は持ちうる全ての力で近づいていく。しかし、間に合わない。
そう悟った女神は咄嗟に自らが持つ双剣を男神へと投げつけた。
だが、無情にも男神の頭上で巻き起こった輝きはその広がりをさらに増し、周囲の全てを呑み込んだのだった。
初めまして。この度は翔煌のアルバヴァイゼを読んでいただき、ありがとうございました。
機体、専門用語等がたくさん出てくると思いますので、基本的にそれらはこの後書きのスペースを使っていこうと思います。他に何か要望等がありましたら言って下さるとありがたいです。
小説素人の作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
誤字脱字や感想、評価も書いてくださったら嬉しいです。おそらく狂喜します(笑
ではでは連載始動です!あっ、あと更新は不定期です。よろしくお願いします。