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友との別れ

 俺は裸で目覚めると、横に裸の斎藤さんが。俺はすけべなので見ちゃうもんね。このチャンスを逃してたまるものか。布をめくるんだ。色白の斎藤さんの柔肌と見るんだ!

 俺は利き腕に全ての力を込める。だが、布は重くて持ち上がらない。理性がエロを上回ってしまった。見たかたった。


「あ、マモルさんおはよう。私の生命力を分けたのよ。それにはお互いに裸が一番効率がよくて」


 斎藤さんは裸でも抵抗がないらしい。きゃーエッチと殴ってくるのを期待していたのだが。


「あ、きゃーエッチ! 後ろを向いてて」


 よかった。この反応がほしかったんだ。


「もう服着たからこっち向いていいよ」


「ん、わかった。ってまだ裸ー!」


「えへへ、引っ掛かった」


 俺は不覚にも鼻血が出てしまった。胸は小さくても好きな女性の裸は凶器だと言うことだ。


「あのね、マモルさん。あなたは一時的に死んでたんだよ。本当に心配したんだから。もう無理しないでね」


「ああ、わかったよ。もう無理はしない。ごめんね斎藤さん」


「うん。約束だよ。胸が爆発するかと思うくらい傷ついたんだからね」


 俺と斎藤さんはしばらく抱き合った。あの、もうカップルという事でよろしいでしょうか?


「マモル起きたんだ。ごめんね、助けに行くのが遅れて」


 アキ子が部屋に入ってきた。慌てて服を着る斎藤さん。


「マモルは防御の能力に目覚めたのね。それ以外にも応用してたみたいだけど。私はね、身体強化。100人同時に強化可能で、毎日強化できる人数が増えているみたいなの。王様も偉く気に入ってくれているのよ。強化可能な人数の兵士を預けてくれると言うから、能力の拡大が騎士団での出世に直結してるのよね」


「へえ、アキ子は凄いな」


「でしょ。侑希の能力も貴重だけど、王様に知られると大変な事になるから隠しておいたわ。ユウキさんも気をつけてね。兵士500人の回復とかもあの王様ならやりかねない」


「そんなに王様ってヤバい人なのか?」


 アキ子の顔が曇る。相当嫌な人物らしい。


「王様はね、隣の国の10倍の税金を払わせて自らに近い者だけに富を集中させているの。自分でももちろん贅沢三昧でね、国民に餓死者が出てもお構い無し」


「それは許せないな。俺はこの国を出たくなったよ」


 俺の言葉にアキ子が微笑みながら答えた。


「うん、そうね。マモルは隣の国に出稼ぎに行くといいかもね。ギルドの報酬も10倍だし。私はね、王様に気に入られちゃったから自由に行動出来なくなっちゃったんだ。マモルは王様に能力を低く見られてよかったね。この部屋もこの城で一番質素な部屋」


 部屋を見渡してみる。虎の姿の金の置物や、金のツボに、金の皿。極めつけに金の剣が壁に掛けられており、無駄に金が掛かっている。これで一番よくない部屋だとは。王さまは頭がおかしいらしい。


「マモルさん、もう帰りましょう。面倒な事にならないように」


 斎藤さんは帰りたがっている。アキ子もそのほうがいいと頭を縦にふる。


「まだ沢田と沢木と益子の力も王様に知られてないし、逃げるなら今よ。それじゃあね、マモル。皆には早く帰るように言っておくね」


 俺達は急いで城を後にした。だが、益子くんと安川さんは城から逃れられたが、沢田と沢木は捕まってしまった。もちろん犯罪行為でという意味ではないが、王様に目をつけられてしまった。王の本性を知らずに能力を明かしてしまった事が原因なのだという。アキ子からの手紙はそこで終わっていた。


「また来ますね。アキ子さまにはいつもお世話になっております。スクルドであります!」


 アキ子の部下のスクルドが今後の手紙の受け渡し相手になりそうだ。


「あ、お兄ちゃん。お久しぶりであります!」


「よう、スクルド久々だな。マモル殿ですか? 私はスレインと申します。沢田さまと沢木さまからお手紙を預かっております」


「ありがとう」


 俺は手紙を読んだ。マモル。俺は将来将軍になるべく育てられるようだ。もう、軍からは逃げられない。悪いな。もう一緒に冒険に行けそうもない。もしも願いが叶うなら、俺はゲーセンにだけは通わせてもらおうと思っている。そこで聞かせてくれよな。お前の自由な冒険の話を。


「沢田……」


 続いて沢木の手紙を見てみた。マモルとの記憶がずいぶんと戻って来てたのに、あまり話をすることなく離れ離れになる事が悲しい。あのな、学生時代の金ない時に腹一杯メシをおごってくれてありがとうな。俺、あの時、実は泣いてたんだぜ。そしてな、学年で一番可愛い斎藤侑希のハートを射止めるとはさすがマモルだ。絶対に逃すなよ。早く結婚して子供を作って俺達に見せてくれ。この世界、いつ死ぬかわからない。自分の生きた証を残すのに躊躇したらダメだよ。じゃ、手紙を待ってるな。願わくばゲーセンでまた会おう。楽しみにしてる。


「あの、スレインさん、スクルドさん、俺の手紙も持って帰ってくれます?」


「はい。もちろん」


「ならあそこの酒場で待っていて下さい」


 俺は沢田と沢木に手紙の返事を書いた。


 沢田くんあなたは俺のヒーローです。ゲーセンでの神技。全く太刀打ち出来ないけど清々しい気持ちでいっぱいでした。異世界でもその力は発揮され、未来を見る能力まで目覚めた。沢田の活躍は約束されてるし、英雄になったも同然。その優しく爽やかな性格で部下に愛される将軍になって下さい。それじゃあ、またな沢田。本当に大好きだ。


 次は沢木だ。沢木くん君との出会いは俺にとって衝撃だった。沢木はいつも必要な事は堂々と伝えてくれたね。あの女はお前に合わないとか、嫌な事はもっと堂々と断った方がいいとか。沢木のアドバイスに何回助けられたかわからない。ゲーセンで毎日のように会って一緒に遊んだ時も楽しかった。知らない間に俺達の友情は高まっていたね。本当はもっと一緒に食事でも取りながら話したかったけど仕方ない。軍でがんばってくれ。水の能力だけど、できるだけ細く小さく噴射すると鉄でも切れるし、とても凄い能力だよ。沢木ならきっと大丈夫。いい上司になれるよ。それじゃあ、またゲーセンで。


 俺はふたりに手紙を書き終えた。もっと一緒に冒険がしたかったな。失ってからその重要さに気がつくって本当だな。斎藤さんの時は立ち直る事が出来ないくらいに傷つきそうだ。アキ子への手紙は簡単に済ませた。まさか、中学時代俺なんかの事を好きになってくれてありがとうとは口が裂けても言えない。


「スレインさん、スクルドさんお待たせしました」


「いえいえ、それではお手紙をしっかりお預かりしました。我々はこれで」


 ふたりは城に戻っていった。俺達も洋館に戻った。相当疲れたので歯磨きをして眠りについた。今日もまた斎藤さんが俺のベットに入り込む。とても暖かい。


「マモルさん、おやすみなさい」


「ユウキさん、おやすみなさい」


 そう言うと斎藤さんがキスをしてきた。身体中に雷が落ちたようにドキッとした。しばらく胸が高鳴った。斎藤さんも同じで凄くドキドキしていた。心臓の鼓動が落ち着いた頃、斎藤さんは眠りについた。穏やかな寝息が聞こえる。その寝息は最高の子守唄となって俺もぐっすりと眠れた。一番幸せな瞬間それは斎藤さんと一緒に眠る時かも知れない。次に幸せな瞬間はもちろん、一緒に食事を取るときだ。

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