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~三國志《さんここ》のこぼれない話~

 ここは日ノ本の国。現在とは違う次元軸の日本である。


 ある時、日ノ本の国の地中深くで、光鉱石こうこうせきと呼ばれる美しい天然の岩石が大量に発掘される。それは化石燃料等の代替エネルギーとなり、人々の生活を一変させた。


 だがしかし、その自然資源は異世界の物質であったのである。不幸はその別世界より、人を喰らう化け物共が、同時にこの地上へと湧いて出てしまった事であった。


 結果、日ノ本の国は魑魅魍魎の蔓延る魔窟へと変わり果ててしまう。


 人間は魔物達に日々怯える生活を強いられていたのだが、ある日を境に神通力を操り、妖怪変化と対等に渡り合える人類が台頭し始める。その超人である彼らの強さの理由だが、恐らくは繋がった異空間からの身体的影響を受けたのが要因であり、それによって超常の力を得た物だと考察される。この様な豪勇の士達が、怪物を駆逐するモンスターハンターとして、めきめきと頭角を現してきた訳である。


 やがて、これら一連の流れは日ノ本の国全域へと広がり、徐々にこの国は平穏を取り戻しつつあった。


 なかんずく、京都を中心として退魔行を執行する、最大勢力精鋭部隊が新撰組(しんせんぐみ)である。その中でも更にトップクラスの三名が、局長である山田漢、副長である優輝誾、一番組組長である愛瑠璃である。


 この日も新撰組は古都の平和を守る為、中隊規模の一団で京の町を見回り中であった。その道中にてエンカウントした、数体の妖魔を斬り伏せた直後の出来事である。

 何と新撰組隊士達の目の前に、何の前触れも無く七色に光る幻想的な鳥居が出現し、山田漢、優輝誾、愛瑠璃の三者だけを取り込んでしまったのだ。


 そして、三人がはたと気付いた時には、そこは既に現代の日本であったらしい。


 こちら側の日ノ本の国には悪鬼の類は見当たらず、何と天下太平なこの世界なのかと、御三方は声にならなかったそうだ。


 だが取り敢えず、こっちではお笑いが流行っていると言う事なので、「各自が十八番とする能力を駆使すれば、芸人の世界で官軍になれるんじゃね?」ってな意外と軽いノリで、彼らはお笑いの領域へと飛び込んで行ったのである。


 別天地へと飛ばされたにも関わらず、このメンタルの強さと切り替えの早さである。これらの順応性からも、彼らがあちら側の世界で超凡(ちょうぼん)たる所以(ゆえん)であった裏付と言えよう。


 さて、これは余談だが、山田漢はこっちの日本に来る前は、シュッとしたスマートな体型であったらしい。今のこれなる肥え太った姿は、此処(ここ)()()()()の食べ物が美味し過ぎる所為(せい)なのだと彼は力説する。ビフォー・アフターだと本当に別人級なのですって。知らんがな。つべこべ言わずに痩せやがれ醜き肉塊めが。だらしの無い。


   *


――……と言う夢を見たんですよね? あれ? それって表向きの嘘設定でしたっけ? あはは、まあ、別にどっちでも良いや。皆さんの本当の生い立ちを語って下さいよ。


 ……前述の様な感じで、とあるインタビューアーが、志國三の取材の際に問掛けた所、普段は穏やかな山田漢が怒り狂い、優輝誾と愛瑠璃の二人がなだめるのに悪戦苦闘だったとか。


 一切合切が底の見えない、プライベートも非公開であるトリオの高校生芸人・志國三の前日譚。


 フッ、この番組は、信じるか信じないかはあなた次第ですの再提供でお送りしました。

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