表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブキャラでも主人公になれるはず!  作者: ひなた桜
ひとまず旅に出てみよう
1/12

ひとりでできるもん

「こーなーいーでーくださぁぁぁぁぁい!」



 ぼくは今全速力で、いや、生きてきた中で1番早く走っている。

 野山を駆け抜け草原も抜け、木々の生い茂る小山なんて、何度枝に引っかかって足が浮いたかもう覚えていない。

 お気に入りの服だったのに、すっかりボロになってしまって今日でお別れだろう。

 その前に、明日があればの話だけれども。



「来ないでっていってるのにぃぃぃぃぃ!」



 大きな杖を持った紫の女が、ニヤリと笑って振り下ろした途端、今まで走りまくって疲れていたはずなのに、ふわりと体が軽くなって楽になった。


 あぁ……また1からやり直しかぁ。


 眩いほどの光に包まれて、ぎゅっと目を閉じる。


 次に開いたときに、そこはもう何度見たかわからない冷たい床の広がる真っ白な世界だった。



※※※※※※※※※※





 自慢じゃないけれど、ぼくはものすごく本を読んだ。それこそ1日最低1冊は読むようにして、たくさんの知識をものにしてきた。

 そのお陰で学校ではいつも1番だったし、学年代表にだって選ばれたことがある。

 卒業式で生徒代表になったんだ、凄いだろ、えっへん。



 ただ唯一の欠点といえば、泣き虫なところだろうか、良く言えば情に脆い。お友達が努力を実らせれば一緒に泣いたし、ちょっとイタズラされれば泣いたし、ハンカチが土の上に落ちただけでも泣いた。



 そんな泣き虫だからいつまで経っても『モブキャラだから仕方ない』なんて言われてしまうんだと気付いて、まずは泣くのを我慢するところから始めた。


 そしたら気持ちも強くなってきて、何事にも前向きで、明るくなって強くなって。


 1番が取れるようになって、胸を張って主役になるという夢を掲げ、みんなの反対を押し切り、勇者になる為に旅に出た。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ