兄ちゃん
『神社の境内にはね、、夜中にヤクザが詰めた指を埋めるんだよ、。』
『その指は十月十日で芽が出て花が咲き、指の実がなるんだよ。』
『そしたら指が元どおりになるんだ、、』
兄ちゃんは左手を赤く染まったタオルで押さえ、僕に優しく話してくれた。
兄ちゃんは優しいけどどこか抜けている。
兄ちゃんはヤクザになったけど、、境内にはいくつも小さな土盛りが新しく出来ていた。
でもそんな兄ちゃんが僕は好きだ。
飴玉もくれるし、ジュースも買ってくれる。
ある日兄ちゃんは鉄砲玉にされた。
抜けている兄ちゃんは逆に捕まって、相手の組織にやられてしまった。
指よりももっと大きな所を切られて、、、
僕は兄ちゃんが好きだ。
あと十月十日で兄ちゃんの首の実が神社の境内になるだろう、、
そうしたらまた兄ちゃんの首は元どおりになる。
そしたら大好きな兄ちゃんにまた会えるんだ。
会えるんだ、、よ、、、、、。