表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せきがえランデヴー  作者: 煤周 昴
4/4

その4

今日の学校はひさしぶりの4時間授業。

だから、時間がとっても早く過ぎた。

……もしかしたら、隣の席がいろはちゃんだから、楽しくて時間が経つのが早く感じただけかもしれないけど。

他の小学校だと隣の人と机をくっつけない所もあるみたいだけど、ぼくのところはぴったりくっつける。

隣同士の距離はだいたいリコーダー1本分くらい。

だから、今日もすっごくドキドキした……。

……。

こ、こほん。

と、とにかくぼくたち5年1組は、今日は給食を食べないで下校するんだ。

今まさに担任の川谷先生が帰りの会をしているところ。

「よーしみんな、今週もお疲れ様!また月曜日に会いましょう!」

先生はそう言うと、山盛りのプリントを重そうに抱えて教室を飛び出してった。

きっと、さっき言っていた「しょくいんかいぎ」っていうやつなのかな?

ぼくも、ランドセルの口をひらいて教科書をほいほい入れていく。

さんすうと、こくごと、あとは……道徳っと。

うん、これで全部、かな?

……あっそうだ、3時間目は体育だったから体操着も持って帰らなきゃ。

ひととおり帰る準備をすると、ぼくは隣の席の女の子の方を向いた。

でも、こんなに近い距離だと心臓のドキドキが聞こえそう……。

「………!!」

「あっ……あ、えっと……」

「う、うん……」

偶然かな?

いろはちゃんもぼくの方を見てた。

「えっと…どうしたの、いろはちゃん?」

「う……ゆうくんの話、先でいいよ」

真っ赤なほっぺに手を当てるいろはちゃんも、かわいいなぁ。

…よし、今日こそちゃんと言おう。

だって、ゆうたの(ゆう)は勇気の(ゆう)なんだから!

「ねぇ、いろはちゃん」

「ど、どうしたの?ゆうくん」

「ぼくと…」


「良かったら、一緒に帰ろう?」


恥ずかしくて熱くて、でも一番言いたかったこと。

断られたらいやだなぁ、って思ってたけど。

「う、うん。いいよ」

いろはちゃんは、最初は目をまん丸にしてたけど、okだったみたい。

「ほ、ほんと!?」

ぼくは嬉しくて、ほっぺたが取れちゃいそうなくらい笑った。

でも、いろはちゃんもすっごくニコニコしてる。

4時間授業だからかな?

「そういえば、さっきいろはちゃん、なんて言おうとしたの?」

いろはちゃんが赤のランドセルを背負うのを待ちながら聞いてみる。

「え、それは……」

「それは…?」

いろはちゃんは照れくさそうに、くすっと笑って、ぼくにだけ聞こえるように耳打ちで教えてくれた。


「ゆうくんと一緒のこと、言おうと思ってたの」


くるっとターンして歩き出すその女の子は、誰よりもきらきらして見えた。

少なくともぼくには、ね。

あまーーーーーーーい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ