呪い
魔法都市プハラには5柱の神さまがいる。
不幸大好きな農夫ハル。ロリコン教皇リィ。裸の王アララギ。独裁者タケル。かわいい(強要)女神零。
いくら与えれば彼は満足するのだろうか?
もう、声も目も失った。感情はとうの昔に失っている。それでも彼は満足しない。
全てが見渡せる目は彼が構いまくる天使の翼に付けた。澄み渡る声は彼を慕う天使に与えた。それでも彼は満足しない。寂しいと我が名を呼ぶ。
彼があまりに寂しがるから彼を慕う天使は改革の刃の声で彼の孤独を破壊するより、小さな雪だるまに命を吹き込み彼に与えた。そして彼は天使に謝礼として薔薇を与えるとその天使を忘れ、雪だるまに夢中になった。
彼が寂しがるから与えた大切な双子なのに。彼が好きな天使の体を与えた1対なのに。彼は感謝をせずに彼を異性として意識できない雪だるまの幼女に夢中になっていた。
そして吸血鬼という永遠の命と若さを持つ彼が想像きなかった事が起こる。
知識で知ってはいても雪だるまの幼女は少女へと成長し、彼でない男の元へ嫁ぎ、雪にしては永すぎる年月を経た身を溶かしたのだ。
愚かな事に彼は嘆き悲しんだ。与えられた薔薇で冠を作り彼が望むままに澄んだ声で歌を紡ぐ天使に彼はその悲しみと怒りをぶつけた。
「あなたが死ねば良かったのです」
その無意味な言葉が我の大切な刀の鞘を破壊した。
美しい刃を包む愛らしい天使の肉体の鞘を砕いた。雪に触れ桜色に染まった小さく白かった素足も、薔薇の紅と艶やかな黒髪に映える白いワンピースが包む雪より白い肌も、汚れなき世界に降り注ぐ雪より清らかな天使の翼も彼はその言葉で粉々に砕いた。
砕かれた身体と心は堕天使として再生した。
彼は堕天使として生まれ変わった刀の鞘と情を交わす。
それは無償の愛を捧げし天使ではなく、深い憎悪を秘めた暗殺者だが。
我は彼がそれ知った時、どのように絶望するのか楽しみたい。
彼以上に永く存在する我の食料は不幸なのだから、じっくり味わいたいと願う。
彼はリィ。
薔薇をもらった天使はタケル。タケルの対の天使はアララギ。
雪だるまは瑠璃香です。