2つ同時の依頼
隣の国での初仕事を終えて勢いに乗る斎藤さんは大きな金庫を買ってきた。そこに400ゴールドとゴブリン討伐の余りの200ゴールドを足して600ゴールドを入れる。俺も500ゴールドもの大金の使い道がわからないので400ゴールドを金庫に入れてもらい、ギルドの資本金は1000ゴールドとなった。という事は、100ゴールドで日本円にして100万円なので、1000万円という事になる。もう、充分な金があるので休みたいけれど、斎藤さんのやる気は止まらない。
「マモルさん、何か店でもやりましょうか。シールドで獣や魚を捕まえてそのに持っていくとかどおかな?」
「いいと思うよ。店員さんは、うんと美人にしよう。斎藤さん並みの」
「もう、マモルさんたらお上手なんだから。学生時代もこれだけ褒めてくれたらどんなに良かったか。あ、それはお互いさまか。私達は両方無口で、クラスメイトともほとんど話をしなかったものね」
「そうだね。俺達は学校でも有名な無口キャラだったよね。友達とはかなり話してたけど」
「うん。私もそう」
俺達は話に花を咲かせていると、誰かが息を切らしてやって来た。
「マスター大変です。依頼をしたいという貴族からの使いの方が来ています」
その依頼の話を持ってきた女性は凄い露出度だ。胸が大きく、半分以上露出している。しかも、もちろん美人だ。くっきり二重で肌の色つやがよく張りがありそうだ。
「あのお初にお目にかかります。バトラー様からの紹介でやってきたハロルド様の使いでアナセと申します。今日やって来たのは、ネクロマンサーに支配された村の解放です。傷を受ければゾンビと化してしまう危険な任務でして、おふたり以外は相当苦労するのですが、あなた方ふたりなら余裕でございましょう。まさにうってつけの仕事かと」
アナセの話はわかりやすい。俺と斎藤さんが組めばゾンビ軍団恐れるに足らず。シールドで全身をガード出来る上に、万が一噛まれても斎藤さんの回復能力がある。毒にも効果があるのはキノコで既に試している。ゾンビ退治は俺達の天職みたいなものだ。
「ええ、その依頼お受け致しましょう」
「ありがとうございます。これは依頼の遂行を記録する為の記録水晶の首飾りです。報酬は今回は初回なので少し安いですが、実績を重ねれば額も増やしますのでどうかご安心を。ビゾン村のゾンビ1体1ゴールドで、村からネクロマンサーを叩き出すか、命を奪えば300ゴールドというところです」
さっそく新たな依頼がやってきた。嬉しい限りだ。
「大変です! 新しい依頼が来ました。空飛ぶ大きな虫を討伐してほしいという依頼です」
「それなら遠距離攻撃も可能な安川さんと益子くんに向いてる仕事だね。ギルドのメンバーも連れていって討伐してきてくれないかな」
益子くんと安川さんにも新しい依頼がやってきた。こうして、ギルド設立初日からフル回転で仕事をする事になった。
「それじゃ、益子くん、安川さん悪いけど空飛ぶ大きな虫は任せたよ。ギルメン100人連れていってもいいし、行きたい人の中から選んでもいい。宜しくお願いします。俺と斎藤さんは2人だけでゾンビの討伐に行ってくるよ」
「うん任せてよマモルくん。ゴブリン250匹討伐で手に入れた武具も沢山あるし、装備を完璧にしたメンバーだけで行ってみるね。弓矢の扱いに慣れた人が多くいるといいのだけれど」
こうして俺と斎藤さんはゾンビ討伐に。益子くんと安川さんはドラゴンフライ討伐に行く事となった。俺達の冒険が本格的に始まる気配を肌身で感じ、俺達は依頼を遂行する為に元気よく歩き出した。つまずく石ころの存在に気がつかないまま。